米ウクライナ首脳会談 バイデン大統領 軍事支援の継続強調

アメリカのバイデン大統領は、首都ワシントンを訪れているウクライナのゼレンスキー大統領と首脳会談を行い、最新鋭の地対空ミサイル「パトリオット」の供与を表明するとともに、軍事支援を続ける考えを強調しました。

一方、ゼレンスキー大統領は感謝の意を表すとともに、冬を迎えるなか、さらなる支援を訴えました。

バイデン大統領とゼレンスキー大統領は21日午後、日本時間の22日午前、ホワイトハウスで首脳会談を行ったあと、共同記者会見に臨みました。

このなかでバイデン大統領は「近いうちにプーチンはこの戦争には勝てないと気づくことになるだろう。そのときこそがゼレンスキー大統領がどうやって戦争を終えるかを判断するときだ」と述べて、プーチン大統領が勝てないと悟るまでウクライナへの支援を続ける必要性を強調しました。

そのうえで、ロシア軍がウクライナ各地の発電施設への攻撃を強める中、ウクライナの防空能力を強化するため、最新鋭の地対空ミサイル「パトリオット」の供与を含む19億ドル近く、日本円にしておよそ2400億円相当の新たな軍事支援を発表しました。

「パトリオット」の供与についてロシアは挑発的だと反発してきましたが、バイデン大統領は「防衛のためのシステムで、紛争を拡大させるものではない」と強調しました。

一方、ゼレンスキー大統領は支援への感謝の意を示した上で「アメリカの指導力は強力であり世界に大きな影響を与えていく。議会の構成の変化にかかわらずアメリカの支援は超党派のものであり続けると信じている」と述べ、来年1月からアメリカ議会下院の主導権が野党・共和党に移行したあとも、支援を継続するよう訴えました。

そのうえで「わたしたちは冬を生き抜く必要があり、人々を守らなければならない」と述べ、ロシアの侵攻から国を守り抜く決意を改めて示しました。

「パトリオット」とは

「パトリオット」は、アメリカ製の移動式の地対空ミサイルシステムで、レーダーや射撃管制装置、電源車両などで構成され、弾道ミサイルや巡航ミサイル、それに航空機などの迎撃に使われます。

アメリカ軍によって1980年代に運用が開始され、1990年代の湾岸戦争で、イラク軍のスカッドミサイルを撃墜したことで広く知れ渡るようになり、その後、改良が重ねられ、日本やドイツなど同盟国にも配備されています。

日本の防衛省によりますと、射程は、数十キロだということです。

アメリカはこれまで「パトリオット」について運用ができるようになるまでの訓練に時間がかかることや高価であることなどから、供与を控えてきたとみられていますが、ロシア軍がウクライナ各地の発電施設への攻撃を強める中、ウクライナの求めに応じる形で供与に踏み切りました。

アメリカのCNNテレビなどは、ウクライナ軍は、ドイツにあるアメリカ軍の基地で使い方の訓練を受けると伝えています。

一方、ロシアはこれまで、「パトリオット」の供与について「挑発的だ」と反発を強めていました。

ゼレンスキー大統領「感謝伝えるためワシントンに来ている」

ゼレンスキー大統領は、日本時間の22日未明みずからのSNSに「アメリカ国民と大統領、それに連邦議会に対してこれまでの支援への感謝を伝えるためワシントンに来ている」と投稿し、アメリカに到着したことを明らかにしました。

そのうえで「ウクライナの回復力や防衛力を強化するための一連の交渉を行う。バイデン大統領と2国間の協力について話し合う予定だ」と投稿しました。

ロイター通信が配信した映像では、飛行機から降り立ったゼレンスキー大統領が政府高官やアメリカに駐在する大使らと握手をしている様子などが確認できます。

バイデン大統領「楽しみにしている 多くのことを話し合おう」

アメリカのバイデン大統領はウクライナのゼレンスキー大統領のアメリカへの到着を前に、ツイッターを更新しました。

この中でバイデン大統領は、ゼレンスキー大統領が「アメリカに向かっている」としたツイッターの投稿を引用しつつ、「いいフライトであることを祈っています。こちらにお迎えできることを楽しみにしています。多くのことを話し合いましょう」と投稿し、首脳会談への期待を示しました。