中国 北京 感染から回復した人が出勤再開 各地で対応追われる

中国で新型コロナウイルスの感染が広がる中、首都・北京では感染後に回復した人が出勤を再開するなどして人通りが戻りつつあります。一方、各地の医療機関は感染者の急増で発熱外来を増強するなどの対応に追われています。

中国政府が今月7日に新型コロナウイルスの感染対策の緩和に踏み切ったあと首都・北京では感染が急拡大し、企業の多くが在宅勤務になるなど市民生活に大きな影響が出ています。

中国政府は、無症状や症状の軽い人について原則として7日間をすぎれば自宅での隔離を終えて外出できるとしています。

21日、北京の中心部にあるビジネス街では感染後に回復した人などが出勤を再開する様子がみられました。

しかし、感染拡大前に比べると人通りは3割ほどにとどまっていて、休業したままの店舗が目立ちました。

各地でも感染が拡大し、中国メディアは上海の医療機関が急増する感染者を診察するため発熱外来の医師や看護師に加えて診察室も2倍に増強したと伝えています。

一方、内陸部の四川省や貴州省など医療体制が十分整っていない農村部では、高齢者の間でワクチンの接種が進んでおらず、医療関係者が自宅を直接訪問してワクチンを接種するなど対応に追われています。

人通り戻り始める

新型コロナウイルスの感染が急拡大する中国では、これまで市民が外出を避ける傾向が続いてきましたが、首都 北京では感染後に回復した人が出勤を再開するなどして人通りが戻り始め、21日朝は多くの人が出勤する姿が見られました。

中心部の地下鉄の駅近くで話を聞いた60代の男性は「私も感染しましたが、かぜと同じような症状でした。周りもみんな陽性になりましたが、何ともないようで、私は回復した3日後から働き始めています」と話していました。

また、30代の女性は「感染対策をもっと早く緩和すべきでした。冬だとかぜの流行期なので、医療体制のひっ迫が深刻だと思います」と話していました。

一方、中心部にあるオフィス街では、以前の3割程度まで人通りや車の流れが戻り始めているほか、商業施設では買い物や店内で飲食をしている客の姿も見られました。

買い物に訪れた女性は「すでに陽性になったので感染することへの不安は少なくなりましたが、それでも気をつけなければいけないと思っています」と話していました。

薬局は行列解消も品薄状態続く

北京市内の薬局では、人々が行列をつくって医薬品を買い求める状況は解消されつつあるものの、依然として解熱剤などの需要は高いということです。

中心部の薬局では、解熱剤などを何箱もまとめ買いする人の姿が見られました。

また、せき止めやのどの炎症を抑える薬が売り切れになるなど、一部の医薬品は品薄の状態が続いているということです。

火葬場には車の長い列

北京市内の火葬場では、ひつぎなどをのせた多くの車が長い列をつくり、新型コロナウイルスによるものかどうかはわからないものの、市内で多くの人が死亡していることをうかがわせています。

北京の東部にある火葬場では21日午前、敷地に入るまでの道路に50台ほどの車が長い列を作り、敷地内には、ひつぎをのせた車がさらに30台ほど並んでいました。

駐車場は遺体を運んだり火葬に立ち会う遺族を乗せたりしている車でほぼいっぱいになっていて、付近には遺族や参列者とみられる人たちが大勢いました。

火葬場の担当者は、ふだんより亡くなる人が多く、今月分の予約はすでにいっぱいで、来月3日まで空いていないと話していました。