観光船沈没 “ハッチから海水流入” 運輸安全委 報告書公表へ

知床半島沖の観光船の沈没事故について、国の運輸安全委員会が船の前方にあるハッチから海水が入り込んだ可能性が高いとする調査報告書をまとめ、近く公表することが関係者への取材で分かりました。ハッチのカバーが十分に締まっていない状態で航行していた疑いがあるということです。

ことし4月に知床半島の沖合で観光船「KAZU 1」が沈没した事故では、国の運輸安全委員会が事故原因について調査を進めています。

これまでの調べで、前方の甲板から船底にある船の倉庫=船倉につながる「ハッチ」のカバーが外れていたことが分かっていますが、運輸安全委員会は海底から引き揚げられた船体を詳しく調べるなどした結果、ハッチから海水が入り込んだ可能性が高いとする報告書をまとめたことが関係者への取材で分かりました。

「ハッチ」を密閉するカバーが十分に締まっていない状態で航行していた疑いがあるということです。

また、▽甲板の下にある2つの船倉と、▽エンジンがある機関室、それに▽かじの近くの「だ機室」と呼ばれる部屋を仕切る3か所の壁に穴が開いていたことも分かっていて、これらの穴を通って浸水が広がったとみられています。

運輸安全委員会は、近く報告書を公表することにしています。

この事故では20人が死亡、今も6人の行方が分からなくなっていて、海上保安庁は捜索を続けるとともに、業務上過失致死の疑いで捜査を進めています。