「年賀状じまい」増加か 理由を説明 連絡手段伝える配慮も

年賀状を出すのをやめる「年賀状じまい」をする人が増えているとされていますが、専門家は相手を思いやって、やめる理由を事前に丁寧に伝えることや、メールアドレスやSNSのIDを教えて、つながりを切らさないことなどを勧めています。

日本郵便によりますと、メールなどで新年のあいさつをするケースが増えていることなどから、来年用の年賀はがきの発行枚数は、ことしより1割ほど少ない16億4000万枚と、これまでで最も多かった平成16年用に比べ6割余り少なくなっています。

ことしも残すところ1か月を切る中、年賀状を書くか、書かないかについて、東京 新宿で10代から70代の50人に聞いたところ
▽「書く」は23人
▽「書かない」は27人で
年代が上がるほど年賀状を書く人が多い傾向でした。

書く理由については
▽「遠方に住む知人などは年賀状だけでつながっている」や
▽「仕事の同僚やお客様へのあいさつとして書いている」
▽「家族や親戚への礼儀だ」などという声が聞かれました。

一方、書かない理由は
▽「LINEやメールでつながっているので必要ない」や
▽「子どもの頃まで書いていたが疎遠になった、相手からも来なくなった」
▽「引っ越しや喪中を機に書かなくなった」
などという声が聞かれました。

ただ、年賀状を書く人の中でも枚数を減らすなど、少しずつ「年賀状じまい」を考えているという人も多くいました。

専門家「あなたとつながり続けたい 伝えることが重要」

長年続けてきた年賀状を急にやめることに抵抗感もある中で「年賀状じまい」をしたいときはどうすればいいのか。

「年賀状じまい」に詳しい、ダイヤ高齢社会研究財団の澤岡詩野主任研究員によりますと「定年退職を機に」や「もう高齢になったので」など、相手が納得する形でやめる理由を、事前に丁寧に伝えることが大切だということです。

また「『これからもよろしく』などと手書きで書いたうえで、メールアドレスやLINEのID、電話番号を書き添えて、あなたとつながり続けたいと思っているということを、伝えることが重要だ」と指摘しています。

一方で、澤岡主任研究員によりますと「年賀状じまい」をした人たちへの聞き取りでは「つながりがなくなってしまった」だったり「年始に年賀状が来ないことにさみしさを感じるようになった」という声も聞かれたということで、「相手とつながる手段を多く持っておくことが大切で、年賀状が唯一の連絡手段になっているケースでは、友人や知人が亡くなったことを知る機会がなくなったという人もいた。年賀状をやめたあとでも、始めたいときに再開するという柔軟な発想でよいのではないか」と話していました。