ことしは“節電の冬” 重ね着で寒さしのぐ?イルミも短縮で…

気付けばもう師走。ことしは“節電の冬”となりそうです。

この冬の厳しい電力供給に対応するため、政府は全国の家庭や企業を対象に12月1日から節電要請を始めました。
数値目標は設けませんが、部屋では重ね着をするなど無理のない範囲での節電に協力を求めています。
各地では早速、あの手この手の取り組みが見られました。

イルミネーションが時間短縮 午後10時まで⇒午後9時まで

冬の夜空を彩る街のイルミネーションでは、時間を短くしたり、日数を減らしたりといった取り組みが行われています。

千葉県印西市の住宅街で4年前から続くイルミネーション。

今シーズンも11月12日からおよそ60万球のLEDの電飾で彩られていますが、政府の節電要請を受け、12月1日から午後10時までだった点灯時間を1時間短くし、午後9時までとしました。
1日は午後5時の開始に合わせるように家族連れなど多くの人が訪れていました。

2人の子どもと散歩に来たという30代の女性は「時間の短縮は帰りが遅い人にとっては残念だと思うが、みんなの負担も少なくていいのではと思う」と話していました。

職場から帰るときに通るという50代の女性は「電気代も高いし、節電はいいことだ」と話していました。

印西市はイルミネーション期間の来年2月19日まで短縮を続けるほか、電力需給ひっ迫警報や注意報が出された場合は、改めて対応を検討することにしています。

遊園地でも節電

東京 荒川区の遊園地では、園内にある施設などの一部の照明を消す対応を始めました。
また、夜間に毎日行われていた園内のイルミネーションについても、1日からは週末や祝日などに限定して行います。

さらに、バイオ燃料を使う自家発電も導入する予定で、可能な範囲で節電に取り組んでいきたいとしています。

子どもと訪れていた40代の女性は「必要のない電気は消していいと思うので、いい取り組みだと思います。自宅でも暖房の温度を低くして節電していきたい」と話していました。

あらかわ遊園の野口正紀課長は「イルミネーションなどでは来園者に少し我慢してもらうことになるが、全国的な節電ということでご理解いただきたい」と話していました。

クリスマスでイルミネーション終了の動きも

このほか、JR渋谷駅前の渋谷公園通りから代々木公園のケヤキ並木にかけておよそ60万球の電飾で彩られるイルミネーションも、開始をふだんより1週間遅らせた8日からとしました。

さらに年末は電力需要が高まると予想して点灯をとりやめ、12月25日のクリスマスに終了することにしています。

節電要請の理由

冬の時期としては7年ぶりとなる節電要請。なぜ政府はこうした判断をしたのでしょうか。

この冬の電力需給は、供給の余力を示す「予備率」が全国すべての地域で、安定供給に最低限必要な3%を確保できる見通しです。
ただ強い寒波で気温が低下した場合などに電力需要が想定を超えて増加するおそれがあるほか、ウクライナ侵攻の影響でLNG=液化天然ガスの安定調達に懸念があるなど厳しい状況が続いています。

このため、全国の家庭や企業を対象に数値目標は設けず無理のない範囲での節電に協力を求めたのです。

西村経済産業大臣は「生活していくうえで最低限の電気の使用は必要なので、無理のない範囲でお願いしたい。また電力使用のピークを抑えることが大事なので、ピークシフトのためのご協力をいただけるとありがたい」と述べました。

また松野官房長官は1日、「電力の需要対策として、今月から3月までの間、重ね着などをして室温を下げる、使っていない部屋の照明を消す、お湯の出しすぎに注意するなど無理のない範囲での節電・省エネにご協力をいただきたい」と呼びかけています。

家庭で電気の使用量を減らす工夫も

節電要請が出される中、家庭では電気の使い方を見直し、使用量を減らすための工夫が始まっています。
東京 八王子市でドイツ人の夫と2人で暮らすロコバント靖子さんは、先月の電気料金の支払いが去年の同じ月と比べて3割余り増えたこともあり、この冬、電気の使い方を見直すことを決めました。

まずは照明の使い方を見直し、リビングで点灯させるLEDライトの数を3つから1つに減らしたほか、台所の照明の明るさもこれまでの半分程度に抑えました。

エアコンの暖房の設定温度は22度を基本とし、玄関で使用しているヒーターの出力もこれまでの半分以下にするなど、日々の暮らしを妨げない範囲で電力の使用量を減らす工夫を行っています。

さらに電気を使わずに少しでも部屋の中を暖かくしようという工夫も始めました。
洗面所の窓ガラスの外側には余った梱包材で外気を遮断する手作りの「断熱材」も取り付けました。

この家庭では、契約している東京ガスの節電プログラムに参加していて、ロコバントさんはこうした取り組みで電気の使用量を減らし、買い物などで使用できるポイントも獲得しようと考えています。

ロコバントさんは「暮らしに欠かせない電気が使えなくならないよう私たちの家庭でも停電を避けるための取り組みを可能なかぎりやっていきたい」と話していました。

「はんてん」「湯たんぽ」など 防寒グッズの販売強化

政府は家庭に対しては、室内で重ね着をするなどして無理のない範囲で暖房器具の設定温度を下げるよう求めています。

こうした中、三重県津市にある衣料品や雑貨の販売店では、暖房の温度を下げても快適に過ごせるよう室内で使える防寒グッズの販売を強化しています。
なかでも「はんてん」の品ぞろえを充実させていて、昔ながらの格子柄のほか、動物のイラストが入ったものなど、幅広い年代に対応した商品が並んでいました。

また、この店では、充電式の湯たんぽやバッテリーで発熱するベストなどの売れ行きも好調だということです。
坂本紗椰店長は「電気代を抑えたいというお客様の声も多いので、防寒グッズで楽しく暖かくこの冬を過ごしてもらいたい」と話していました。

鉄道各社 エスカレーターを一部停止するなど対応

首都圏の鉄道各社でも電車内や駅などで、節電の取り組みが行われています。
このうち小田急電鉄では、1日から日中に屋外の明るい区間を走行する際は電車内の照明を消し、暖房の設定も弱めているほか、一部の駅では、混雑しない時間帯のエスカレーターを一部停止するといった取り組みを始めました。

西武鉄道では、1日から停車時間が長い駅ではドアの一部を開けずに暖房の効率化を図るほか、日中、駅のホームやコンコースの照明を消す対応を始めたということです。

東急電鉄は、これまでも電車内で点灯する蛍光灯の数を減らすといった対応を行っていましたが、1日から新たにエスカレーターや券売機の一部を停止しています。

そのほか首都圏の大手鉄道会社でも、駅で一部の照明を消すなどの取り組みを続けているということで、節電への対応が広がっています。

多くの電力消費する製鉄所 ひっ迫に備える動き

鉄鋼製品を作るメーカーの間では、電力の需給がひっ迫した場合に工場の稼働を調整するなどの態勢を整えたところもあります。
鉄鋼メーカーの「東京製鐵」は、電気を使った電炉で鉄くずを溶かし鉄鋼製品を生産しています。

愛知県田原市にある主力工場では、今月から電力会社の要請があれば指定された時間帯の電気の出力を調整することにしました。

電力の需給がひっ迫した際は、制御室でタッチパネルを操作すれば比較的簡単に出力を抑えたり、稼働を止めたりできるということです。

この態勢を整えたことで緊急時には電気の使用を減らすことができますが、一方で鉄鋼の生産量も減ってしまうことから、電力会社がメーカーに協力金を支払うことも検討されているということです。
東京製鐵 田原工場の竹内尚也製鋼部長は「電炉は電子レンジ20万個を動かすくらいの電力を消費します。電力調整が必要なときに電炉を止めるのはかなり効果的だと思うのでできるかぎりの協力をしたい」と話していました。

この会社ではこうした取り組みをほかの工場でも行い、来年1月末までに小型の火力発電所1基分に相当する20万キロワットの節電を可能にしたいとしています。

老朽化で停止中の火力発電所 再稼働へ 千葉 姉崎火力発電所5号機

日本最大の発電事業者「JERA」は、老朽化が進み、運転を停止していた火力発電所の再稼働を決めています。
東京電力と中部電力の火力発電事業を統合したJERAは、国の指示を受け、首都圏や東海地方にある運転停止中の火力発電所を再稼働させるなど供給力を強化しようとしています。

このうち、千葉県市原市にある姉崎火力発電所5号機は、来年1月から再稼働が予定されています。

運転開始から45年以上が経過し、去年4月からは廃止も視野に運転を停止していましたが、電力需給がひっ迫したことし1月と6月に続き、3度目の再稼働となります。

さらに会社では、5号機に加えて6号機についても来年2月に再稼働させることを決めました。

6号機も運転開始から40年以上がたっていて、タービンの点検や中央指令所での運用の確認など、再稼働に向けた準備が進められていました。

5号機と6号機をあわせた出力は120万キロワットと、東京電力管内の一般家庭およそ40万世帯分に相当します。
姉崎火力発電所の齊藤喜浩管理ユニット長は「6号機については2年ほど止まっていた設備で、いろんなところを手入れしないといけないので、大規模な補修工事を行っている。冬の電力需給に向けて着々と準備を進めていきたい」と話していました。