政府 海上保安能力強化の方針を策定 国際情勢緊迫化踏まえ

沖縄県の尖閣諸島周辺海域で活動する中国公船の武装化・大型化など、緊迫化する国際情勢を踏まえ、政府は、海上保安庁の予算を2027年度に今年度の1.4倍の3200億円程度に増額することなどを盛り込んだ、「海上保安能力強化に関する方針」を策定しました。

海上保安庁の能力強化に関する文書が取りまとめられるのは2016年以来6年ぶりで、外交・防衛の基本方針である「国家安全保障戦略」など3つの文書が閣議決定されるのに合わせ、16日午前、関係閣僚会議で決定しました。

具体的には、尖閣諸島周辺海域の緊迫化などに対応するため、巡視船や航空機による領海警備能力や、無人航空機など新技術を活用した海洋監視能力を強化するとしています。

また、「戦略的な国内外の関係機関との連携・支援能力」向上のため、自衛隊と情報共有や連携を一層強化し、武力攻撃事態が起きた際に海上保安庁を防衛大臣の統制下に入れる「統制要領」を具体化し、共同訓練を行っていくことなどを明記しました。
そして、こうした能力強化のため、海上保安庁の予算を2027年度には今年度の1.4倍の3200億円程度まで増額するとしています。

岸田首相「国内外の関係機関との連携強化を」

岸田総理大臣は、関係閣僚会議で「わが国の周辺海域を取り巻く情勢は緊迫度を増しており、海上保安庁の体制や自衛隊をはじめとする国内外の関係機関との連携を強化することが必要だ。日本の海の安全を守り抜くため、海上保安庁はもちろん関係省庁も持てる力を結集し、総合力を発揮してほしい」と述べました。

斉藤国土交通相「平和で豊かな海を守り抜く」

海上保安庁の能力強化に関する文書が取りまとめられたことについて、斉藤国土交通大臣は16日の閣議のあとの会見で「新たな方針を踏まえ、大型巡視船4隻の新規整備や、無操縦者航空機の運用拡大などに直ちに取り組む。国民の皆様が安全に安心して暮らすことができるよう、平和で豊かな海を守り抜いていきたい、このように決意している」と述べました。