中国「ゼロコロナ」への抗議活動 写真や動画が削除 検閲強化か

「ゼロコロナ」政策に対する大規模な抗議活動が起きた中国では、国内のネット上で抗議活動の写真や動画などが次々に削除されていて、当局が検閲を強めているとみられます。
これに対し、一部の市民は政府の統制が及ばない外国のSNSに抗議の写真や動画を投稿するなどの動きを見せています。

中国では、首都・北京や上海など各地で、厳しい行動制限を伴う「ゼロコロナ」政策に対する大規模な抗議活動が行われましたが、当局は多くの警察官を動員し街頭での抗議活動を抑え込んでいます。

また、国内のネット上では抗議活動の写真や動画などが次々に削除されていて、当局が検閲を強めているとみられます。

中国共産党の機関紙、人民日報は29日「よくないインターネットの情報は大衆のパニックを増大させる。政府が発表する情報に注目すべきだ」とする記事を掲載しました。

これに対し一部の市民は、VPNと呼ばれるサービスを使い、政府の統制が及ばない外国のSNSに抗議の写真や動画などを投稿していて、このうち「テレグラム」には「自由がほしい」と書かれた紙や「独裁者は退陣しろ」などと習近平国家主席を批判したとみられる書き込みも確認されました。

上海や南部の広州では、市民のスマートフォンに入っている外国のSNSのアプリを警察官が削除させているという情報もあり、政府が外国のSNSを通じた情報の拡散にも警戒を強めているとみられます。

BBC記者の一時拘束めぐり イギリス政府が駐在の大使呼び出し

イギリス政府は、中国の上海で抗議活動を取材していた公共放送BBCの記者が一時拘束された問題で、29日イギリスに駐在する中国の鄭沢光大使を呼び出し説明を求めました。

議会下院で答弁した外務担当のラトリー閣外相は「取材中の記者が拘束されたことは非常に懸念される出来事で全く受け入れられない。ジャーナリストは逮捕や脅迫のおそれを抱かず、業務に従事できなければならない。われわれはこうした行為が認められないことや、言論の自由の重要性を強調するとともに、完全かつ徹底した調査を求める」と述べました。

一方、中国の鄭大使はこの日発表した声明で「BBCの記者は当初、職業を明らかにせず、法を執行する警察の業務に協力しなかった。このため現場から連れ去らざるを得ず、職業などを確認したあと立ち去ることを認めた」と説明しました。

そのうえで「イギリス側は記者が警察に逮捕されたとかたたかれたなどとうそを主張しているが、根拠のない非難は事実のわい曲と悪意のある中傷で中国側にとって全く受け入れられない」と反発しました。

アメリカ「平和的に抗議活動を行う権利を支持する」

アメリカのブリンケン国務長官は29日の記者会見で、中国各地で起きた「ゼロコロナ」政策に対する大規模な抗議活動について「われわれは世界のどこであっても人々が自分たちの考えや懸念、不満を表すために平和的に抗議活動を行う権利を支持する」と述べました。