ワールドカップ モロッコ ポルトガル破りアフリカ勢初ベスト4

サッカーワールドカップカタール大会、決勝トーナメントの準々決勝、モロッコ対ポルトガルは、モロッコが1対0で勝ってアフリカ勢として初めてのベスト4進出を果たしました。

世界ランキング22位のモロッコは、決勝トーナメントの1回戦で、優勝経験のあるスペインをペナルティーキック戦の末破り、今大会ヨーロッパと南米のチーム以外で唯一ベスト8に勝ち上がりました。

準々決勝はドーハにあるアルスマーマスタジアムで日本時間の11日午前0時から行われ、世界ランキング9位のポルトガルと対戦しました。

試合は序盤からモロッコがポルトガルに積極的にプレッシャーをかけてボールを奪い、チャンスを作りました。
そして前半42分、左サイドからのクロスボールにフォワードのユーセフ・エンネシリ選手が頭で合わせて先制し、前半を1対0で折り返しました。
後半、ポルトガルが1次リーグで史上初の5大会連続ゴールを決めたエース、クリスチアーノ・ロナウド選手を出場させると攻め込まれる時間が長くなり、ゴールキーパーのヤシヌ・ブヌ選手が相手のシュートを何度も防ぐ場面が続きました。

それでもアラブ諸国のチームとして唯一ベスト8入りしたモロッコはホームのような大歓声を背に粘り強く堅い守りで得点を許しませんでした。

この試合のボール保持率はポルトガルの61%に対し、モロッコは23%で決勝トーナメント1回戦のスペイン戦同様相手に圧倒されましたが、決定的な場面をしのぎ1対0で勝ってアフリカ勢として初めてのベスト4進出を果たしました。
一方、初優勝を目指したポルトガルはロナウド選手がゴール前だけでなくサイドからも積極的に動いてチャンスを作りましたが、決定力を欠き2006年ドイツ大会以来のベスト4進出はなりませんでした。

モロッコ監督「とても幸せ」

アフリカ勢初のベスト4進出を果たしたモロッコのワリード・レグラギ監督は試合直後のインタビューで「試合前に『アフリカのために歴史を作らなければならない』と言った。それができてとても幸せだ」と興奮した様子で話しました。

そして「私たちも成長している。スタッフ全員に感謝したい。まだ終わっていない」と述べて次の準決勝を見据えていました。

ポルトガル ぺぺ「優勝する力があったができなかった」

ポルトガルのディフェンダー、ぺぺ選手は試合後のインタビューで「自分たちはゲームを支配していたが予想していなかったところでゴールを決められた。悲しいことだ。自分たちには優勝する力があったができなかった」と話しました。

ポルトガル サントス監督「試合ですべてを出しきれず」

モロッコに敗れたポルトガルのフェルナンド・サントス監督は試合後のインタビューで「選手はいつもどおりのパフォーマンスができなかった。われわれはこの試合ですべてを出しきれなかった。ゴールチャンスはあったが得点できなかった」と述べ、攻めながら無得点に終わった試合を振り返りました。

その上で「選手たちは一生懸命頑張ったと思う。ワールドカップで敗退する痛みはいつでも同じだ」と話しました。

ベスト8突破が大きな壁となっていたアフリカ勢

アフリカ勢はこれまでワールドカップで3回準々決勝に進出しましたがいずれも敗れベスト8突破が大きな壁となっていました。

▽1990年のイタリア大会ではカメルーンがイングランドに
▽2002年の日韓大会でセネガルがトルコに
▽2010年の南アフリカ大会でガーナがウルグアイに準々決勝で敗れています。
今大会、モロッコは堅い守りと粘り強い試合運びでここまで5試合で失点は1次リーグのカナダ戦の1点だけとなっています。

ベルギー、スペイン、ポルトガルといったヨーロッパの強豪相手でも守りは大きく崩れず、ペナルティーキック戦を制したほか、少ないチャンスで得た得点を守り抜いて勝利してきました。

アフリカ勢として初めて臨む準決勝の舞台でも堅い守りを中心とした戦いぶりに注目が集まります。

アフリカ諸国やアラブ圏で喜びの声

サッカーワールドカップカタール大会で、北アフリカのモロッコがアフリカ勢として初めてベスト4進出を果たしたのを受けて、地元モロッコをはじめアフリカ諸国やアラブ圏では喜びの声があがっています。

モロッコ最大の都市カサブランカでは10日、大勢のファンが大型スクリーンで試合を観戦し、勝利が決まると、その場で飛び跳ねたり歓声を上げたりして興奮を抑えきれない様子でした。

訪れた男性は「とてもうれしいです。すべてがうまくいき、決勝戦は私たちのものになるでしょう」と話していました。

このほか、同じ北アフリカのリビアやチュニジアの都市でも、多くの人たちが屋外に集まり、モロッコの旗を掲げるなどして勝利を祝う姿が見られました。

AU=アフリカ連合の議長を務める、西アフリカ・セネガルのサル大統領は10日、ツイッターに「歴史的で、大変すばらしいことです。ブラボー、モロッコ」と投稿しました。

中東各地でもモロッコの勝利を祝福する声が上がっていて、パレスチナ・ガザ地区で試合を観戦した男性の1人は「世界中のすべてのアラブ人に胸を張らせてくれた、モロッコの選手たちを祝福したいです。ワールドカップでの優勝を願っています」と話していました。

シャンゼリゼ通りなどに大勢のモロッコサポーター

サッカーワールドカップ カタール大会で、アフリカ勢として初めてベスト4進出を果たした北アフリカ・モロッコの次の対戦国、フランスには、かつて保護領だったモロッコからの移民が多く暮らしています。

10日、パリ中心部のシャンゼリゼ通りなどには、大勢のモロッコサポーターが集まり、ベスト4進出が決まると、国旗を掲げたり飛び上がったりしながら喜びを分かち合っていました。

その後、フランスがイングランドに勝利し、準決勝での対戦が決まると、フランスサポーターも加わってさらに盛り上がり、地元メディアによりますと、およそ2万人が集まったということです。

一方、一部のサポーターが通りの店舗の入り口を壊そうとしたり、警察と衝突したりして混乱も起きました。

現地の映像からは、サポーターとみられる男性が警察官に取り押さえられている様子や火の手が上がっている様子などが確認できます。

モロッコとフランスの準決勝は、日本時間の15日に行われます。