“機能不全”国連安保理が会合 改革急務の意見相次ぐ

国連の安全保障理事会で、国連の機能強化を議論する会合が開かれ、大国どうしの対立で機能不全に陥っている安保理について、改革が急務だという意見が相次ぎ、来年非常任理事国になる日本も、国連の信頼を回復する必要性を訴えました。

国連安保理は、ウクライナ情勢などをめぐり、拒否権をもつ大国どうしの対立で一致した対応がとれず、機能不全に陥っていると指摘されています。

安保理では14日、多国間主義をテーマにした会合が開かれ、冒頭、グテーレス事務総長が「世界の紛争は劇的に複雑になっているが、国際的な協力の枠組みはその変化に追いついていない」と述べ、安保理を含め国連の機能強化の必要性を訴えました。

続いて、今月の議長国のインドのジャイシャンカル外相は「近年の国際システムに対するストレスが強まる中で、変化を求める声が高まり、現状が不公平で不十分であることが浮き彫りになっている」と指摘しました。
また、来年、安保理の非常任理事国となる日本からは山田外務副大臣が出席し、「ロシアによる侵攻で、国連の信頼性は危機にひんしている。国連への信頼を回復しなければならない」と訴えました。

このあと各国からも安保理の改革を求める発言が相次ぎ、現在5か国の常任理事国を増やすべきだとか、拒否権の行使に制限を設けるべきだといった意見が出されました。

一方、繰り返し拒否権を行使してきたロシアのネベンジャ国連大使は、改革は必要だとしながらも、ウクライナ情勢をめぐり欧米側を改めて非難し、従来の主張を繰り返しました。

安保理の改革にはすべての常任理事国の同意も得て国連憲章を改正する必要があることから、これまでも繰り返し議論が行われながら、実現には至っていません。

山田外務副大臣「具体的な文言に落として交渉が重要」

安保理での会合のあと、山田外務副大臣は記者団に対し「ほとんどの国が国連改革は必要だと訴えたが、いろいろな立場があり、合意を一気に作るのは難しい。どこをどう変えるか、具体的な文言に落として交渉を始めていくことが重要だ」と強調しました。