防衛費増額“財源に増税” 自民 政務調査会で慎重な意見相次ぐ

防衛費の増額をめぐり、岸田総理大臣が不足する財源を賄うため、与党に増税の検討を指示したことを受けて、自民党の政務調査会の全体会議が開かれ、出席者からは、増税に理解を示す声が出た一方、拙速な増税の議論に反対や慎重な意見が相次ぎました。

防衛費の増額をめぐり、岸田総理大臣は8日夜、5年後の2027年度にGDPの2%に達する予算措置を講じ、その後も安定的に維持するには1兆円余りの財源が不足するとして与党に増税を検討するよう指示しました。

これを受けて9日、自民党の税制調査会は、宮沢会長ら幹部が会合を開いて具体的な議論を始めました。

一方、党の政務調査会は、党所属のすべての国会議員が参加できる全体会議を開き、およそ80人が出席する中、萩生田政務調査会長は「きたんのない意見をいただき、今後の対応について考えていきたい」と述べました。

全体会議では、「防衛費の増額は責任ある財源とセットで決めるべきだ」として増税に理解を示す声が出た一方、「年末までに決めるのではなくじっくり議論する必要がある」とか「財源の選択肢として国債の発行も加えるべきだ」などの意見が相次ぎました。

政務調査会の幹部によりますと、会議では50人を超える議員が発言し、このうちおよそ40人が拙速な増税の議論に反対や慎重な意見だったということで、萩生田氏が宮沢氏や政府側に内容を伝えることになりました。

安倍派 稲田元防衛相「安定財源として税も含めて議論すべき」

自民党安倍派の稲田元防衛大臣は、記者団に対し「防衛費をGDPの2%にすることは非常に重要であり、5年後までに防衛力の抜本的強化が必要だとすれば、それをすべて国債や安定しない財源に頼ることは非常に無責任だ。しっかりとした安定財源として税も含めて議論すべきだ」と述べました。

安倍派 谷川衆院議員「首相の増税発言 容認できず」

自民党安倍派の谷川とむ衆議院議員は、記者団に対し「抜本的な防衛力強化のために43兆円を確保したことは評価できるが、党で議論していない中で、岸田総理大臣が増税と発言したことについては勝手に決められた感じがして容認できない。増税は国民の負担をかけることにもなり、経済界にも賃上げや投資をお願いしている中で、経済界から反発を招くのは必至だ」と述べました。

岸田派 石原衆院議員「増税は1つの選択肢」

自民党岸田派の石原正敬衆議院議員は、NHKの取材に対し「防衛費は、非常に大事な国の根幹であり、安定財源として増税は1つの選択肢になる。幅広く議論していくべきだ」と述べました。

谷垣グループ 牧原衆院議員「いきなりの増税議論は拙速」

自民党谷垣グループの牧原秀樹衆議院議員は、記者団に対し「今後の防衛の在り方を考えればきちんとした安定財源を求めていくべきだが、いきなり増税するという議論は拙速だ。社会保障や子育て支援の在り方などいろんな政策を飛ばして防衛だけに焦点を充てるやり方は乱暴だ」と述べました。