岸田首相 “救済新法で禁止行為の対象拡大は困難” 参院予算委

国会は参議院予算委員会で、今年度の第2次補正予算案の審議が行われ、岸田総理大臣は、旧統一教会の被害者救済を図るための新たな法案をめぐり、野党側から寄付の勧誘を行う際の禁止行為の対象を拡大するよう求められたのに対し、「禁止行為は刑事罰の適用にもつながることから要件の明確化が必要となる」として、応じるのは難しいという考えを示しました。

日本維新の会の柳ヶ瀬総務会長は、新型コロナワクチンをめぐり、「これまで契約したワクチンから、使用や供与した分を引いた数量と金額はどれくらいなのか。すべて使い切ることはできるのか」とただしました。
これに対し、加藤厚生労働大臣は、「現在までのワクチンの契約量の合計は8億8200万回分で、接種した分などを差し引くと、残りは4億5539万回分で、単純に計算すると1兆2409億円となる」と説明しました。

そのうえで、残りのワクチンのうち、有効期限が切れ、廃棄となる可能性が高いものは1億回分あり、引き続き接種を促進していく考えを強調しました。
また、鈴木財務大臣は、新型コロナ対策の予算をめぐり、「国立病院機構と地域医療機能推進機構で収益が大きく改善し、多額の積立金が蓄積されているほか、廃棄される見通しのワクチンもあるのは事実だ。社会経済活動の正常化が徐々に進行する中で、新型コロナの性質の変化なども踏まえた見直しを行いつつ、平時への移行を図っていくことが重要だ」と述べました。
国民民主党の伊藤孝恵氏は、「子ども予算」について、「来年の『骨太の方針』で倍増の道筋を示すというのは、具体的な議論には当面着手しないという後回し表明にすぎない。予算倍増というが、いくらをいくらにするのか」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は「来年度も出産育児一時金の大幅な増額などを考えており、後回しという指摘はあたらない。子ども政策に関する予算はさまざまな整理があり、例えば、今年度の少子化対策関連の予算はおよそ6.1兆円で、来年度のこども家庭庁の予算の概算要求は4.8兆円だ。こうした整理を参考にしつつ、来年の骨太方針で、将来的な予算の倍増を目指す道筋をぜひ示していきたい」と述べました。
共産党の田村政策委員長は、旧統一教会の被害者救済のための法案について、「寄付の勧誘を行うにあたって、自由な意思を抑圧し、適切な判断をすることが困難な状態に陥らないようにするなど、3つの配慮義務が新たに盛り込まれたが、『全国霊感商法対策弁護士連絡会』は、配慮義務を課すだけでは被害の防止や救済は実現できないとして、さらなる修正を求めている」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は、「配慮義務を『禁止行為の対象にするべきだ』という指摘があったことは承知しているが、禁止行為とする場合、行政措置や刑事罰の適用にもつながることから、要件の明確化が必要となる。不適当な寄付はさまざまなものが想定され、一概に規定できないため、禁止行為と配慮規定の2段構成をとり、実効性を高めることとしている」と述べました。
れいわ新選組の山本代表は、補正予算案について「今すぐ必要でないものを潤沢に盛り込む一方で、すぐにでも必要なものには薄い予算だ。これでは輸入物価の高騰に対処できない」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は「物価高騰や円安、賃金の引き上げや日本経済の再生といった課題に向けて緊急に求められる内容を盛り込んだ。今の物価高騰に対応し、それに見合うだけの賃上げを実現するとともに、将来に向けて日本の経済を活性化させていかなければならない」と述べました。
NHK党の浜田政策調査会長は、政府の事業にむだがないか検証する「行政事業レビュー」について、「地方自治体が行っている『事務事業評価』のすぐれたアイデアを取り入れた上で改善していくべきだ」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は、「行政事業の評価について、地方自治体でさまざまな工夫がなされていることは承知している。必要に応じて参考にしながら行政事業レビューの方法について不断の見直しを行い、質の高い行政の実現に向けて取り組んでいきたい」と述べました。

また、岸田総理大臣は、防衛力の強化が地域の緊張につながりかねないという指摘に対し、「みずからの防衛力を充実させるとともに、多くの同盟国や同志国と連携して抑止力や対処力を向上させていくというのが基本的な考え方だ。わが国としての防衛力拡充の考え方や実情を透明性を持って周辺国に説明していくことが重要だ」と述べました。

さらに、岸田総理大臣は、アベノミクスの評価について、「デフレではない状況をつくり出し2%程度の賃上げを実現したものの、女性や高齢者など、パートタイム労働者を中心に非正規雇用が増加したことなどを背景に、平均の実質賃金が伸び悩んだと認識をしている」と述べました。