【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(22日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる22日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア ショイグ国防相が前線の部隊視察

ロシア国防省は22日、ショイグ国防相がウクライナの軍事侵攻の前線の作戦区域を訪れ部隊を視察したと発表し、映像を公開しました。

ショイグ国防相はロシア軍の部隊が築いたざんごうとみられる場所を訪れ、兵士から戦況の報告を受けたり、激励したりしていて、激しい戦闘が続く中、ロシア兵の士気を高めるねらいがあるとみられます。

ゼレンスキー大統領 米連邦議会で演説 支援の重要性訴え

アメリカの首都ワシントンを訪れているゼレンスキー大統領は21日、バイデン大統領との首脳会談のあと、連邦議会で上下両院の議員を前に演説を行いました。

この中でゼレンスキー大統領はアメリカからの巨額の支援について「皆さんの支援は慈善行為ではない。世界の安全保障と民主主義への投資だ」と述べ、支援はウクライナだけでなく、世界全体に関わるものだと強調しました。

その上で「私たちの代わりにアメリカの兵士に戦ってほしいと頼んでいるのではない。ウクライナの兵士はアメリカの戦車や航空機を扱うことができる」と述べ、さらなる兵器の供与を求めました。

そしてゼレンスキー大統領は前線の兵士から託されたというウクライナ国旗をペロシ下院議長に手渡し「議員の皆さんの決断が何百万もの人たちを救うことができる」と述べ、予算の決定に大きな権限を持つ議会に支援の重要性を訴えました。

アメリカ議会では現在、およそ450億ドル、日本円にして6兆円近い大規模なウクライナへの追加支援が検討されていますが野党・共和党の一部から巨額の支援を続けることに慎重な声も出始めていて、ゼレンスキー大統領としては、議員らを前に継続的な支援に理解を求めた形です。

林外相 G7外相会合で緊密な連携確認したい考え

ウクライナ情勢をめぐりG7=主要7か国の外相会合が22日夜、オンライン形式で開かれることになりました。

林外務大臣は来年、日本がG7の議長国を務めることを踏まえ、引き続き各国と緊密に連携していくことを確認したい考えです。

プーチン大統領 新型ICBMなど実戦配備へ 核戦力で米けん制か

ロシアのプーチン大統領は21日、首都モスクワで開かれた国防省の会合で演説し「われわれは戦略核の戦闘態勢を維持し、向上させていく。これがわが国の主権や領土の保全、それに世界における力の均衡を維持するための保証となる」と述べ、核戦力の向上を進めていることを強調しました。

そのうえで「近い将来、大陸間弾道ミサイルの『サルマト』が初めて実戦配備される」と述べ複数の核弾頭を搭載できる、新型のICBM=大陸間弾道ミサイルを近く実戦配備する考えを明らかにしました。
また、来月上旬には、海上発射型の極超音速ミサイル「ツィルコン」をフリゲート艦に搭載して実戦配備することも表明しました。
プーチン大統領としては、核戦力をちらつかせることでウクライナへの軍事支援を続けるアメリカなどNATO=北大西洋条約機構の加盟国をけん制するねらいがあるものとみられます。

さらに、プーチン大統領は、ウクライナへの軍事侵攻をめぐり「無人機の改良と活用が喫緊の課題だ」と述べ、最新の無人機を各部隊に配備すべきだとして国防省に対応を指示しました。

ロシア東部ガス田で操業開始 中国への供給拡大へ

ロシアの政府系ガス会社ガスプロムは21日、東シベリアのイルクーツク州にあるコビクタ・ガス田の操業開始にあわせて、サンクトペテルブルクで記念の式典を開催しました。

オンラインで出席したプーチン大統領は「ロシアのガス業界、経済全体にとって、特別で記念すべき出来事だ」と成果を強調し、操業開始を指示しました。
ガスプロムによりますと、このガス田の採掘可能な埋蔵量はおよそ1兆8000億立方メートルとロシア東部最大で、3年前に供給を開始した中国向けのパイプライン「シベリアの力」につなげられます。

計画では、2026年以降、年間270億立方メートルを生産するとしています。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐりヨーロッパがロシア産の天然ガスの依存を減らす中、ロシアは中国への供給を拡大し関係を一層強化しています。

バイデン大統領 約2400億円相当の軍事支援発表

首脳会談のあとバイデン大統領とゼレンスキー大統領はそろって記者会見に臨みました。

この中でバイデン大統領は「アメリカ人と世界の人たちにとって2023年を通じてもウクライナに寄り添い続けることは重要だ」と強調しました。

そのうえでバイデン大統領はウクライナの防空能力を強化するため、迎撃ミサイル「パトリオット」の供与を含む19億ドル近く、日本円にしておよそ2400億円相当の新たな軍事支援を発表しました。

一方、ゼレンスキー大統領は「私はアメリカ国民に感謝するためにアメリカを訪問した。アメリカの指導力に感謝したい」と述べました。

米ウクライナ首脳会談 ゼレンスキー大統領 継続的な支援訴え

ゼレンスキー大統領は21日午後、日本時間の22日朝、ホワイトハウスに到着し、バイデン大統領との首脳会談に臨みました。

会談の冒頭、バイデン大統領は「特に防空能力など、ウクライナの自衛の能力を強化し続けていく」と述べ、支援の継続を強調しました。

これに対しゼレンスキー大統領は「バイデン大統領の支援とリーダーシップに感謝する」と述べて、アメリカからの巨額の支援に感謝の意を示すとともに、「戦争はまだ終わっていない」と強調し継続的な支援を訴えました。

ことし2月にロシアによる軍事侵攻が始まって以降、ゼレンスキー大統領が外国を訪れるのは今回が初めてで、ゼレンスキー大統領としてはロシアによる相次ぐミサイル攻撃で深刻な電力不足に陥る中、最大の支援国アメリカに直接、出向くことでさらなる協力を得たい考えです。

一方、バイデン大統領としては野党・共和党の一部から巨額の支援を続けることに慎重な声も出始める中、ゼレンスキー大統領を招き、対面での首脳会談を行うことで、ウクライナへの支援を続ける決意に変わりはないことを国内外に示すんねらいがあるとみられます。

プーチン大統領 演説で国民の不安払拭はかったか

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアでは、兵士が劣悪な環境に置かれているなどと伝えられる中、プーチン大統領は21日、首都モスクワで開かれた国防省の会合で演説し、「兵士が必要とするものはすべて最新かつ快適で信頼できるものにすべきだ」と述べ、医薬品や食料、それに靴などの装備品を十分に整えるよう指示しました。

会合では、プーチン大統領が、ショイグ国防相やゲラシモフ参謀総長を前に「財政的な制約はない。政府は軍が要求するものをすべて与えている。それに応える結果を出してほしい」と述べると、国防省や軍の幹部は硬い表情で聞いていました。

さらに、プーチン大統領は、予備役の動員をめぐって社会に不安や反発が広がったことを念頭に「早急に解決すべき問題点が明らかになった」と述べ、改善を求めました。

そして「大規模で複雑な仕事には問題がつきもので、その問題に直面した人々が感情的になるのは理解できる」とも話し、国民に寄り添いながら問題を解決する姿勢をアピールすることで、国民の不安を払拭したいものとみられます。

ゼレンスキー大統領 米到着 バイデン大統領と首脳会談へ

アメリカのホワイトハウスはウクライナのゼレンスキー大統領が、日本時間の22日未明、アメリカの首都ワシントン郊外の軍の基地に到着したと、明らかにしました。

ロシアによる軍事侵攻が始まって以降、ゼレンスキー大統領が外国を訪れるのは初めてです。

ゼレンスキー大統領はこのあとバイデン大統領と首脳会談を行うことにしていて、アメリカ側は、迎撃ミサイル「パトリオット」の供与を含むおよそ20億ドルの新たな軍事支援を発表することにしています。

ゼレンスキー大統領「感謝伝えるためワシントンに来ている」

ゼレンスキー大統領は、日本時間の22日未明みずからのSNSに「アメリカ国民と大統領、それに連邦議会に対してこれまでの支援への感謝を伝えるためワシントンに来ている」と投稿し、アメリカに到着したことを明らかにしました。

そのうえで「ウクライナの回復力や防衛力を強化するための一連の交渉を行う。バイデン大統領と2国間の協力について話し合う予定だ」と投稿しました。

ロイター通信が配信した映像では、飛行機から降り立ったゼレンスキー大統領が政府高官やアメリカに駐在する大使らと握手をしている様子などが確認できます。

バイデン大統領 ゼレンスキー大統領の到着「楽しみにしている」

アメリカのバイデン大統領はウクライナのゼレンスキー大統領のアメリカへの到着を前に、ツイッターを更新しました。

この中でバイデン大統領は、ゼレンスキー大統領が「アメリカに向かっている」としたツイッターの投稿を引用しつつ、「いいフライトであることを祈っています。こちらにお迎えできることを楽しみにしています。多くのことを話し合いましょう」と投稿し、首脳会談への期待を示しました。

IAEAトップ ロシア訪問へ ザポリージャ原発周辺の安全性協議

IAEA=国際原子力機関は、グロッシ事務局長が、ロシアの首都モスクワを22日に訪問すると明らかにしました。

グロッシ事務局長は、安全性への懸念が広がっているウクライナのザポリージャ原子力発電所の周辺を安全な区域に設定するためロシア側と協議を行う予定だということです。

グロッシ事務局長は、ことし10月にもロシアを訪れプーチン大統領と会談しましたがロシア大統領府は、今回、プーチン大統領とグロッシ氏との会談の予定はないとしています。

ザポリージャ原発を巡っては、砲撃によって原発の安全に必要な外部からの電力供給が失われる事態が相次いでいて、IAEAは、原発周辺を安全な区域に設定するための協議をロシアとウクライナの双方と続けています。