米国防総省 “中国の核弾頭 2035年までに約1500発” 報告書

アメリカ国防総省は、中国が核戦力の増強を加速させていて、2035年までにおよそ1500発の核弾頭を保有する可能性があるなどとした報告書を公表し、警戒感を示しました。

アメリカ国防総省は29日、中国の軍事動向を分析した年次報告書を公表しました。

この中では中国が核戦力の近代化や多様化などを加速させ続けていると指摘し、運用可能な核弾頭の保有数は推定で400発を超えたと分析しています。

そのうえで、このまま増強が続けば2035年までに保有数がおよそ1500発にのぼる可能性があるという見通しを示しました。

また報告書では、人民解放軍が掲げる5年後に向けて軍の近代化を加速させる目標が実現すれば、中国が台湾統一を目指す際に、より確実な軍事的手段をとることができるようになるとしています。

そして台湾に対する軍事行動として、空域や海上の封鎖から沖合の島々や台湾全土の占拠まで、さまざまな選択肢を中国がとる可能性があると指摘しました。

国防総省の高官は「中国が自国の利益を追求するため軍を国家運営の手段の1つとして、ますます活用するようになっており、アメリカや同盟国などの利益や国際秩序に深刻な影響を与えている」と述べて、中国の軍備増強の動きに警戒感を示しました。

官房長官「中国 国際社会の安全保障上強い懸念」

松野官房長官は午前の記者会見で、「中国は国防費の高い伸びを背景に、核・ミサイルや海上・航空戦力を中心に軍事力を広範かつ急速に強化し、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域の能力強化などにも注力しているとみられる。また東シナ海・太平洋・南シナ海などにおける活動を、引き続き拡大・活発化させている」と指摘しました。

そのうえで、「こうした軍事動向などは、わが国を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念となっている。引き続き、関係諸国とも連携しつつ、安全保障分野におけるさまざまな意思疎通を通じ、中国に対し、国防政策や軍事力の透明性向上や、国際的な行動規範の順守を働きかけていく」と述べました。

中国外務省は反発

アメリカ国防総省の報告書について、中国外務省の趙立堅報道官は30日の記者会見で「アメリカは近年繰り返しさまざまな中国脅威論をあおっている。その目的は核の武器庫をみずから拡張するため、軍事的な覇権を維持する口実を探すことだ」と述べ、反発しました。

そのうえで「アメリカがすべきことは真剣にみずからの核政策を反省し、冷戦思考と覇権の論理を捨て世界の戦略的な安定の破壊をやめることだ」と述べ、アメリカをけん制しました。