ロシア空軍基地に“ウクライナ軍の無人機攻撃” 大きな打撃か

ロシア国内の複数の空軍基地で爆発があり、ロシア国防省はウクライナ軍の無人機による攻撃を受けたと発表しました。これらの基地は、ウクライナへのミサイル攻撃にも関わっている戦略上重要な拠点で、ロシア軍にとって大きな打撃になるという見方が出ています。

ロシア国営通信社などは6日、ウクライナと国境を接するロシア西部クルスク州の飛行場で火災が起きたと伝えました。

地元の州知事は、飛行場近くの石油施設が無人機による攻撃を受けたとしています。

ロシアでは5日も中部と南部の空軍基地でそれぞれ爆発があり、ロシア国防省は、ウクライナ側が無人機を使って、駐機中の軍用機に攻撃を仕掛けた結果、3人が死亡したと主張しました。

ロシアの独立系メディアは、このうち南部サラトフ州のエンゲルス空軍基地では、無人機による攻撃で長距離戦略爆撃機ツポレフ95が2機、損傷したと伝えています。

ウクライナ側はこれまで公式な発表は行っていませんが、アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズは6日、ウクライナ側の高官が、ウクライナ軍の無人機による攻撃だったと認めたとしたうえで、軍事侵攻が始まって以降、ロシア領内の最も遠い場所に入り込んで行われた攻撃だったと伝えました。

戦況を分析するイギリス国防省は6日、エンゲルス空軍基地は、30機以上の爆撃機が配備されているロシア軍の主要な拠点で、こうした軍用機がウクライナへの巡航ミサイルの発射にも使用されていると指摘しました。

そして、一連の爆発の原因は確認されていないとする一方、ウクライナとの国境から600キロも離れたエンゲルス空軍基地が攻撃を受けたとすれば、ロシア軍にとっては、軍事侵攻の開始以降、戦略的に最も重大な失敗の一つとなり、軍の幹部は厳しい責任を問われることになると分析しています。

また、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は5日、「ロシアの空軍基地への攻撃は、ウクライナ軍が行った可能性が高い。ロシア軍がウクライナのインフラ施設を攻撃しているのに対し、ウクライナ軍がこれを妨害できる能力を示している」として、ロシア軍が繰り返すエネルギーなどインフラ施設を標的とした、ミサイル攻撃を防ぐねらいだと指摘しました。

そのうえで「国内の基地が攻撃されるのを防げなかったロシア軍に対し、ロシアでは軍事専門家などから批判が起きている」と指摘し、ロシア軍にとって大きな打撃になるという見方が出ています。

プーチン大統領 対応を協議か

ロシアのプーチン大統領は6日、首都モスクワで開いた安全保障会議で「ロシア国内の安全を確保する課題について議論する」と述べました。

また、ロシア大統領府のペスコフ報道官は、ロシア国内の軍事基地が攻撃されたことを受けて会議が開催されたのか記者団に質問されたのに対し「ウクライナの政権はテロ行為を継続し、これは危険な要因だ。こうしたことを考慮し、必要な措置がとられている」と述べました。

報道官の発言は、プーチン大統領が急きょ政権幹部と対応を協議していることを示唆したかたちで、政権として事態を深刻に受け止めている可能性があるとみられます。