「第8波」に備え“忘年会の前倒し”も 新型コロナの現状は?

新型コロナの新規感染者数が増加傾向にある中、ことしも12月を迎えようとしています。
「第8波」での感染拡大に備え、都内の居酒屋では一足早い忘年会を楽しむ人の姿も見られています。

忘年会の実施については賛否が分かれていますが、若い世代で賛成が多いという調査結果も。

皆さんはことしの忘年会どうしますか?

忘年会 前倒しねらう動きも

東京 新橋の居酒屋では今後の感染拡大に備え忘年会の前倒しも検討してもらおうと今月までに予約をすると飲み放題のメニューが増え、料理が1品追加されるといった「忘年会早得キャンペーン」を行っています。

さらに、新型コロナに感染するなどして急にコース料理をキャンセルする場合でも、前日の夜まではキャンセル料をとらない取り組みも始めていて、24日夜も多くの人でにぎわっていました。
店によりますとコロナの感染拡大前は忘年会は12月中旬以降に予約が多く入っていましたが、ことしは今月から予約が入り、去年の同じ時期に比べて件数は8倍になっているということです。

友人と早めの忘年会で利用した60代の男性は「今の感染者数を見ると12月はかなり増えると予想されるので、落ち着いて楽しめる今のうちにと思って来ました」と話していました。

コロナ禍の影響で居酒屋チェーンが厳しい状況にある中、店では例年よりも早く予約してもらうことで感染リスクを分散しながら忘年会を楽しんでもらいたいとしています。
この居酒屋を経営する「ワタミ」のブランド広報室の木下早織さんは「去年までは営業時間の短縮や行動制限などで来られない方も多かったが、ことしは11月に忘年会をする方も増えています。安心して来られるよう最大限の感染対策をしつつ、楽しめる空間を作りたいと考えています」と話していました。

忘年会 若い世代は?

新型コロナの感染拡大への警戒が高まる中、忘年会の実施については賛否が分かれていますが、若い世代で賛成が多いという調査結果も出ています。
民間の調査機関「Job総研」は先月下旬にことしの忘年会について全国の20代から50代にインターネット上で調査を行い、企業で働く770人から回答を得ました。

それによりますとことし職場の忘年会を実施することについて、
▽「賛成」「やや賛成」という回答は合わせて58%に、
▽「反対」「やや反対」は合わせて42%でした。

年代別にみると「賛成」「やや賛成」と答えた割合は▽20代が65%と最も多く、▽30代が54%、▽40代が50%、▽50代が44%でした。

賛成の理由としては「コロナ禍で2年間実施できなかったので職場でねぎらいたい」とか「仕事がリモートになり対面コミュニケーションが減っているので貴重な場」といった声が寄せられました。

一方、反対の理由としては「第8波の中で忘年会の実施はリスクが大きい」とか「コロナ禍で廃止になったが必要性を感じなかった」といった声が寄せられています。

Job総研では「20代の中には忘年会の経験がなく上司と仕事以外の雑談をしたいという声もある。忘年会の概念も会社全体というより、参加したい人だけで少人数で行うなど変わりつつあるのではないか」と話しています。

居酒屋チェーン 店舗数 感染拡大前より19%減少

一方、民間の調査会社「東京商工リサーチ」が居酒屋やバーなどを運営するチェーン16社を対象に調査したところ、ことし9月末時点の店舗数は合わせて5387店で、新型コロナの感染が拡大する前の2019年12月末と比べ1274店、率にして19%減少しています。

たび重なる緊急事態宣言に伴う酒類の提供停止の要請などで売り上げが落ち込む中、おととしは585店が、去年は390店が閉店し、3月に全国でまん延防止等重点措置が解除されたことしも9月までに299店が閉店していて、歯止めがかかっていません。

調査会社によりますと、特定の料理に特化して少人数の客を中心に受け入れる店舗より宴会などで大人数の客を中心とする店舗のほうが影響が大きくなっていて、感染拡大前と比べ店舗数が半減した居酒屋チェーンもあるということです。

東京商工リサーチの二木章吉さんは「店舗が減り続けるのは、コロナ禍が長引く中で夜遅く大人数で飲む習慣が変わってきていることが要因と考えられる。この傾向は続くとみられ、賃料の高い都市部を離れより小規模な店舗に変化していく可能性がある」と話していました。

新型コロナ 新規感染者数 今の傾向は?

新型コロナウイルスの新規感染者数を1週間平均で比較すると、全国では1.08倍と6週連続で増加傾向が続いています。一日あたりの全国の平均の新規感染者数は先週よりおよそ6600人多いおよそ8万7000人でした。

一方で、40都府県では前の週より多くなりましたが、このうちの37都府県で増加のペースは下がっています。

※詳しくは記事の最後をご覧ください。

インフルエンザ患者数は前週より増加するも低水準

厚生労働省によりますと今月20日までの1週間に全国およそ5000か所の医療機関から報告があったインフルエンザの患者数は前の週から139人増えて546人でした。

インフルエンザは、1医療機関あたりの1週間の患者数が全国で1人を超えると「全国的な流行期」入りとされていますが、今の時点では0.11人と大きく下回っています。

新型コロナウイルスが感染拡大して以降、おととしと去年はインフルエンザの感染が広がりませんでしたが、今月20日までの1週間では31の都道府県で患者が報告されていて、1医療機関あたりの患者数は▽京都府が0.55人、▽大阪府が0.51人、▽東京都が0.30人と徐々に増えてきています。

舘田一博教授「忘年会は感染リスク増加 対策徹底を」

新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は現在の感染状況について「感染者数の増加のスピードが鈍化する傾向が全国で見られ、今すぐにことし初めの第6波や夏の第7波のような爆発的な増加が生じるリスクは下がってきている。感染の主流が第7波に引き続きオミクロン株の『BA.5』となっていることから、その免疫を持っている人が一定数いることで、急激な増加が抑えられているのかもしれない」と話しています。

そのうえで「感染の主流が新しい変異ウイルスに置き換わったとき、急激な増加が生じる可能性が高まる。アメリカではオミクロン株の『BQ.1』が主流になっているが、水際対策の緩和で日本にも持ち込まれて各地で見つかっているので、これから数週間どう広がっていくか、注視することが必要だ」と指摘しました。
また、今月22日に緊急承認された塩野義製薬の新型コロナの治療薬について「重症化リスクのない人にも使える薬で、承認されたことは治療の選択肢を広く持っておく意味で大事なことだ。日本では抗インフルエンザ薬が一般の外来で広く使えることでインフルエンザによる死亡を低く抑えることができていて、コロナでもこの薬でそうした医療につながることが期待されている。ただ、この薬の本当の実力はまだ分からず、効果的な使い方を現場の医師が工夫して考えていくことが重要になる」と述べました。

そして今後の対策については「感染者数の増加ペースは鈍化しているとはいえ、全国では1日に10万人、死亡者は1日で100人を超えていて、この状態でもかなりの多くの高齢者が犠牲になってしまう。年末年始には忘年会やクリスマス、新年会や成人式など、密に接触し食事する機会が増えることで感染リスクが増加し、大きな感染の波が形成されるおそれが高まるので、これ以上感染を広げないために基本的な対策を改めて徹底してもらうことやオミクロン株対応のワクチンやインフルエンザワクチンを接種できる人は早め早めに打つことが大事だ」と話しています。

【詳細】新型コロナ新規感染者数 1週間平均 6週連続増

NHKは厚生労働省が発表した感染者数をもとに、1週間平均での新規感染者数の傾向について前の週と比較してまとめました。

【全国】
全国では
▽先月27日までの1週間では前の週に比べて1.07倍、
▽今月3日は1.38倍、
▽今月10日は1.30倍、
▽今月17日は1.24倍、
▽24日まででは1.08倍と6週連続で増加が続いていますが、増加のペースは下がっています。

一日あたりの全国の平均の新規感染者数は先週よりおよそ6600人多いおよそ8万7000人でした。

40都府県では前の週より多くなりましたが、このうちの37都府県で増加のペースは下がっています。

北海道、秋田県、山形県、島根県、山口県、徳島県、愛媛県の合わせて7道県では横ばいか、前の週より減少しています。

【北海道】
人口あたりの感染者数が最も多いのは北海道で、
▽今月10日までの1週間は前の週の1.23倍、
▽今月17日も1.23倍と6週連続で増加が続いていましたが、
▽24日までは0.93倍と減少しています。

一日あたりの新規感染者数はおよそ7747人で、人口10万あたりの感染者数は1037.93人となっています。

【1都3県】
東京都は
▽今月10日までの1週間は前の週の1.41倍、
▽今月17日は1.25倍、
▽24日まででは1.06倍で、一日あたりの新規感染者数はおよそ8770人となっています。

神奈川県は
▽今月10日までの1週間は前の週の1.42倍、
▽今月17日は1.27倍、
▽24日まででは1.10倍で、一日あたりの新規感染者数はおよそ5671人となっています。

埼玉県は
▽今月10日までの1週間は前の週の1.35倍、
▽今月17日は1.29倍、
▽24日まででは1.07倍で、一日あたりの新規感染者数はおよそ4487人となっています。

千葉県は
▽今月10日までの1週間は前の週の1.27倍、
▽今月17日は1.36倍、
▽24日まででは1.14倍で、一日あたりの新規感染者数はおよそ3458人となっています。

【関西】
大阪府は
▽今月10日までの1週間は前の週の1.13倍、
▽今月17日は1.16倍、
▽24日まででは1.10倍で、一日あたりの新規感染者数はおよそ4164人となっています。

京都府は
▽今月10日までの1週間は前の週の1.28倍、
▽今月17日は1.14倍、
▽24日まででは1.13倍で、一日あたりの新規感染者数はおよそ1165人となっています。

兵庫県は
▽今月10日までの1週間は前の週の1.16倍、
▽今月17日は1.16倍、
▽24日まででは1.10倍で、一日あたりの新規感染者数はおよそ2334人となっています。

【東海】
愛知県は
▽今月10日までの1週間は前の週の1.35倍、
▽今月17日は1.29倍、
▽24日まででは1.13倍で、一日あたりの新規感染者数はおよそ5425人となっています。

岐阜県は
▽今月10日までの1週間は前の週の1.33倍、
▽今月17日は1.31倍、
▽24日まででは1.06倍で、一日あたりの新規感染者数はおよそ1723人となっています。

三重県は
▽今月10日までの1週間は前の週の1.40倍、
▽今月17日は1.24倍、
▽24日まででは1.22倍で、一日あたりの新規感染者数はおよそ1247人となっています。

【その他の地域】
宮城県は
▽今月10日までの1週間は前の週の1.46倍、
▽今月17日は1.27倍、
▽24日まででは1.17倍で、一日あたりの新規感染者数はおよそ2994人となっています。

広島県は
▽今月10日までの1週間は前の週の1.43倍、
▽今月17日は1.19倍、
▽24日まででは1.15倍で、一日あたりの新規感染者数はおよそ2763人となっています。

福岡県は
▽今月10日までの1週間は前の週の1.29倍、
▽今月17日は1.27倍、
▽24日まででは1.06倍で、一日あたりの新規感染者数はおよそ2178人となっています。

沖縄県は
▽今月10日までの1週間は前の週の1.06倍、
▽今月17日は1.02倍、
▽24日まででは1.17倍で、一日あたりの新規感染者数はおよそ342人となっています。