【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(13日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる13日(日本時間)の動きを詳しくお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

電力不足のウクライナへの支援策議論 パリで国際会議

ロシア軍による攻撃で電力不足が深刻となっているウクライナが冬を越せるよう支援策を議論する国際会議がフランス・パリで始まりました。

ウクライナでは、ロシア軍による発電所への攻撃で電力不足が深刻化し、大規模な停電が起きていて、マクロン大統領は冒頭「ロシアによるインフラ施設への攻撃の目的は脅威を与えることであり、戦争犯罪だ。今回の会議ではウクライナが冬を越せるよう、具体的な支援を導きたい」と述べ、各国に結束を呼びかけました。

続いて、ゼレンスキー大統領がオンラインで演説し「多くの電力施設が攻撃を受け、毎日、数百万人が停電の状況に置かれている」と述べ、支援を要請しました。

会議で各国は人道支援のための新たな施策を打ち出すほか、民間企業も参加し、インフラの早期復旧のための施策を議論する予定です。また、必要な支援などの情報を各国で共有する仕組みも立ち上げるということです。

南部オデーサ州でエネルギー関連施設に攻撃

ウクライナ南部オデーサ州では、ロシア軍によるエネルギー関連施設の攻撃で州内の広い範囲で停電が発生するなど、市民生活への影響が続いています。

ウクライナ国防省の高官は、アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズに対し、「ロシア軍はまだ3回から5回の大規模なミサイル攻撃を行うだけのミサイルを保有している」と分析し警戒を強めています。

プーチン大統領 年末の記者会見を見送り

ロシア大統領府のペスコフ報道官は12日、年末のプーチン大統領の大がかりな記者会見をことしは見送ると明らかにしました。

この会見はプーチン氏が2012年に大統領に復帰して以来、毎年行ってきたもので、去年はおよそ4時間にわたって内外のメディアの質問に答えていました。

戦況を分析するイギリス国防省は13日「恒例のイベントが開催されないのはこの10年で初めてだ。誠実さを示す機会としてプーチン大統領は会見を重視してきた」と指摘しました。

そのうえで「ロシア国内で反戦感情がまん延していることを懸念し、クレムリンは記者会見で『特別軍事作戦』の質問が集中することに極めて神経をとがらせている」と分析しています。

ゼレンスキー大統領 和平へ10項目実行に移すため首脳会議開催を

G7=主要7か国の首脳会議にオンラインで参加したウクライナのゼレンスキー大統領は、自身が提言している和平に向けた10のポイントを実行に移すため特別な首脳会議を開催しようと呼びかけました。

ゼレンスキー大統領は、先月インドネシアで開かれたG20サミット=主要20か国の首脳会議にオンラインで参加した際、和平に向けた10のポイントについて提言しました。

10のポイントとは次の通りです。
1.放射線と原子力の安全
2.食料の安全保障
3.エネルギーの安全保障
4.捕虜の解放
5.国連憲章の履行やウクライナの領土保全と世界秩序の回復
6.ロシア軍の撤退と戦闘の停止
7.戦争犯罪や被害補償などに関する正義の回復
8.攻撃によって破壊された環境の再生
9.エスカレーションの回避
10.文書などによる戦争終結の確認

そして「ロシアには、外交的解決に向けた具体的かつ意味のある一歩を踏み出すことを提案したい」と述べました。

ウクライナが停戦交渉などに応じる条件にあたるのかなどは明らかにされていませんが、ゼレンスキー大統領としては今後、交渉が始まった場合に備えてウクライナ側の要求を明確にしておく狙いがあるとみられます。

ゼレンスキー大統領 G7首脳の支援に謝意 来年も支援継続訴え

ウクライナの東部や南部で戦闘が続く中、G7=主要7か国の首脳は12日、オンラインで首脳会合を開き、ウクライナの人たちが冬を越すための支援を行うとともに、防空システムの供与に向け調整を進めることなどを確認しました。

首脳会合にオンラインで参加したウクライナのゼレンスキー大統領は、12日に公開した動画で「私は、支援についてパートナーたちに感謝するとともに、ことしと同じ支援を来年も続けるよう求めた」と述べ、謝意を示すとともに来年も支援を継続するよう訴えました。

松野官房長官「未曽有の危機 G7の対応を日本が主導」

松野官房長官は、閣議のあとの記者会見で「今後とも現地のニーズを的確に把握しながら、国際社会と連携しつつ、ウクライナの人々に寄り添った支援で積極的な役割を果たしていく」と述べました。

そのうえで「世界はロシアによるウクライナ侵略など未曽有の危機に直面しており、G7=主要7か国が果たすべき役割は一層重要になっている。来年の『G7広島サミット』では法の支配に基づく国際秩序を守り抜くという決意を明確に示し、G7としての対応を日本が主導していきたい」と述べました。

米 アフリカに550憶ドル支援表明 ロシアに対抗か

アメリカのバイデン大統領は、アフリカのおよそ50の国の首脳らを首都ワシントンに招いて13日から3日間の日程でアメリカ・アフリカ首脳会議を開きます。

これを前にホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は12日、会見で今後3年間でアフリカ各国に対して550億ドル、日本円にして7兆5000億円余りの支援を行うことを明らかにしました。
また、首脳会議ではバイデン大統領がAU=アフリカ連合のG20=主要20か国のメンバー入りを支持する考えを示す見通しです。

アメリカ政府が主催するアフリカとの首脳会議はオバマ政権で開催されて以来、8年ぶりです。

アフリカでは、中国やロシアが影響力を強めていて、中国は、去年1年間の(2021)貿易額がアメリカのおよそ4倍にあたる2500億ドル余りにのぼっているほか、ロシアも軍事力を通じて関係を深めているだけにアメリカとしては、首脳会議を通じて対抗したい考えです。

ウクライナ南部 広い範囲で停電も復旧進まず

ウクライナ南部では、オデーサ州でエネルギー関連施設がロシア軍の攻撃を受けた影響で、州内の広い範囲で停電が発生していて、ウクライナ国営の電力会社は12日、風雪にさらされるなど悪天候もあって復旧が思うように進まない現状を訴えました。

また、ヘルソン州の知事は12日にウクライナ軍が先月奪還した州都ヘルソンで再びロシア軍による砲撃を受け、合わせて3人が死亡、8人がケガをしたほか、市内の病院やガスパイプラインが損壊したとSNSに書き込みました。

ウクライナ国防相 “ぬかるむ地面の凍結利用し反撃強める”

ウクライナのレズニコフ国防相は11日に行った記者会見で「われわれが反撃をやめることはない。ぬかるんだ地面が固まるのを利用して反撃と領土解放の作戦を続けていく」と述べ、冬場で地面が凍り、戦闘車両が移動しやすくなる時期に反撃を強めていく考えを示しました。

プーチン大統領の年末の記者会見“ことしは異例の見送り”

ロシア大統領府のペスコフ報道官は12日、プーチン大統領が毎年行ってきた年末の大がかりな記者会見を、ことしは見送ると明らかにしました。

プーチン大統領が国内外のメディアを集め、長時間にわたって直接質問に答えながら持論を展開するもので、去年12月に開いた会見では、欧米がNATO=北大西洋条約機構を東に拡大し続けてきたためロシアの安全保障が脅かされていると主張していました。

ペスコフ報道官は会見を見送った理由には触れず「大統領は外国訪問の際などに記者会見を定期的に行っている」と述べたうえで、これとは別に大統領府の担当記者と話す機会を探るとしていますが、独立系メディアは伝統となってきた記者会見が見送られたのは異例だと伝えています。

EU ウクライナへの追加軍事支援決定

EU=ヨーロッパ連合は12日、ベルギーのブリュッセルで外相会議を開き、ウクライナへの軍事支援を継続するため、支援を行う基金の規模を来年に20億ユーロ、日本円にして2800億円余り追加で拡大することで合意し、今後も支援を続ける姿勢を明確にしました。

また、イランに対して、ロシアにウクライナへの攻撃に使う無人機を供与していることやイラン国内での抗議活動を受け入れがたい方法で抑圧しているなどとして追加制裁を科すことを決め、あわせておよそ30の団体と個人をEUへの渡航禁止や域内の資産凍結の対象としました。

一方でロシアに対する禁輸の対象の拡大などといった追加制裁をめぐっては一部の国の合意が得られず、協議を続けることになりました。

EUボレル上級代表 「凍えさせようとするのは戦争犯罪だ」

EUの外相にあたるボレル上級代表は記者会見で、ロシア軍がウクライナのエネルギー関連施設への攻撃を続けていることについて「多くの人々を冬のさなかに寒さや暗闇のなかで凍えさせようとするのは戦争犯罪だ」と述べてロシアを非難したうえで、ロシアへの追加制裁も早期に科すことに意欲を示しました。

G7首脳 オンライン会合 ウクライナ越冬支援など確認

G7=主要7か国の首脳は、12日、オンラインで首脳会合を開き、ロシアによるインフラ施設への攻撃を受けるウクライナの人たちが冬を越すための支援を行うとともに、防空システムの供与に向け調整を進めることなどを確認しました。

首脳会合に参加したウクライナのゼレンスキー大統領は、12日に公開した動画で「G7の会合に参加するのはこれで5回目になるが、今回は特にこの冬の支援について話し合った。私はパートナーたちに感謝するとともに、ウクライナに対してことしと同じ支援を来年も継続するように求めた。世界が真に団結していれば、侵略者の意図に関係なく、団結した世界が今後の展開を決める」と述べ、G7の支援に謝意を示しました。

さらに、フランス政府が主催して13日にパリで開かれるウクライナ支援の会議について「この冬を乗り切るためのウクライナの再建と強じん化に関する会議が行われる。特にエネルギー分野病院などの復旧について話し合われるので、ウクライナにとってとても重要な会議で、私も参加する」と述べて会議の成果に期待を示しました。

岸田首相「インフラへの攻撃は断じて容認できない」

オンラインで開かれたG7の首脳会合で岸田総理大臣は、ロシアの軍事侵攻の継続により、ウクライナ全土で大規模な停電が断続的に起きていることに強い懸念を表明するとともに、市民生活に直結するエネルギー・インフラへの攻撃は断じて容認できないとロシアを強く非難しました。

また、冬の寒さが本格化する中、電力不足への対応が目下の最大の課題だとして、国際機関とも連携し、さらなる越冬支援などを進めていく方針を表明しました。

その上で、来年のG7の議長国としてウクライナの復興に向けて貢献していく考えを伝えました。

また、岸田総理大臣は、来年の「G7広島サミット」では、力による一方的な現状変更や核による脅しを断固として拒否するG7の強い意思を示していきたいと強調し、各国首脳から支持が伝えられました。