軍事侵攻9か月 欧米各国 ロシア軍の市民生活標的の攻撃を非難

ウクライナへの軍事侵攻が始まってから24日で9か月がたちました。ロシア軍がインフラ施設への攻撃を繰り返していることに対し、ヨーロッパ議会がロシアをテロ支援国家と認定する決議を採択するなど、欧米各国の間では市民生活を標的にしたロシア軍の攻撃に非難が強まっています。

首都キーウなど各地で23日もエネルギー関連のインフラ施設への攻撃が繰り返され、ウクライナ側によりますと、ミサイル攻撃の数は70発におよび、これまでに10人が死亡、36人がけがをしたということです。

これを受けて、ウクライナ国営の電力会社「ウクルエネルゴ」が全土で緊急停電の実施を発表するなど、電力不足が深刻化しています。

ロシア国防省は24日「ロシア軍はウクライナ軍の指揮系統と関連するエネルギー施設に対して、空と海、それに陸から大規模な攻撃を行った」と発表しました。一方で「キーウ市内では一度も攻撃を行っていない。ウクライナ側の防空システムが発射したミサイルが住宅街に落下したものだ」とする主張を展開しています。

23日、国連の安全保障理事会の緊急会合にオンラインで参加したゼレンスキー大統領は、ロシアの攻撃を「エネルギーテロ」と呼び、「氷点下の寒さで多くの市民が電気や暖房なしで過ごすことになれば、人道に対する罪だ」と非難しました。

欧米各国からも非難が相次ぎ、ノルウェーのユール国連大使は「ロシアの目的はウクライナ国民を恐怖に陥れることだ」と批判しました。

また、アメリカ国務省でエネルギー政策を統括するパイアット国務次官補は、首都ワシントンで開かれたイベントで「ロシアはエネルギー関連のインフラ施設を攻撃し、ウクライナを暗闇に陥れようとしている」と厳しく非難しました。

EU=ヨーロッパ連合の議会、ヨーロッパ議会は23日、ロシアをテロ支援国家と認定する決議を賛成多数で採択し、市民を意図的に攻撃、虐殺したり、民間のインフラ施設を破壊したりすることはウクライナ国民に対するテロ行為で戦争犯罪に当たるなどと非難しています。

一方、24日で軍事侵攻から9か月がたつ中、ロシア軍は南部の要衝ヘルソンから撤退を余儀なくされた部隊の一部を東部の戦線に投入したとみられています。

イギリス国防省は24日「ロシア軍は空てい部隊の主力の配置を改め、東部ルハンシク州のスバトベ周辺の防衛や、東部ドネツク州のバフムトへの攻撃に参加させる可能性がある」と指摘しました。

ヘルソンに駐留していた精鋭の空てい部隊を東部での戦闘のために配置すると分析したもので、今後、攻防は一段と激しくなる見通しです。