【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(2日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる2日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア大統領府報道官 撤退前提の首脳会談は応じられない

アメリカのバイデン大統領がロシアのプーチン大統領との首脳会談について「戦争を終わらせる意思があるなら会談する用意はある」と述べたことについて、ロシア大統領府のペスコフ報道官は2日、「ウクライナから去れば、交渉は可能だと主張するなら、われわれにそのつもりはない。特別軍事作戦は続いている」と述べ、ロシア軍の撤退を前提条件とする首脳会談には応じられないという考えを示しました。

一方で、「プーチン大統領は常に、われわれの利益を確保するための交渉にオープンだ。最も望ましい方法は、平和な外交だ」と述べ、首脳会談は拒否しないとしています。

ポーランド国防力強化 兵力倍増させる方針

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けてポーランドは国防力の強化を決めました。来年度、GDP=国内総生産に占める国防費の支出をNATO=北大西洋条約機構の加盟国が目標として合意している2%を上回る3%まで引き上げるとともに、2035年までに兵力をおよそ11万人から25万人にまで倍増させる方針です。

ポーランドには徴兵制度はなく、25万人の兵力を確保することは難しいとの見方もありますが、実現すれば現在のフランスやドイツの兵力を上回りEU=ヨーロッパ連合の中で最大規模になります。

このため政府が各地で実施している訓練は市民の不安を和らげるだけでなく軍への関心や支持を広め、兵力の増加につなげる思惑もあるとみられています。

安全保障政策などに詳しいポーランドのウッチ大学のトゥルダ助教授は、訓練も兵力を増やすための取り組みの一環だと指摘した上で「ロシアの侵攻によって国防力の強化へ支持を得やすくなっている。訓練で数千人の兵士を勧誘できるわけではないが、軍隊と一緒に1日有意義な時間を過ごせば、参加者のなかに息子や友人に軍への参加を勧める人も現れるかもしれない」と話していました。

ポーランド 世論調査で国の防衛に「関わりたい」66%

ポーランドの人たちは、第2次世界大戦でナチスドイツとソビエトに占領された歴史などを背景に、国防意識が高いとされています。

そうした意識がロシアのウクライナへの軍事侵攻によっていっそう高まっていて、ポーランドのシンクタンクが軍事侵攻直後に18歳以上の1000人あまりを対象に行った世論調査では、34%は国の防衛に「関わらない」と答えたものの、66%は「関わりたい」と答えました。

一方、政府は全国の高校などで銃の扱い方を学ぶプログラムを導入することにしていますが、これを巡っては教育現場でやるべきではないなどと反対意見も出ているということです。

シンクタンク“ロシア軍重要地域守ることできなくなった可能性”

ウクライナ軍は東部や南部で領土奪還に向けた反撃を続けていて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は1日、ロシアが一方的な併合に踏み切った南部ザポリージャ州で、ロシア軍が一部の地域から部隊を撤退させる動きがあるとするウクライナ軍の見立てを指摘しました。

そのうえで「ウクライナ軍の反撃に対し、ロシア軍が重要な地域を守ることができなくなったことを示している可能性がある」と分析しています。

ウクライナ政府高官「死亡したウクライナ兵士1万~1万3000人」

ロシアによるウクライナへの侵攻が続くなか、ウクライナのポドリャク大統領府顧問は1日、地元のニュース番組に出演し「政府の推定では、亡くなったウクライナの兵士の数は1万人から1万3000人の間で、けが人はさらに多くなっている」と述べ兵士の死者数が1万人以上にのぼる見通しを明らかにしました。

さらにウクライナ市民の死者数について兵士の死者やけが人の数よりさらに多くなるということで、ポドリャク大統領府顧問は「ロシア軍は兵士ではなく、とりわけ占領地域にいるウクライナ市民と戦っている」とロシアを非難しました。

兵士やその家族の心のケアが課題

ロシアの軍事侵攻から9か月あまりがたつ中、ウクライナでは過酷な戦闘などで精神的に不安定になった兵士やその家族の心のケアが課題となっています。

西部リビウにある市が運営する「リビウセンター」ではことし2月のロシアによる軍事侵攻以降、戦場にいた時のフラッシュバックの症状に悩む人やアルコールや薬物に依存するようになった人など、およそ1000人の兵士の心のケアを行っていて、兵士の家族も含め支援が必要な人が増え続けているということです。

センターのトゥカチュク所長は、NHKの取材に対して「今後とも兵士やその家族に必要な支援を継続的に行っていきたい」と話していました。

ゼレンスキー大統領 「どこかの帝国の歯車には二度とならない」

ウクライナのゼレンスキー大統領は1日に公開した動画で「毎年12月1日になると、われわれは歴史を決定づけた出来事を思い出す」と述べ、31年前、1991年の12月1日に行われた国民投票で旧ソビエトからの独立が国民の圧倒的な支持を得たことを強調しました。

そして「自由に生きたいという国民の願いが打ち砕かれることはなく、ウクライナ人はどこかの帝国の歯車には二度とならない。われわれは国としての完全な独立をすでに勝ち取り、これからも独立した国であり続ける」と述べ、国民に団結を訴えました。

また、これまでにロシア軍から解放されたウクライナ側の捕虜が1300人以上にのぼると述べました。

ロシア ラブロフ外相 ミサイル攻撃改めて正当化

ロシアのラブロフ外相は1日、首都モスクワで記者会見を開き、ロシア軍のミサイル攻撃はウクライナ軍に関係するインフラ施設を標的にしたものだと主張し、改めて正当化しました。

一方、安全保障分野でのアメリカとの対話については「ウクライナで起きていることをすべて無視して、戦略的な安定性について議論することは不可能だ」と述べ、ウクライナ情勢を含める形での対話を模索する考えを示したものとみられます。

これに対してアメリカは、ウクライナ抜きでロシアと停戦などをめぐる交渉は行わないとする立場です。

フランス マクロン大統領 仲介役を務める用意示す

フランスのマクロン大統領は、アメリカのバイデン大統領と1日、首都ワシントンで会談したあと、記者会見で、将来、ロシアとウクライナが和平をめぐって交渉する際、その前提条件を決めるのは、ウクライナのゼレンスキー大統領だという考えを示しました。

そして「ウクライナ側には、話し合いの場に出ようとする意思がある。数週間から数か月後に、ウクライナ人の選択がわかるだろう。その際は、私がプーチン大統領と対話する」と述べ、仲介役を務める用意があることを示しました。

一方で「ウクライナ人にとって受け入れがたい妥協を迫ることはしない。彼らは勇敢に、自分たちの命と国家、それに領土保全の原則を守っている。妥協は持続可能な平和をもたらさない」と述べ、和平交渉の開始を急がない姿勢を示しました。

バイデン大統領とマクロン大統領は会談後の共同声明で「ウクライナの主権と領土を守るため、必要な限り支援を続ける」としています。

そのうえで、インフラ施設を守る防空システムの供与や、エネルギー供給網の復旧に向けた支援を拡大するとしています。

バイデン大統領 首脳会談はロシアの対応次第

アメリカのバイデン大統領はウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアのプーチン大統領との首脳会談について「戦争を終わらせる意思があるなら会談する用意はある」と述べ、ロシアの対応次第では会談に応じる考えを示しました。

バイデン大統領は1日、首都ワシントンでフランスのマクロン大統領と会談したあとの記者会見で、ロシアのプーチン大統領について「ウクライナの保育所や病院を爆撃するなど市民に対して大虐殺を行っている。吐き気がするような行為だ」と非難しました。

そしてプーチン大統領との首脳会談を行うつもりがあるか問われると「プーチン氏に戦争を終わらせる意思があるなら会談する用意はある。そうなれば、NATO=北大西洋条約機構の同盟国と協議したうえでプーチン氏の考えを聞く」と述べ、ロシアの対応次第では会談に応じる考えを示しました。

ただ「プーチン氏にそのような様子はみられない」と述べ、現時点では会談の予定がないことを強調しました。

ロシア軍 ミサイル攻撃も想定した効果 得られずか

ウクライナ軍は、ロシア軍が近くウクライナ全土でインフラ施設を標的にした新たなミサイル攻撃を行う可能性があるとして警戒を強めています。

一方、イギリス国防省は、ロシア軍はミサイルの不足などからこれまでの攻撃で想定した効果を得られていないという見方を示しました。

ウクライナで厳しい寒さが続く中、ロシア軍はウクライナ全土で大規模なミサイル攻撃を繰り返し、首都キーウをはじめ、各地で深刻な電力不足に陥っています。

ウクライナ側は、黒海に展開するロシア海軍の艦艇が新たなミサイル攻撃を準備していると指摘し、ウクライナ軍の高官は1日「近い将来、敵国が重要なインフラ施設にミサイル攻撃を仕掛けるおそれがある」と警戒を示しました。

イギリス国防省は1日、ロシア軍によるインフラ施設への攻撃はロシアの安全保障の基本原則「軍事ドクトリン」に沿ったものだという分析を示しました。「軍事ドクトリン」の中ではロシアはインフラ施設への攻撃によって相手国の国民の士気をくじき、最終的には指導者を降伏させることを想定しているとしています。

その一方で、イギリス国防省はロシア軍がインフラ攻撃に適したミサイルの大部分をすでに使い果たしたのに対し、ウクライナ側は国民の動員に成功し、士気の低下などの心理的な影響が少ないと分析し、ロシア軍はこれまでの攻撃で想定した効果を得られていないという見方を示しました。