マスク着用拒否の乗客に執行猶予つき懲役2年の判決 大阪地裁

おととし関西空港に向かう旅客機で、マスクの着用を拒否して大声を出し、途中の空港に緊急着陸させたとして、威力業務妨害などの罪に問われた乗客に対して、大阪地方裁判所は執行猶予の付いた懲役2年の有罪判決を言い渡しました。被告は無罪を主張していました。

茨城県取手市の元大学職員、奥野淳也被告(36)はおととし9月、北海道から関西空港に向かう旅客機で、マスクの着用を拒否し客室乗務員に大声を出して腕をねじり上げ、途中の空港に緊急着陸させたなどとして、威力業務妨害や傷害などの罪に問われました。

裁判で、検察が懲役4年を求刑したのに対し、被告は「幼少期からぜんそくでマスクの着用は困難だ。着用するかどうかは個人に選ぶ権利がある」などと無罪を主張していました。

14日の判決で大阪地方裁判所の大寄淳裁判長は、乗務員への傷害罪は成立せず暴行罪にとどまるとしたうえで、「乗務員らの職務を阻害し安全を妨げた。考えを押し通そうとする思いが強く、自分の行為を省みていない」などとして、懲役2年、執行猶予4年を言い渡しました。

判決が言い渡されたあと、被告は「中世のような魔女狩り裁判だ。私は無罪でえん罪だ。到底容認できない」などと言いながら、裁判長に詰め寄っていました。

被告「差別感情や偏見に裁判官がとらわれ容認できない」

裁判のあと、奥野被告は報道陣の取材に応じ、「暴行も妨害もしていない。このマスク社会で、マスクをしていないことに関する差別感情やさまざまな偏見に裁判官自身がとらわれている。誤った判決で容認できるものではない」と話していました。