ロシア空軍基地爆発相次ぐ プーチン政権 事態深刻に受け止めか

ロシア国内の複数の空軍基地で起きた爆発をめぐり、プーチン政権は、ウクライナとの国境から遠く離れた基地が攻撃された事態を深刻に受け止めているものとみられ、ロシア側の今後の対応が焦点です。

ロシア中部と南部の空軍基地で5日、爆発が相次ぎ、ロシア国防省は、ウクライナ側が無人機を使って、駐機中の軍用機に攻撃を仕掛けたと主張しました。

また、6日には、ウクライナと国境を接するロシア西部の飛行場に近い石油施設が、無人機による攻撃を受けたと、地元の州知事がSNSで明らかにしました。

ウクライナ政府は、これまでのところ公式な発表を出していませんが、アメリカの有力紙ワシントン・ポストは6日、ウクライナ政府の高官が、3つの攻撃は、すべてウクライナの無人機によるものだと認めたうえで「非常に成功し、効果的だった」とコメントしたと伝えています。

この無人機について、ロシアの複数のメディアは、ソビエト時代に製造された偵察用の無人機を改良したものだとする見方を伝えています。

ロシアの新聞「イズベスチヤ」は7日、「空軍基地は、いずれも強力な防空システムが機能しているはずだが、当時、ウクライナの新兵器の攻撃を撃退する準備が万全だったとは思えない」と疑問を呈しています。

また、独立系のネットメディア「メドゥーザ」は7日、国境から600キロ以上離れた基地が攻撃されたとしたうえで「局面の大きな分岐点だ。ロシア軍は、ウクライナの前線と国境だけでなく、ロシア領の奥深くまで防空網の構築に対応する必要に迫られている」と伝えるなど、プーチン政権にとって打撃になるという見方も出ています。

こうした中、プーチン大統領は6日、安全保障会議を招集しました。

ロシア大統領府の報道官は、一連の爆発を受けて、急きょ対応を協議したことを示唆していて、政権が今回の事態を深刻に受け止めているものとみられ、ロシア側の今後の対応が焦点です。

ウクライナ大統領府顧問 関与を示唆するツイート

ロシアの空軍基地で5日、爆発が相次ぐ中、ウクライナのポドリャク大統領府顧問は、5日の夕方、ツイッターに「地球が丸いことは、ガリレオによって発見された。しかし、クレムリンでは天文学を研究していないのが残念だ」などとしたうえで、「他国の空域に何かを発射すれば、遅かれ早かれ飛行体は発射地に戻ってくる」と投稿しています。

これについて、ウクライナのメディアは「ウクライナ政府は、基本的にロシアの領土内への攻撃についてはコメントはしないが、攻撃の報告を受けたあとのポドリャク大統領府顧問の投稿によって、間接的に確認されている」として、ウクライナ政府の関与を示唆する形で伝えています。

また、アメリカのワシントン・ポストは6日、ウクライナ政府高官が、3つの攻撃はすべてウクライナの無人機によるものだと認めたうえで「非常に成功し、効果的だった」とコメントしたと伝えています。

“ロシアの核戦力の拠点として重要な場所” 英有力紙

5日に爆発が起きたのは、ロシア中部と南部の2つの空軍基地です。

一つは、ロシア中部のリャザンにある空軍基地です。首都モスクワから南東におよそ200キロ、ウクライナの首都キーウからは、およそ800キロ離れています。

ロシアの国営通信は、燃料を積んだ車が爆発し、3人が死亡し5人がけがをしたと伝えています。

もう一つは、ロシア南部サラトフ州のエンゲルスにある空軍基地で、ウクライナの首都キーウからは1000キロ以上、ウクライナ東部の国境からは、およそ500キロ離れています。

ロシアの複数の独立系メディアは、長距離戦略爆撃機ツポレフ95、2機が損傷したほか、兵士2人がけがをしたとしています。

イギリスの有力紙ガーディアンは、この空軍基地には核兵器貯蔵施設があり、ウクライナへの空爆の拠点としてだけでなく、ロシアの核戦力の拠点としても、重要な場所だと伝えています。

また、6日には、ウクライナと国境を接するロシア西部クルスク州の知事が、州内の飛行場近くにある石油施設が、無人機による攻撃を受けたと明らかにしています。

ロイター通信によりますと、攻撃を受けたのは、ウクライナとの国境から90キロほどの場所にある施設で、映像では、石油の備蓄施設とみられる建物から炎と煙が勢いよく上がっている様子が確認できます。