防衛力強化に向けた自民・公明両党の実務者協議は15回目の会合を開き、政府が策定する▽「国家安全保障戦略」▽「国家防衛戦略」▽「防衛力整備計画」の3つの文書の案について合意しました。
このうち、
▽国の外交・防衛の基本方針「国家安全保障戦略」には安全保障上の課題となる国として中国と北朝鮮に加え、ウクライナへの侵攻を続けているロシアも新たに加えられています。
中国の動向については「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と記述し、アメリカの戦略と足並みをそろえています。
▽「国家防衛戦略」は、防衛力整備の指針「防衛計画の大綱」に代わる文書で、敵のミサイル発射基地などをたたく「反撃能力」を保有することを明記しています。
反撃能力を「必要最小限度の自衛の措置」と定義し、専守防衛の考え方に変わりがないことを強調しています。
▽「防衛力整備計画」は、防衛費総額や装備品の整備規模を定めた「中期防衛力整備計画」に代わる文書で、計画の期間を「10年」に延長した上で前半の5年間の防衛力整備の水準を今の計画の1.5倍程度にあたる43兆円とするとしています。
また、反撃能力を行使するために敵の射程圏外から攻撃できる「スタンド・オフ・ミサイル」の量産など、防衛力の抜本的な強化策が7つの分野ごとに具体的に盛り込まれています。
自民党と公明党の間では、ことし8月に中国が発射した弾道ミサイルが日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下したことについて、当初「国家防衛戦略」に「わが国および地域住民に脅威と受け止められた」と記述されていたことをめぐり、公明党が「外交上、好ましくない」として削除するよう求め、調整が続いていました。
最終的には、「わが国」を削除し、「地域住民に脅威と受け止められた」とすることで決着したということです。
両党の合意を受けて、政府は与党内の手続きを経て近く閣議決定することにしています。

自民・公明 “安保3文書”案で合意 「反撃能力」保有を明記
政府が改定する「国家安全保障戦略」など3つの文書の案について、自民・公明両党は実務者協議で合意しました。
敵のミサイル発射基地などをたたく「反撃能力」を保有することなどが明記されていて、政府は与党内の手続きを経て近く閣議決定することにしています。
【詳しく】“安保3文書”って何ですか?どうなるの?

自民 小野寺元防衛相「抑止力につながる」
与党の実務者協議で、座長を務める自民党の小野寺元防衛大臣は「3文書でまとめた内容は、わが国の防衛力の強化、そして抑止力につながり、平和国家・日本がこれからも維持されることにつながるよう、しっかりと議論したつもりだ」と述べました。
公明 佐藤国対委員長「自民党と議論した価値高かった」
与党の実務者協議で、座長代理を務める公明党の佐藤国会対策委員長は「戦後の安全保障政策の転機と言われるような反撃能力の保有も含めて、自民党と議論した価値は非常に高かった」と述べました。
共産 小池書記局長「明らかに憲法違反 真正面から反対」
共産党の小池書記局長は、記者会見で「暮らしも経済も破壊する道で、必要最小限度の防衛力どころか、必要最大限の攻撃力になりかねず、明らかに憲法違反だ。日本の安全を守るどころか、安全を脅かすことになり、許されない。真正面から反対していきたい」と述べました。