クリスマスにも「物価高」値上げラッシュ 年明けも7000品目超

物価高騰の中で迎えることしのクリスマス。
「子どもの欲しがる物が高かったので安く買える店を探した」
「物の値段が上がっても孫のための費用は削りたくない」
おもちゃ専門店にプレゼントを買いに来た客からは物価の高騰を実感する声が多く聞かれました。

23日に発表された、ことし11月の消費者物価指数は、生鮮食品を除いた指数が去年の同じ月より3.7%上昇しました。
上昇率は1981年12月以来、40年11か月ぶりの水準となります。

この“値上げラッシュ” 、年が明けても続く見込みです。
来年、値上げが予定される食品や飲料は7000品目を超えたことが信用調査会社の調査でわかりました。

クリスマスプレゼントにも値上げの波が…

大手おもちゃメーカーではことしの春以降、商品の値上げが相次いでいます。

▼タカラトミー
プラスチックなどの価格高騰でミニカーの「トミカ」や鉄道模型の「プラレール」など7月に283品目、9月に331品目を値上げし希望小売価格をそれぞれ平均で10%以上引き上げ

▼ソニーグループ
部品価格の高騰などで家庭用ゲーム機「プレイステーション5」を9月から5500円、10%値上げ

▼バンダイ
10月から人気キャラクターの「ソフビ人形」など284品目で値上げをしていてこのうち人気アニメの知育玩具は5600円余り、35%の値上げ

▼セガトイズ
9月にぬいぐるみなど73品目で平均でおよそ15%値上げ
値上げの理由について各社は、経費削減などコストダウンに努めてきたものの原材料価格の高騰には企業努力だけでは対応が難しくなったなどとしています。今後の値上げの予定については未定としていて、パッケージの簡素化や業務効率化などコストを下げる工夫をしていきたいとしています。

セガトイズ広報の箕箸雄教さんは「子どもたちに喜んでもらうのが私たちの一番の使命なので、これからも品質を落とさない工夫を続けて満足してもらえる商品を提供していきたい」と話していました。

仕入れ値や輸送費の高騰に苦しむ飲食店は

全国127店舗でギョーザを中心としたメニューを提供する居酒屋チェーンでは、野菜や肉などの原材料の仕入れ値や輸送費用の高騰が経営を圧迫しており、ことし10月から一部のメニューへの価格転嫁を余儀なくされました。

一方、値上げ幅を少しでも抑えようとコストカットにも力を入れていて翌日以降に必要な材料を注文する際にAIを活用したシステムで自動的に必要な種類や量が計算できるようにしています。

また、物価高による従業員の生活を守るため、3か月に1回、数万円を臨時の手当として支給しているということです。

「肉汁餃子のダンダダン」の広報担当の大林大輔さんは「安くギョーザやお酒を提供したいが原材料費が上がるなどしていて値上げせざるを得ない状況でした。従業員の賃金もベースアップしていきたいという思いはありますが、すぐには難しいので一時金という形で乗り切るしかありません」と話しています。

年明けも続く値上げ 食品や飲料の7000品目超に

「帝国データバンク」は今月21日の時点で、国内の主な食品や飲料メーカー、105社に調査を行い、値上げの動きをまとめました。

来年1月から4月に値上げが予定される食品や飲料は再値上げなどを含めた累計で7152品目となり、ことしの同じ時期と比べるとおよそ1.5倍に増えています。

来年、値上げされる品目は
▼冷凍食品や水産缶詰などの「加工食品」が3798品目
▼輸入ワインなどの「酒類・飲料」が1442品目
▼しょうゆやドレッシングなどの「調味料」が1343品目
などとなっています。

月別でみると来年2月は4277品目と多く、ことし10月と同じように「値上げラッシュ」となる可能性があるとしています。

来年値上げする企業「苦渋の判断」

静岡県に本社がある食品メーカー「はごろもフーズ」は来年1月と3月に缶詰や食品などをそれぞれ値上げをします。

マグロやカツオを使った主力商品のツナ缶など65品目は1月4日の出荷分から値上げされます。値上げ率は4.8%から25%です。
会社によりますと缶詰の原料となるキハダマグロの仕入れ価格は円安などの影響で去年に比べておよそ1.5倍に上昇しました。
さらに、食用油の仕入れ価格も去年より1.3倍ほど値上がりしたほか、円安などを背景にした資源価格の高騰で缶に使用するスチールやアルミの価格も上がっているということです。

「はごろもフーズ」の越智崇佳マネージャーは「値上げは苦渋の判断です。来年の販売にどう影響が出てくるのか心配です」と話しています。

予定を早めて賃上げも

大阪市に本社がある社員800人余りの「岩井コスモ証券」は毎年7月に管理職以外の賃金を改定していますが、物価上昇に苦しむ若手の社員を支援しようと賃上げを予定より半年早く来月(1月)に行うことになりました。
対象は20代から30代前半までの社員およそ180人でベースアップを行い毎月の基本給を一律に1.5%引き上げます。
営業職の社員およそ280人には基本給の1.1%にあたる手当を来月から毎月、新たに支給することにしています。
また、来年4月に入社する新入社員の初任給も、2万円余り引き上げるということです。

別の会社で働く夫と共働きで7歳と3歳の娘2人を育てている営業担当の社員は「値上げで支出が増えてしんどいなと思っていたので賃上げが前倒しで行われるのは本当にありがたいですし、会社が社員を大切に考えていると感じます。賃上げの分は娘のために使いたいと思います。仕事へのモチベーションも上がりますしスキルアップなどの自己研さんもしていきたいです」と話しています。
岩井コスモ証券の沖津嘉昭会長は「食料品や光熱費など生活に直結する物価高でとくに苦しんでいるのは若手の社員だと思います。若手社員は会社の将来を担う大事な人材で物価高で躍動感がなくなり活性化しないということは一番怖いことです。賃上げを前倒しで行うことである程度の負担は増えますが人材への投資と考えていますしその分の利益は上げることはできると考えています」と話しています。

食費を補助する企業も

企業の間では食費を補助することで従業員の暮らしをサポートしようという動きが広がっています。
「チケットレストラン」と呼ばれるサービスは都内の企業が提供していて、このところ導入を希望する企業からの問い合わせが増えています。
このサービスでは、専用のカードを使います。カードには毎月、最大7560円分が電子マネーでチャージされ、従業員は、カードを使って提携先の飲食店やコンビニなどで食べ物や飲み物を買うことができます。チャージされる金額は従業員と企業が折半で負担し、企業が従業員の食費として最大で3780円分を補助する形です。
このサービスを先月に導入した東京・千代田区のIT企業では従業員36人のうち希望した29人に、専用のカードを配布しました。
カードを使って飲食店で食事をした従業員の女性は、「食材や油などが値上がりして家計が苦しい時にこうした食事補助で好きなものを食べられるのはうれしいです」と話していました。
吉野真吾副社長は「社員がごはんの量を減らしたり、1品減らしたりして節約しているという話があり、会社としてどう補助できるか考えていた。社員からもとても好評だ」と話していました。

今後の物価の見通しなど専門家はどう見る

先月の消費者物価指数の上昇率が40年11か月ぶりの水準となったことを受けて今後の物価の見通しなどについて三菱UFJリサーチ&コンサルティング小林真一郎主席研究員に聞きました。
Q.3.7%の上昇率。受け止めは?
A.10月が3.6%11月が3.7%ということで足元の物価上昇率が一段と高まってきているそれがあらわれた数字だと考えている。10月からの全国旅行支援の実施による物価の押し下げ効果がなければ4%程度の伸びになったとみている。

Q.今回の物価高の特徴は?
A.食料品や電気料金などのエネルギーといった身近なものの価格がとくに上がっている。消費者は数字以上に物価の上昇を感じているのではないか。

Q.物価の上昇はいつまで続きそうか?
A.12月の消費者物価指数については、今回を上回る4%に近い伸び率になってくるだろう。年明け以降は政府の物価高対策の効果などで伸び率はいったん縮小する可能性はあるが物価が低下していくということにはならないと思う。来年4月から電力料金が大幅に値上げされる可能性があるため、当面は物価の上昇圧力が強い状態が続くのではないか。

Q.物価高対策として求められることは?
A.物価の上昇が続く中で、個人消費を冷え込まないために何が必要かというと、やはり賃金の上昇だ。年明けの春闘の動向、この行方が来年の個人消費、さらには来年の日本経済全体の動きを大きく左右するポイントになるだろう。賃上げを実施することが、まわりまわって景気を良くする、自社の業績も良くするにつながるという面もあるので企業は何としても踏ん張って賃上げを前向きに検討してほしい。人件費をコストと考えるのではなく人材に対する投資だと前向きに捉えることで企業としても生産性、収益力を高めることにつながる。

Q.日銀の大規模な金融緩和策の修正が物価高、賃上げにあたえる影響は?
A.金融政策の修正を受けてあしもとは円高が進んでいる。輸入物価が抑制され消費者にとってはメリットの方が大きい。ただ、将来的には金利の上昇に備えて企業の行動が慎重になってくる可能性があり、賃上げなどに悪影響をあたえないか注視していく必要がある。