【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(27日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる27日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ国営の電力会社「電力全体の25%が不足」

クライナ各地でロシア軍による発電所などインフラ施設への攻撃が続く中、ウクライナ国営の電力会社「ウクルエネルゴ」は26日、電力全体の25%が不足していると明らかにしました。各地で停電が起き、市民生活への影響が続いています。

また、ウクライナ国家警察は26日、ロシア軍が11月、南部の要衝ヘルソンを含むドニプロ川の西岸地域から撤退したあとも対岸から砲撃を続け、これまでに州内で住民32人が犠牲になったと発表しました。

さらにウクライナ大統領府のティモシェンコ副長官は26日、東部のドニプロで再びミサイル攻撃があり、7棟の住宅が被害を受け、複数のけが人が出たとSNSに投稿しました。

米のシンクタンク戦争研究所「地面が凍結で活動活発に」

戦況を分析しているアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は26日、ここ数日、前線では激しい雨が降ってぬかるんでいるため部隊の動きは鈍くなっていると指摘しました。その一方で「今後気温が下がり、地面が凍結することで活動が活発になることが予想される」と分析していて、双方の部隊の機動性が上がり、各地で戦闘がいっそう激しくなる可能性もあります。

プーチン大統領 兵士の母親と面会 不満や反発抑えるねらいか

27日は、ロシアで「母の日」です。家庭で母親への感謝を表す日にしようと、1998年、当時のエリツィン大統領が11月の最終日曜日をロシア独自の「母の日」に制定しました。ロシア大統領府は11月25日、「母の日」を前にプーチン大統領が兵士の母親たちと面会した映像を公開しました。

このなかでプーチン大統領は「国を支える基盤は母親だ」とたたえ、ウクライナの戦地に子どもたちを送り出すことに理解を示しているとして謝意を示すとともに、兵士たちへの支援に力を入れる姿勢を強調しました。

軍事侵攻に対する国民の理解を得て、予備役の動員などに対する不満や反発を抑えたいねらいとみられます。

一方でプーチン大統領は「誰でもいつかは死ぬものだ。問題はどう生きたかだ」とも述べ、祖国のために戦死することを正当化したとも受け取れる発言を行いました。

プーチン大統領は、ことし8月には、ソビエト時代の制度を復活させる形で、10人以上の子どもがいる女性に「母親英雄」という称号を与える大統領令に署名しました。

11月14日にはこの称号が2人に与えられ、このうち1人は、プーチン大統領に忠誠を誓い、チェチェンの戦闘員を率いるカディロフ氏の妻でした。

米 戦争研究所「兵士の母親と偽って公開」

ロシア大統領府によりますと、プーチン大統領と、戦地に派遣されたロシア兵の母親たちとの面会は、11月25日、モスクワ郊外にある大統領の公邸で行われました。

大統領府は、プーチン大統領がおよそ20人の女性と2時間余りにわたって対話した様子を公開しました。

公表された参加者の中には、兵士の母親で、▽政府機関の職員や▽政権寄りの団体の地方組織のトップも務める女性たちが含まれています。

ロシアの独立系メディアは「動員された兵士の一般的な母親は、こうした会合に参加することを許されなかったのだろう」と伝え、政権側にとって都合のいい母親たちだけが招かれたという見方を示しました。

また、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」も「政界で影響力のある地位にある女性たちとの会合を、動員された兵士の母親との意見交換会と偽って公開した。プーチン大統領は、動員をめぐるメディアの不都合な報道を信用しないよう呼びかけ、兵士の家族との連帯を表明した」と指摘しています。

ゼレンスキー大統領“ロシアが食料危機招いている”改めて非難

ウクライナのゼレンスキー大統領は、食料の安全保障に関する国際会議を開催し、ロシアが食料危機を招いていると改めて非難しました。そのうえでウクライナとしては、国際社会と協力してアフリカなどへの農産物の輸出を進める考えを強調しました。

ウクライナのゼレンスキー大統領の呼びかけで首都キーウで26日開かれた国際会議には、およそ30の国や国際機関の代表がオンラインで参加したほか、ベルギーやポーランドなどの首脳が対面形式で出席しました。
このなかでゼレンスキー大統領は「ロシア軍がわれわれの食料の輸出を妨害し、世界を飢餓の瀬戸際に追いやっている」と述べ、改めてロシアを非難しました。

そのうえでゼレンスキー大統領は「来年の春の終わりまでに穀物を積んだ少なくとも60隻の船をエチオピアやスーダンなどに送る予定だ。少なくとも世界の500万人を飢餓の危機から防ぐことができる」と述べ、国際社会と協力してアフリカなどへの農産物の輸出を進める考えを強調しました。

ウクライナで26日は、90年前、当時のソビエトが引き起こしたとされる「ホロドモール」と呼ばれる大飢きんの犠牲者を追悼する日にあたります。

ゼレンスキー大統領としては、この日に合わせて食料の安全保障に関する国際会議を開くことで、改めてロシアを非難するとともに食料問題の解決に主体的に取り組むウクライナの姿勢を強調するねらいもあるとみられます。

ロシアで新たな動員の可能性議論か

ロシアでは、ことし9月に踏み切った予備役の動員に続き、新たな国民の動員の可能性について政権内で議論されているという見方も出ています。

ウクライナの国営通信もウクライナ軍関係者の話として「ロシア軍が『戦争に勝利するには500万人を動員する必要がある』とする文書がロシア軍の内部に配られている」と伝えていて、近い将来、新たな動員の可能性があると警戒を強めています。

プーチン政権は、先月、計画していた30万人の動員が完了したと発表しましたが、その後も追加の動員をめぐる報道や臆測が出ています。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は今月21日「新たな動員についてクレムリンで議論されていない」と述べるなど、繰り返し否定しています。

ウクライナ ロシア兵に兵器の使い方指導のイラン軍事顧問を殺害

ウクライナの国家安全保障・国防会議のダニロフ書記は、今月24日付けのイギリスの有力紙、ガーディアンのインタビューに対し、ロシアが一方的に併合した南部クリミアでイランの軍事顧問を殺害したと明らかにしました。

イランの軍事顧問は、ロシア兵に対しイラン製の自爆型の無人機の使い方をクリミアで指導していたとみられていて、ダニロフ書記は「彼らがテロリストと協力してわれわれの国の破壊に加担するなら、殺害しなければならない」としています。

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍が深刻な兵器不足に陥っているとみられるなか、ロシア軍はミサイルだけでなくイラン製の無人機を攻撃に使っているとされています。

イラン政府も今月になってロシアへの無人機の供与を一転して認めています。

さらに今月、プーチン大統領の側近、パトルシェフ安全保障会議書記がイランを訪問してライシ大統領らと会談し、イラン製の弾道ミサイルをロシアに売却することについても協議した可能性が指摘され、両国の軍事面の接近にウクライナや欧米各国が警戒を続けています。

ロシアと同盟関係のベラルーシ マケイ外相が急死 死因など不明

ロシアと同盟関係にあるベラルーシの大統領府は26日、マケイ外相が死亡したことを明らかにしました。

地元の国営通信社は急死したとしていますが、詳しい死因などは伝えていません。

マケイ氏は、1993年にベラルーシ外務省に入り、ルカシェンコ大統領の補佐官や大統領府長官を務めたあと、2012年から外相を務めていました。64歳でした。

ことし2月、ロシアによるウクライナ侵攻直後には、交渉に臨む両国の代表団をベラルーシに迎えたほか、9月の国連安全保障理事会の閣僚級会合では「交渉を始めるのは早ければ早いほどいい」と述べ両国がすみやかに交渉のテーブルにつくべきだとしていました。

ロシアの国営通信によりますと、マケイ氏は28日にロシアのラブロフ外相との会談を予定していたということです。

ベラルーシにあるロシア大使館はSNSに「強い衝撃を受けている。外相として両国の関係強化に大きく貢献した。深刻で取り返しのつかない損失だ」と投稿しました。

ヨーロッパ3国の首相がウクライナ訪問 継続的な支援を約束

ロシア軍によるインフラ施設への攻撃で電力供給に深刻な影響が出ているなか、ベルギーやポーランドなどの首相が26日、ウクライナの首都キーウを訪れ、継続的な支援を約束しました。

このうちベルギーのデクロー首相は26日、キーウでゼレンスキー大統領と会談し、共同記者会見のなかで「いまは、もっとも厳しい状況にあるウクライナの人々に私たちの支援を示す重要なときだ。この戦争を乗り切るために必要なことは何でもする」と述べました。

AFP通信は、ベルギーが3740万ユーロ、日本円にしておよそ54億円の財政支援を追加で行うことを約束したと伝えています。

また、ポーランドのモラウィエツキ首相とリトアニアのシモニテ首相も26日、ウクライナのシュミハリ首相と会談しました。

ウクライナのメディアは、この会談では、ウクライナの人たちが冬を乗り越えるために必要な発電機など、物資の供給を巡って協議されたと伝えています。