韓国の検察 前国家安保室長を職権乱用などの疑いで逮捕

韓国の検察はおととし、漁業指導船の乗組員が北朝鮮軍に射殺された事件をめぐって、当時のムン・ジェイン(文在寅)政権の判断にあわない情報を削除するよう関係機関に指示したとして、前の国家安保室長を職権乱用などの疑いで逮捕しました。

おととし9月、朝鮮半島西側の黄海で、韓国の漁業指導船の乗組員が北朝鮮軍に射殺され、韓国の海洋警察は当初、乗組員がみずから北朝鮮に渡ろうとしたと説明していました。

ところが、ユン・ソンニョル(尹錫悦)政権発足後のことし6月、海洋警察はそれまでの判断を覆して当初行っていた説明の根拠が見つからなかったと発表し、韓国の検察が当時のムン・ジェイン政権の事件をめぐる対応について捜査を始めました。

そして、検察は、ソ・フン(徐薫)前国家安保室長が当時、事件に関して政府の判断にあわない情報を削除するよう関係機関に指示していたとして、3日、ソ前室長を職権乱用などの疑いで逮捕しました。

韓国メディアは、北朝鮮との関係改善を重視した前の政権内部で、不正があったとみて、検察が捜査を進めていると伝えていて、ソ前室長の捜査の結果次第では、ムン前大統領に直接捜査が及ぶ可能性があるとの見方も報じています。