アメリカの「パトリオット」ウクライナに供与へ ロシア側反発

ロシア軍からのミサイル攻撃に対するウクライナの防空能力を強化するためアメリカが迎撃ミサイル「パトリオット」を供与する方向で最終調整していると伝えられています。これに対し、ロシア側は「新たな挑発行為だ」として反発しています。

ウクライナ各地では、ロシア軍が発電所などを標的にミサイルや無人機による攻撃を繰り返していて、厳しい寒さの中、深刻な電力不足が続いています。

こうした中、アメリカのCNNテレビなどは、アメリカの政府当局者の話としてバイデン政権がウクライナの防空能力の強化に向けて迎撃ミサイル「パトリオット」を供与することを、早ければ今週中にも発表すると伝えました。

アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は14日、「パトリオット」の供与について具体的な言及は避けたものの、「ウクライナにとって防空能力は緊急に必要なものであり、われわれも優先している」と述べました。

これに対し、ワシントンのロシア大使館は14日、声明で「新たな挑発行為であり、予測不可能な結果につながりかねない」と反発しています。

プーチン大統領の年次教書演説 年内開催見送りか

一方、ロシア大統領府のペスコフ報道官は14日、プーチン大統領が議会の代表や閣僚らを前に内政や外交の基本方針を示す年次教書演説について「来年行われる可能性がある」と述べ、年内の開催は見送ることを示唆しました。

大統領府は、すでに年末のプーチン大統領の大がかりな記者会見もことしは見送ることを明らかにしています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は14日、プーチン大統領は当初、年次教書演説でウクライナ侵攻の「勝利宣言」を計画していたものの、ロシア軍はことし7月以降、目立った戦果をあげていないという見方を示しました。

そのうえで「プーチン大統領はロシア国内や国際社会の問題に対し、戦争の代償を正当化できる演説を行う自信がないのだろう」と分析しています。