ドイツ “貴族”裁判官など25人逮捕 国家転覆と独自政府計画か

「ハインリヒ13世」を名乗る男。いったい、どのような人物なのでしょうか。

ドイツの連邦検察は、国内のテロ組織に関わっていたとして「ハインリヒ13世」を名乗る貴族の家系出身とみられる男や現職の裁判官など25人を逮捕しました。
検察は、男らが国家の転覆と独自の政府の樹立を企てていた疑いがあるとみて組織の実態解明に向けて捜査を進めています。

ドイツの連邦検察は7日、およそ3000人の警察官らを投入して国内各地とイタリア、オーストリアの合わせて130か所以上でテロ組織の摘発に乗り出し、組織に参加したり、支援したりした疑いで25人を逮捕しました。
検察の発表によりますと、このなかには「ハインリヒ13世」を名乗る貴族の家系出身とみられる男や退役軍人、それに去年まで連邦議会議員を務めていた現職の裁判官なども含まれているということです。

ドイツがいわゆるディープ・ステート=闇の政府に支配されているという陰謀論を信じ、去年11月ごろから国家の転覆と独自の政府の樹立を企てて会合を重ねていたとみられています。
また、この組織には、内閣のような部門や軍事部門も設けられ、ドイツ軍や警察の関係者を勧誘しようとしていたということで、武装したグループで連邦議会の議事堂に押し入る計画を立てていた疑いもあるとしています。
検察は、この組織が、戦後のドイツを否定する集団「ライヒスビュルガー」や過激な陰謀論を信じる「Qアノン」の影響を受けていた可能性もあるとみて、組織の実態解明に向けて捜査を進めています。

“ドイツが闇の政府に支配されている” 計画を立てた組織とは

ドイツの連邦検察の発表によりますと、この組織は、極右勢力の「ライヒスビュルガー」や過激な陰謀論を信じる「Qアノン」の影響を受け、ドイツがいわゆるディープ・ステート=闇の政府に支配されているという陰謀論を信じているとしています。

「ライヒスビュルガー」は「帝国市民」を意味し、戦後のドイツを否定しています。

イギリスの公共放送BBCは、ドイツ政府の統計として、「ライヒスビュルガー」や同じような思想を持つグループは、去年、1000件以上の過激犯罪を行ったとして摘発されその数は、おととしから2倍に増えていると伝えています。

ドイツの人たちの受け止めは ベルリン支局 田中顕一支局長

「治安当局がクーデターを防いだ」
ドイツの新聞はいずれも今回の事件を1面のトップで大きく扱っています。

ドイツではロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響で、エネルギー価格が高騰。国民の負担が増え続けています。
ただ、国民の国家や民主主義に対する信頼は厚く、国家に反逆する動きを企てていた疑いのある組織の存在が明らかになったことに衝撃が広がっています。

検察のこれまでの調べでは、逮捕された25人の中には、軍の特殊部隊の兵士なども含まれていたほか、この組織がロシア側と連絡を取ろうとしていたことなどもわかっています。

ドイツの連邦検察は、事件の背景やこの組織の実態など、全容解明を急いでいます。