サウジアラビアが主導するOPEC=石油輸出国機構とロシアなど非加盟の産油国は「OPECプラス」と呼ばれるグループをつくり、原油需要の動向をみながら原油の生産量を調整しています。
OPECプラスはおととし4月、日量970万バレルの大規模な減産を行うことで合意し、国際的な原油価格を下支えしてきました。
その後、新型コロナウイルスの影響で一時、落ち込んだ世界の原油需要が増加しているとして、去年7月、原油の生産量を段階的に増やしていくことで合意しました。
生産量を去年8月以降は毎月、日量およそ40万バレルずつ増やし、ことし5月から6月は日量43万2000バレルに増産幅を拡大。
さらにエネルギー価格高騰でインフレに苦しむ欧米からの要請を受けて7月と8月は増産幅を日量64万8000バレルと拡大しました。
一方、欧米の急速な利上げや中国の「ゼロコロナ」政策の継続などから世界経済が減速し、原油の需要が低迷するとの見方から原油価格は下落傾向にあります。
アメリカのバイデン大統領がことし7月に中東を訪問し原油増産を働きかけたことを受けて、OPECプラスは9月はわずかながら日量10万バレルの増産を決めましたが、10月からは減産へと転換の方針を図り、先月以降は2020年以来の大規模な減産となる日量200万バレルの減産を実施しています。

OPECプラス 原油の生産量 減産規模を維持 ロシア制裁見極めか
サウジアラビアなどのOPEC=石油輸出国機構にロシアなどの産油国が加わるOPECプラスは、今の協調減産の規模を維持することを決めました。
世界経済の減速懸念やロシア産原油に対する制裁措置の影響を見極める考えがあったものとみられます。
OPECプラスは4日、今後の原油の生産量を決める会合をオンラインで開きました。
その結果、一日当たり200万バレルの協調減産を維持することを決めました。
減産によって原油価格を下支えしつつ、生産量を変更しない判断となりました。
背景には原油の需給や価格の変化が見通しにくいことがあります。
原油価格は欧米の急速な利上げや、「ゼロコロナ」政策のもと厳しい行動制限がとられている中国の景気停滞を背景に、下落傾向にあります。
一方、EU=ヨーロッパ連合は5日からロシア産原油の輸入を原則、禁止するほか、G7=主要7か国などがロシアに対する制裁措置として、ロシア産原油の国際的な取り引きの上限価格を1バレル=60ドルに設定することを決めました。
ロシアを含むOPECプラスとしては、制裁措置によって今後の原油の需給や価格がどのように変化するのか見極める考えがあったものとみられます。
次回の会合は来年6月としていますが「必要があれば市場の動向に対処し、すぐさま追加措置をとる用意がある」としています。
生産調整の経緯は
欧米メディアの見方は
OPECプラスが一日当たり200万バレルの協調減産を維持することを決めた背景について、アメリカの経済紙、ウォール・ストリート・ジャーナルは「産油国は生産量を前回の会合の決定から維持することで、上限価格が市場に与える影響を評価する時間が確保できるとしていた」などと指摘しています。
またアメリカのメディア、ブルームバーグは「産油国は、ロシアへの制裁と上限価格について多くの不確定要素に直面し、現時点では変更を控えたが、さらなる生産量削減は現実味があり、供給調整モードだ」というアナリストのコメントを紹介しています。
イギリスのフィナンシャル・タイムズは「多くのアナリストは原油価格が下落し始めたら、サウジアラビアが価格の下支えに動くだろうと予想していて、来年インフレ率が低下するという多くの国の希望に打撃を与える可能性がある」と懸念を伝えています。
またアメリカのメディア、ブルームバーグは「産油国は、ロシアへの制裁と上限価格について多くの不確定要素に直面し、現時点では変更を控えたが、さらなる生産量削減は現実味があり、供給調整モードだ」というアナリストのコメントを紹介しています。
イギリスのフィナンシャル・タイムズは「多くのアナリストは原油価格が下落し始めたら、サウジアラビアが価格の下支えに動くだろうと予想していて、来年インフレ率が低下するという多くの国の希望に打撃を与える可能性がある」と懸念を伝えています。