陸上自衛隊トップの吉田圭秀陸上幕僚長は15日の会見で「改めて今回の事案を重く受け止めている。加害者が相手に性被害を与えているという認識が欠如していた。それはハラスメントを許さないという組織風土が形成されていないところに大きな原因がある」と述べました。
また、五ノ井里奈さんに対しては「以前、会見で自分の名前と姿を表に出し、訴えざるをえない状況を作ったことに、本当に心から申し訳なく謝罪をさせていただいたが、その気持ちは今も全く変わっていない。五ノ井さんは仲間であったわけで、悲しくつらい思いをさせたことに、この組織を束ねる者として強い責任を感じている」と述べました。
そのうえで「陸上自衛隊に、ハラスメントを根絶する組織風土を本当に定着させていきたいと思っている。1回の教育で根絶できるものではないと強く認識しており、数年単位で施策を徹底することで、必ずやハラスメントを許さない風土を根づかせていきたい」と述べ、再発防止の取り組みを徹底する考えを強調しました。

元陸上自衛官の女性が性被害受けた問題 隊員5人懲戒免職処分に
元陸上自衛官の女性が所属していた部隊で性被害を受けた問題で、防衛省は、女性への性暴力を行ったとして、隊員5人を免職の懲戒処分にしました。また、必要な調査を行わないなど職務怠慢があったとして、当時の中隊長を停職6か月の懲戒処分にしました。
陸上自衛隊の福島県郡山市の部隊では、ことし6月まで所属していた五ノ井里奈さん(23)が複数の隊員から性被害を受けたと訴え、防衛省が調査を進めてきました。
その結果、当時の上司にあたる20代から40代の陸曹5人が五ノ井さんに性暴力を行ったことが確認できたとして、15日付けで免職の懲戒処分にしたと発表しました。
このうち4人は去年6月と8月、訓練後の飲食の場で胸を触ったり、押し倒して体を触ったりしたほか、別の1人がこうした行為の一部を指示して行わせていたということです。
一部の陸曹は、五ノ井さんに口外しないよう口止めしたほか、自衛隊内の調査に対して、事実を否定したり虚偽の説明を行ったりしたということです。
また、五ノ井さんから被害の訴えを受けたのに事実関係を調査しないなど、職務怠慢があったとして、中隊長だった1等陸尉を停職6か月の懲戒処分にしました。
さらに、
五ノ井さんに対し、服を脱ぐよう促す性的な発言をしたとして、3等陸尉を訓戒の処分にしたほか、
指揮監督義務違反があったとして、大隊長だった2等陸佐を注意、連隊長だった1等陸佐を口頭注意の処分にそれぞれしました。
陸上幕僚長「ハラスメント根絶する組織風土を定着させる」

五ノ井さんのSNS「誠意を持って責任をとって」

五ノ井里奈さんは今回の処分を受けて、自身のSNSに「加害者は処分の重さに関係なく、誠意を持って責任をとっていただきたい」などと投稿しています。
特別防衛監察 パワハラ・セクハラなど1400件超 被害申し出

防衛省は、組織内のハラスメントの実態を調べるためことし9月から行っている特別防衛監察について、11月末時点で1414件の被害の申し出があったことを明らかにしました。
種類別では延べ数で、
▽パワハラが1256件と8割以上を占め
▽セクハラが116件
▽妊娠や出産を理由に不利益な扱いをされるマタハラなどが34件
▽その他や不明が91件となっています。
また、組織別では
▽陸上自衛隊が822件
▽海上自衛隊が279件
▽航空自衛隊が203件
▽防衛省の内局や防衛大学校などが110件となっています。
申し出た人の内訳は、
▽現役の職員が1176件
▽退職者が100件
▽予備自衛官や即応予備自衛官などが79件
▽家族などの関係者や不明が59件だったということです。
また被害に関する組織の対応などについては、延べ数で、
▽「対応が不十分なまま終了した」が476件
▽「組織内では相談や申し出をしていない」が428件
▽「不十分な対応が継続中」が181件
▽「対応を得たが証拠不十分で終了」が111件
▽「その他や不明」が327件だったということです。
防衛省はこれらの申し出について、事実関係を確認し、本人の意向を踏まえて、被害が起きたそれぞれの組織に通知し、具体的な調査を進めているとしています。
また、防衛省はハラスメント対策を抜本的に見直すため、先月設置した有識者による会議の初会合を15日に開き、特別防衛監察の状況などについて説明したということです。
種類別では延べ数で、
▽パワハラが1256件と8割以上を占め
▽セクハラが116件
▽妊娠や出産を理由に不利益な扱いをされるマタハラなどが34件
▽その他や不明が91件となっています。
また、組織別では
▽陸上自衛隊が822件
▽海上自衛隊が279件
▽航空自衛隊が203件
▽防衛省の内局や防衛大学校などが110件となっています。
申し出た人の内訳は、
▽現役の職員が1176件
▽退職者が100件
▽予備自衛官や即応予備自衛官などが79件
▽家族などの関係者や不明が59件だったということです。
また被害に関する組織の対応などについては、延べ数で、
▽「対応が不十分なまま終了した」が476件
▽「組織内では相談や申し出をしていない」が428件
▽「不十分な対応が継続中」が181件
▽「対応を得たが証拠不十分で終了」が111件
▽「その他や不明」が327件だったということです。
防衛省はこれらの申し出について、事実関係を確認し、本人の意向を踏まえて、被害が起きたそれぞれの組織に通知し、具体的な調査を進めているとしています。
また、防衛省はハラスメント対策を抜本的に見直すため、先月設置した有識者による会議の初会合を15日に開き、特別防衛監察の状況などについて説明したということです。