新型コロナ 重症化リスク低い患者はオンラインに 川崎の診療所

新型コロナウイルスの感染拡大で医療機関のひっ迫が懸念される中、川崎市の診療所では、20日から、重症化リスクの低い新型コロナの患者は原則、オンラインで診療する対応を始めました。

川崎市にある診療所「多摩ファミリークリニック」は新型コロナの感染拡大当初から患者の検査や診療を行い、ピーク時には一日で最大40人を診療してきました。

今回の「第8波」でも患者が相次ぎ、診療の予約が取りにくい状況が続いています。

クリニックでは、重症化リスクの高い高齢者や持病がある人を優先して対面で診療するため、高校生から65歳未満で持病がないなど、重症化のリスクが低い人で自宅などで検査をして陽性だった人は、原則、オンラインで診療する対応に切り替えました。

患者からの電話を受けたスタッフは、年齢や持病の有無のほか、検査の結果を確認し、陽性だった場合はオンライン診療に切り替えて医師がビデオ通話で症状の経過などを聞き取ってからせき止めや解熱剤などの薬を処方していました。

「多摩ファミリークリニック」の大橋博樹院長は「夏の第7波では発熱外来に検査のため大勢の人が押し寄せ、重症化しそうな患者が医療にたどりつかない事態があったが、オンライン診療を導入して診察にかかる負担を減らすことで、重症化リスクの高い患者を迅速に見つけられると思う。患者にとっても自宅で待ち時間なしで受診できるメリットは大きい」と話していました。

厚生労働省 “重症化リスク低い人は自宅療養を”

新型コロナの感染拡大やインフルエンザとの同時流行で発熱患者が急増した場合、厚生労働省は、重症化するリスクが高い人に医療を提供できるようにするため重症化リスクが低い人はできるだけ発熱外来を受診せず、自宅療養するよう呼びかけていて、体調に変化を感じた場合は電話やオンラインでの診療も検討してほしいとしています。

重症化リスクが低い人は国が承認した抗原検査キットで自分で検査し、陽性だった場合は各自治体の「健康フォローアップセンター」に登録して自宅療養することになりますが、体調に変化を感じた場合は電話やオンラインでの受診を検討し、症状が重いと感じる場合などは発熱外来やかかりつけ医を受診するよう呼びかけています。

オンラインでの診療を行っている医療機関は、都道府県や各自治体のウェブサイトに掲載されています。

一方で、65歳以上の高齢者や基礎疾患がある人、妊婦、小学生以下の子どもは重症化リスクが高いため、発熱やのどの痛みなどの症状が出た場合、発熱外来やかかりつけ医、検査センターなどを速やかに受診するよう呼びかけています。

そこで新型コロナやインフルエンザの検査を受け、いずれのウイルスが陽性の場合でも入院か自宅療養で治療を行うことになります。

日本感染症学会は、自宅療養中の患者をオンラインで診療する場合、実際に対面する場合に比べて得られる情報が少ないため、重症化することが否定できない場合は対面での受診をお願いするとしています。

インフル同時流行に備え一日90万人診療できる体制に

新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が起きた場合に備え、厚生労働省は一日に最大90万人の患者を診療できる体制が整っているとしていて、このうちの2万3000人の患者について電話やオンライン診療で対応するとしています。

厚生労働省によりますと、同時流行のピーク時には都道府県の推計で81万人の患者が想定され、先月の時点で、一日最大で90万人の患者を診療できる体制が整ったということです。

このうち、重症化リスクの高い人が受診する発熱外来などで87万人に対応し、電話やオンライン診療で2万3000人に対応するとしています。

発熱外来を設置した医療機関の数は、今月14日の時点で全国で4万1850か所となっています。

また、重症化リスクの低い人が自主検査で新型コロナの陽性だった場合に登録する各自治体の「健康フォローアップセンター」については、一日で最大で20万人が登録できる体制が整ったとしています。