新型コロナの感染症法上の扱い 改めて議論へ 政府分科会

新型コロナ対策について話し合う政府の分科会が開かれ、感染症法上の扱いについて議論が行われました。委員からは重症化率が低下しているなどとして、扱いの見直しを求める意見が上がった一方、感染力の強さや死亡者が多いことを踏まえるべきだとする意見も出て、最新のデータに基づいた感染した場合の重症度などの評価をもとに、改めて議論することになりました。

新型コロナは現在、感染症法上、感染拡大を防ぐための厳格な措置が可能となっていますが、厚生労働省などで、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」への引き下げを含め、扱いの見直しについて議論が進められています。

9日の分科会でも議論が行われ、経済の専門家などからは、コロナに感染した人の重症化率や致死率が下がり、季節性インフルエンザに近づきつつあるとして、扱いの見直しなどについて早急に検討するよう求める意見が出されたということです。

一方、医療の専門家からは、重症化率や致死率だけでなく、オミクロン株は感染力が強く亡くなる人の数自体は非常に多くなっていて、さらに年間を通じて感染が続いていることから、季節性インフルエンザと同等の病気だと評価するのは難しいという意見が出されたということです。

このため、新型コロナの病原性などについて、厚生労働省の専門家会合で最新のデータをもとに評価し、分科会で改めて議論することになりました。

分科会の尾身茂会長は、会合のあとの記者会見で「『2類相当か5類』かという結論が先の議論ではなく、いま、新型コロナがどのような病気かという評価を行ったうえで、いま行われている措置のうち、何をやめるべきで、何を続けるべきなのか議論すべきだという意見が多かった」と述べました。

年末年始に向け事前の対応など呼びかけ

新型コロナウイルスの感染の増加が全国的に続くと見込まれ、年末年始に向けて多くの感染者が出て、医療への負荷が高まる可能性があるとして、政府の分科会は、
▽オミクロン株に対応するワクチンの早期接種
▽医療ひっ迫防止への協力
それに、
▽十分に換気し、帰省前には検査を受けること
などを呼びかけました。

この中で分科会は、欧米諸国と比べて、日本は新型コロナに感染した人の割合が低いことや、今後、免疫が時間の経過で弱まることや、免疫を逃れやすい変異ウイルスへの置き換わりなどによって多くの感染者が出て、医療への負荷が高まる可能性があるとしています。

このため分科会は、オミクロン株対応のワクチンの接種を年内に行うよう呼びかけました。

従来型のワクチンを上回る重症化予防効果、発症や感染を予防する効果が期待されるとしています。

また、感染拡大時に医療のひっ迫が起きないよう、重症化リスクが低い人は、発熱などの症状が出た際、
▽自分で抗原検査キットでの検査を検討することや、
▽特に年末年始は、医療機関の体制が通常とは異なるため、自分の住む地域の医療機関をあらかじめ確認し、
▽検査キットや解熱薬を事前に購入して対応するよう、
求めています。

そして、感染対策として、
▽定期的に窓を開けるなどの十分な換気を行うほか、
▽帰省する人は、高齢の親族と接する機会が多くなるため、事前に検査を受けることが必要だとしています。

松野官房長官「一部地域で感染者数増加 ワクチン接種を」

松野官房長官は午後の記者会見で「新規感染者数は足元では横ばいだが、一部の地域では引き続き感染者数の増加が見られるなど地域差がある。今後の変異株の置き換わりの状況や、接触機会の増加などが感染状況に与える影響に注意が必要だ」と述べました。

そのうえで、「全人口に対するオミクロン株対応ワクチンの接種率は24%と、G7=主要7か国で接種率を公表している6か国の中では、イギリスに次ぐ高い水準だ。引き続き情報発信に努め、希望するすべての対象者が年内にワクチン接種を受けられるよう、取り組んでいきたい」と述べました。