俳優の渡辺徹さん死去 61歳 親しみやすい人柄で幅広く活躍

親しみやすい人柄でテレビや映画などで幅広く活躍した俳優の渡辺徹さんが11月28日、敗血症のため亡くなりました。61歳でした。

渡辺徹さんは茨城県の出身で1980年に文学座の研究所に入り、翌年には民放の人気ドラマ「太陽にほえろ!」で刑事役としてデビューし、人気を集めました。

その後も数々のドラマや映画、舞台で活躍し、NHKの大河ドラマ「徳川慶喜」では西郷隆盛役を務めて貫禄のある演技を見せました。

また、1987年には民放のテレビドラマ「風の中のあいつ」で共演した榊原郁恵さんと結婚し、おしどり夫婦としても知られました。

親しみやすい人柄で司会者やタレントなどとしても幅広く活躍し、世界のドキュメンタリーを放送するNHKEテレの「地球ドラマチック」では長年、ナレーションを担当していました。

所属する文学座によりますと、渡辺さんは11月20日に発熱や腹痛などの症状で細菌性胃腸炎と診断されて東京都内の病院に入院していましたが、11月28日、敗血症のため亡くなったということです。

61歳でした。

俳優の三田村邦彦さん「話し合いたい事山ほどある」

民放の人気ドラマ「太陽にほえろ!」で刑事役として共演した、俳優の三田村邦彦さんは、渡辺徹さんの訃報を受け「彼に言いたい事、話し合いたい事、山ほどあります。今はただただ、ご冥福をお祈りします」とコメントしています。

タレント 山田邦子さん「最高の相棒『ありがとう』」

民放のバラエティー番組で、渡辺徹さんと共に司会として共演するなど、長年親交のあったタレントの山田邦子さんは「徹ちゃんとは同年代で売れた時期も一緒で、彼のバラエティー番組のデビューは私の深夜番組でした。最初はアドリブがきかず『下手くそ!』と生放送で言ったものでしたが、すぐに名コンビになれました。当時は暴飲暴食、破天荒で、本当に豪快な男でした」と話しました。

渡辺さんが亡くなったことについて、山田邦子さんは「けさ円楽さんのお別れ会に出ているときに電話をもらって、亡くなったことを知りました。ショックすぎて震えが止まらなくなるほどでした。最後にあったのは1年くらい前だけど、つい最近まで舞台とか家族のこととか頻繁にやり取りしていました。友達を失うというのはきついですね。徹ちゃんはツッコミもボケも私の最高の相棒でしたけれど、どれだけテレビの仕事をしても舞台を愛して舞台のことを第一に考える俳優さんでした。今は、まだ全然実感がわかないけれど、『ありがとう』ということばを贈りたいです」と涙ながらに話していました。

文学座代表 角野卓造さん「まさかの思いで一杯」

亡くなった渡辺徹さんが所属する劇団「文学座」の代表で俳優の角野卓造さんがコメントを発表し、「ここ数年、あまり体調がよくないと耳にしていたので心配していましたが、積極的に舞台にも出演し、仕事もしているようだったので、まさか、の思いで一杯です」と心境を記しました。

そして、渡辺さんの人柄を振り返り、「先輩に対しては甘えん坊でかわいいところがありながらも、みんなをまとめる力は素晴らしく、生粋の生徒会長気質だったのかな。やっと大人の役ができるような年齢になったばかりなのに。徹が一番悔しいだろう。まだまだこれからやりたい芝居もあっただろうに早すぎる、残念です。一緒に酒を飲んでバカなことをやってた頃を懐かしく思いだします」などとつづっています。

文学座 先輩 俳優 内藤剛志さん「親友で心友 笑顔が心に」

劇団の「文学座」の研究所の先輩で、俳優の内藤剛志さんはNHKの電話インタビューに応じ、「ことしの夏にドラマを一緒にやったときに、すごく痩せていたので心配していました。本当に寂しくショックですが、精いっぱいやったと思っています」と悼みました。

内藤さんは、民放の人気ドラマ「太陽にほえろ!」では犯人の役で、刑事役の渡辺さんと共演したということで、「撮影の際に私に初めての子どもが生まれたのですが、徹が監督に『撮影を中止にしませんか』と言ってくれて、子どもに会いに病院に向かった思い出があります。徹はとにかく先輩を大事にして気を遣ってくれる男で、撮影後に電車で一緒に帰ることもありました」と当時を振り返りました。

そして、「私は徹よりも年上ですが、親友だと思いますし、心の友という意味で心友でもあると思っています。私の中の徹のイメージは、大きな笑顔です。それが消えてしまったという寂しい思いと同時に、すてきな笑顔がみんなの心に残り続けるだろうという思いで、今は、どう気持ちを処理すればいいのかわかりません」と話していました。

同級生「私たちのまちのみんなが誇りに思う存在」

茨城県古河市出身の渡辺徹さんが亡くなったことを受けて、小学校から高校まで同級生だった男性からも悲しみの声が聞かれました。

古河市内で飲食店などを経営する奈良敦さん(61)は、渡辺さんとは幼いころから一緒に遊んだ仲で、小学校から高校まで同じ学校に通う同級生でした。

渡辺さんのデビュー40周年と還暦を祝うため、去年9月に東京で行われた朗読劇にはほかの同級生とともにかけつけ、渡辺さんと「体に気をつけようね」と互いに体調を気遣う会話をしたということです。

奈良さんは「体調がよくなかったのは知っていましたが、亡くなったという一報を聞いて目の前が暗くなるような思いになりました。とても残念です。私たちのまちのみんなが誇りに思う存在でした。もっと活躍の様子を見ていたかったです」と話していました。

城西国際大学で特任教授 演劇などを講義

渡辺徹さんが特任教授を務め、演劇などについて教えていた城西国際大学は訃報を受け「心からお悔やみ申し上げます。渡辺特任教授は俳優としての活動のかたわら本学の教壇に立ち、舞台やテレビなどでのご経験を学生たちに直接お伝えくださいました。コロナ禍により全学がリモート授業となった2020年春には、学生たちを励ます動画を送っていただき、また同年秋にはみずからがプロデュースするお笑いステージのスタッフに4名の学生を迎え入れ、現場を体験する機会を設けてくださいました。渡辺特任教授の教えは、多くの学生の血となり肉となっていくに違いありません。これまでのご指導に感謝するとともに、ご冥福をお祈り申し上げます」とコメントしています。

敗血症とは

日本集中治療学会の診療ガイドラインによりますと、敗血症は感染症によって重い臓器障害が引き起こされる状態です。

敗血症では細菌やウイルスなどの感染が広がり、炎症が起きて臓器に影響が出ていて、集中治療が必要になることもあります。

免疫の機能が弱っている場合は敗血症のリスクも高まります。

千葉大学などの研究グループのまとめによりますと、国内で敗血症が原因で亡くなった人は2017年におよそ6万人とみられ、年々増加傾向にあるということです。