ロシア軍 全土でインフラ標的に新たなミサイル攻撃の可能性

ウクライナ軍は、ロシア軍が近くウクライナ全土でインフラ施設を標的にした新たなミサイル攻撃を行う可能性があるとして警戒を強めています。

一方、イギリス国防省は、ロシア軍はミサイルの不足などから、これまでの攻撃で想定した効果を得られていないという見方を示しました。

ウクライナで厳しい寒さが続く中、ロシア軍はウクライナ全土で大規模なミサイル攻撃を繰り返し、首都キーウをはじめ各地で深刻な電力不足に陥っています。

ウクライナ側は、黒海に展開するロシア海軍の艦艇が新たなミサイル攻撃を準備していると指摘し、ウクライナ軍の高官は1日「近い将来、敵国が重要なインフラ施設にミサイル攻撃を仕掛けるおそれがある」と警戒を示しました。

イギリス国防省は1日、ロシア軍によるインフラ施設への攻撃はロシアの安全保障の基本原則「軍事ドクトリン」に沿ったものだという分析を示しました。

「軍事ドクトリン」の中では、ロシアはインフラ施設への攻撃によって相手国の国民の士気をくじき、最終的には指導者を降伏させることを想定しているとしています。

その一方で、イギリス国防省はロシア軍がインフラ攻撃に適したミサイルの大部分をすでに使い果たしたのに対し、ウクライナ側は国民の動員に成功し士気の低下などの心理的な影響が少ないと分析し、ロシア軍はこれまでの攻撃で想定した効果を得られていないという見方を示しました。

ロシア ラブロフ外相 ミサイル攻撃改めて正当化

ロシアのラブロフ外相は1日、首都モスクワで記者会見を開き、ロシア軍のミサイル攻撃はウクライナ軍に関係するインフラ施設を標的にしたものだと主張し、改めて正当化しました。

一方、安全保障分野でのアメリカとの対話については「ウクライナで起きていることをすべて無視して、戦略的な安定性について議論することは不可能だ」と述べ、ウクライナ情勢を含める形での対話を模索する考えを示したものとみられます。

これに対してアメリカは、ウクライナ抜きでロシアと停戦などをめぐる交渉は行わないとする立場です。

ウクライナ 精神的に不安定な兵士や家族の心のケアが課題に

一方、ロシアの軍事侵攻から9か月あまりがたつ中、ウクライナでは過酷な戦闘などで精神的に不安定になった兵士やその家族の心のケアが課題となっています。

西部リビウにある市が運営する「リビウセンター」ではことし2月のロシアによる軍事侵攻以降、およそ1000人の兵士の心のケアを行っていて、スヴィトラーナ・トゥカチュク所長(50)によりますと、兵士の家族も含め支援が必要な人が増え続けているということです。

戦場にいた時のフラッシュバックの症状に悩む人やアルコールや薬物に依存するようになった人など毎日、20人から40人が訪れていて、カウンセラーの確保などセンターの支援体制の強化が課題になっているということです。

トゥカチュク所長は「精神的なケアが必要な兵士たちが今後、急激に増えるおそれもある。今後とも兵士やその家族に必要な支援を継続的に行っていきたい」と話していました。