【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(10日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる10日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ外相「ウクライナにも攻撃の権利」

ロシア中部の空軍基地などで相次いだ爆発や無人機による攻撃について、ウクライナ側はこれまでに公式な発表はしていません。

これに関連して、アメリカの有力紙、ウォール・ストリート・ジャーナルの電子版は、今月8日付けで、ウクライナのクレバ外相のインタビューを掲載しました。

このなかでクレバ外相は「ロシアがウクライナであらゆることができるのにウクライナに同じ権利がないというのは、間違っている」と述べ、ウクライナ軍がロシア領内に攻撃することを正当化した発言とみられています。

米 ロシアとイランが軍事的関係深めていることに懸念

ウクライナ情勢をめぐってイランがロシアに無人機を供与するなど、軍事的な関係を深めていることについて、アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は9日、記者団に対し「ロシアは、両国の関係を本格的な防衛パートナーシップに変えようとしている」と述べて警戒感を示しました。

そして、アメリカの情報機関の分析だとしたうえで、両国がロシア国内で攻撃用の無人機の共同生産を検討しているとの見方を示しました。

また、カービー調整官は、ロシアが見返りにイランに対してヘリコプターや防空システムなどを提供している可能性があるとし、ロシアが「前例のないレベルで軍事・技術協力をしている」と述べ懸念を表明しました。

ドネツク州で激しい攻防戦続く 砲撃で1人死亡3人けが

ウクライナ東部のドネツク州では、ウクライナ側の拠点の1つ、バフムトをめぐる激しい攻防戦が続いています。

ドネツク州のキリレンコ知事は、バフムトから南に20キロ余り離れたトレツクで、少なくとも12棟の住宅が砲撃を受け、1人が死亡、3人がけがをしたと、9日、SNSに投稿しました。

また、ゼレンスキー大統領は9日、新たな動画を公開し「前線は依然として厳しい状況だ。砲撃や火災の被害を受けていない住宅地はもはや残っていない。ロシアはバフムトを破壊し尽くしている」と訴えました。

ロシア西部 日産自動車の工場 ロシアの自動車大手が引き継ぐ

ロシアのインターファクス通信などによりますと、マントゥロフ産業貿易相は9日、記者団に対し、ロシア西部のサンクトペテルブルクで日産自動車が運営していた工場をロシアの自動車大手アフトワズが引き継ぐことになったと明らかにしたということです。来年、生産を開始する見通しだとしています。

国連安保理 緊急会合で武器供与めぐり欧米とロシアが非難の応酬

ウクライナ情勢をめぐり、国連安保理は9日、ロシアの要請で緊急会合を開き、ネベンジャ国連大使は、欧米がウクライナに供与した武器の一部が国外に流出しテロリストに渡っていると主張し「国際社会の平和と安定にとってリスクだ」と述べて欧米やウクライナを非難しました。

これに対して、ウクライナのキスリツァ国連大使は、各国から供与を受けた武器の管理は徹底していると強調したほか、欧米各国は、ロシアの主張には証拠がないと反論しました。

さらに、イギリスのウッドワード国連大使は、ロシアは安保理決議に違反してイランから供与された無人機などでウクライナを攻撃しているとして批判したほか、アメリカのミルズ国連次席大使は「ロシアは、偽の情報を流してウクライナへの国際的な支援を弱めようとしている」と述べ、武器の供与をめぐり欧米とロシアの双方による非難の応酬となりました。

ことし世界各地で殺害されたジャーナリスト ウクライナが最多に

IFJ=国際ジャーナリスト連盟は、ことし世界各地で殺害されたジャーナリストの人数が、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響などもあり、去年より20人増えて67人に上ったと9日、発表しました。

国別で最も死者が多かったのがウクライナで、銃撃を受けるなどして12人が殺害されたということです。

また、犯罪組織の活動が問題となっているメキシコでは11人、政情不安が続くカリブ海の国ハイチでも6人が殺害されたとしています。

ジャーナリストが殺害されるケースは、近年、減少傾向が続いていたということですが、ウクライナ情勢の悪化などを背景に、犠牲者の増加に転じた形です。

国際ジャーナリスト連盟のアントニー・ベランジェ事務局長は「ジャーナリストの殺害の急速な増加は、民主主義の重要な柱の1つであるジャーナリズムを守るよう、警鐘を鳴らしている。行動を起こさなければ、自由な情報の流れを抑圧しようとする者に、力を与えるだけだ」とコメントし、懸念を表しました。

“軍のうその情報広めた” ロシアの野党指導者に禁錮刑の判決

ロシアの国営通信によりますと、首都モスクワの裁判所は9日、野党指導者のイリヤ・ヤシン氏に対してウクライナ情勢をめぐりロシア軍に関するうその情報を広めたとして、禁錮8年6か月の実刑判決を言い渡したということです。

ヤシン氏は、ことし4月ロシア軍が撤退したウクライナの首都キーウ近郊のブチャで多くの市民が殺害されているのが見つかったことを動画投稿サイト、ユーチューブで批判し、その後、ロシア当局に身柄を拘束されました。

ヤシン氏は判決を受けSNSに声明を投稿し「ヒステリックな判決で当局は私たち全員を怖がらせようとしているが、実際は自分たちの弱さを見せているだけだ。弱い者は反対意見を焼き払い、人々の口をふさごうとする」と述べ言論統制を強めるプーチン政権を強く非難しました。

ロシアのプーチン大統領は9日、訪問先の中央アジアのキルギスでヤシン氏の判決について記者から問われ「裁判所の決定を問うことは適切ではないと考える」と述べ、コメントを避けました。

ザポリージャ原発 “職員がロシア軍の兵士から暴行”

ウクライナの原子力発電公社「エネルゴアトム」は、ロシア軍が占拠を続けるウクライナ南部のザポリージャ原子力発電所で、職員がロシア軍に連れ去られたり、拘束されたりする被害が相次ぎ、弾圧が強まっているとする声明を発表しました。

声明によりますと、今月8日、原発に勤める職員2人が同僚の目の前でロシア軍の兵士に激しい暴行を受け、どこかへ連れて行かれたとしています。

また、原発の安全管理を担う責任者の1人も、ロシア軍によって拘束され、地下に閉じ込められたということです。

エネルゴアトムは、ロシア軍がこうした行動を取るのは、原発の職員を自分たちに従わせるためだという見方を示したうえで「ロシア軍から職員を解放するため、IAEA=国際原子力機関と国際社会に、あらゆる手段を講じるよう求めたい」としています。