「ゼロコロナ」抗議活動の中国 各地で感染対策見直す動き

厳しい行動制限を伴う「ゼロコロナ」政策に対して抗議活動が起きた中国では、一部でPCR検査の陰性証明の提示が不要になるなど各地で感染対策を見直す動きが広がっています。一方、商業施設などに入るには陰性証明が引き続き求められ、市民の不満の解消や停滞する経済の回復につながるか注目されます。

中国では先月下旬、「ゼロコロナ」政策に対して抗議活動が各地で起き、中国政府は先週、感染対策の適正化をさらに進める考えを示しました。

こうした中、上海では、地下鉄などの公共交通機関や公園などの屋外の公共施設を利用する際に求められていたPCR検査の陰性証明の提示が5日から不要になりました。

上海の地下鉄の駅では5日朝、乗客が陰性証明が表示されるスマートフォンのアプリを職員に見せないままホームに向かう姿が見られました。

首都 北京でも、5日からバスや地下鉄を利用する際に陰性証明を提示する必要がなくなりましたが、いずれの都市でも商業施設やオフィスビルなどに入るには陰性証明が引き続き求められ、数日おきにPCR検査を受ける必要があります。

住民と警察の衝突が断続的に起きていた南部の広東省 広州でも対策が大幅に緩和されるなど各地で見直しは広がっていますが、こうした動きがくすぶる市民の不満の解消や停滞する経済の回復につながるか注目されます。

北京 PCR検査場に市民の長い列

首都 北京で、オフィスビルやスーパーマーケット、それに自宅のアパートなどに入るには依然としてPCR検査の陰性証明が求められます。

このため、市民は数日おきに検査を受ける必要があり、市内のPCR検査場には5日も気温が0度前後の寒さの中、検査を希望する市民の長い列ができていました。

上海では対策の見直しを期待する声

上海では対策の見直しがさらに進むことを期待する声が聞かれました。

このうち、上海市に住む30代の男性は「大きな変化は感じません。PCR検査の陰性証明は出勤するためにも必要ですし、いたるところで欠かせないので生活はまだ不便です。完全に制限がなく、マスクもいらない感染拡大前と同じような生活になってほしいです」と話していました。

また、上海市に住む40代の男性は「変化はないですが、対策の見直しが進んでいることはいいことだと思います。ただ、高齢者をどう守るかも考慮する必要があると思います」と話していました。