国連事務総長 “ウクライナめぐる和平交渉 当面難しい”

国連のグテーレス事務総長はことし最後の記者会見に臨み、ウクライナ情勢をめぐる当事者間の和平交渉は当面、難しいという見方を示したうえで「軍事的な解決策はない」と述べ、来年こそ平和を実現させるため国連としても行動すると強調しました。

19日、ニューヨークの国連本部でことし最後の記者会見を行ったグテーレス事務総長は冒頭「ことし、私たちの世界は多くの試練に直面した。地政学的な分断によって国際的な問題解決はますます困難になり、時には不可能になっている」と述べ、強い危機感を示しました。

そのうえで、ウクライナ情勢について「近い将来の当事者による和平交渉の可能性について、私は楽観的ではない」と述べ、当面、和平交渉の実現は難しく、軍事的な衝突が続くという見方を示しました。

グテーレス事務総長は、和平交渉が可能になるまでの間、国連としては人道的な支援や、国際的な食料危機を回避するためウクライナやロシアからの農産物輸出の促進などに取り組むとしました。

そのうえで「軍事的な解決策はない。各国の領土保全を尊重する国連憲章と国際法に沿ったものでなくてはならない。来年こそ平和の実現を強く望む」と述べ、国連としても行動すると強調しました。

また、気候変動対策について、国際的な取り組みは不十分だと指摘し、より踏み込んだ対策を話し合う首脳級会合を来年9月に開催すると明らかにしました。