ゼレンスキー大統領“どこかの帝国の歯車には二度とならない”

ウクライナ軍は、ロシア軍が近くウクライナ全土で、インフラ施設を標的にした新たなミサイル攻撃を行う可能性があるとして警戒を強めています。こうした中、ゼレンスキー大統領は「どこかの帝国の歯車には二度とならない」と述べ、国民に団結を呼びかけました。

ウクライナで厳しい寒さが続く中、ロシア軍はウクライナ全土で大規模なミサイル攻撃を繰り返し、各地で深刻な電力不足に陥っています。

ウクライナ軍の高官は12月1日、「近い将来、敵国が重要なインフラ施設にミサイル攻撃を仕掛けるおそれがある」と、警戒感を示しました。

こうした中、ウクライナのゼレンスキー大統領は、1日に公開した動画で「毎年12月1日になると、われわれは歴史を決定づけた出来事を思い出す」と述べ、31年前、1991年の12月1日に行われた国民投票で、旧ソビエトからの独立が国民の圧倒的な支持を得たことを強調しました。

そのうえで、「自由に生きたいという国民の願いが打ち砕かれることはなく、ウクライナ人はどこかの帝国の歯車には二度とならない」と述べ、国民に団結を呼びかけました。

ウクライナ 兵士や家族の心のケアが課題に

一方、ロシアの軍事侵攻から9か月余りがたつ中、ウクライナでは、過酷な戦闘などで精神的に不安定になった兵士やその家族の心のケアが課題となっています。

西部リビウにある市が運営する「リビウセンター」では、ことし2月のロシアによる軍事侵攻以降、戦場にいた時のフラッシュバックの症状に悩む人や、アルコールや薬物に依存するようになった人などおよそ1000人の兵士の心のケアを行っていて、兵士の家族も含め支援が必要な人が増え続けているということです。

センターのトゥカチュク所長はNHKの取材に対して、「今後とも兵士やその家族に必要な支援を継続的に行っていきたい」と話していました。