ロシアのウクライナ侵攻9か月 冬の寒さ厳しく戦闘長期化懸念も

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めてから24日で9か月となりました。冬の寒さが厳しさを増す中、発電所などインフラ施設への攻撃を続けるロシア軍に対して、ウクライナ軍は占領地域の更なる奪還を目指したい考えで、戦闘の長期化が懸念されています。

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は、発電所などインフラ施設を標的にしたミサイルや無人機による攻撃を繰り返し、ウクライナ政府によりますと23日の攻撃では、これまでに10人が死亡、36人がけがをしたということです。

ウクライナ国営の電力会社「ウクルエネルゴ」は23日、24時間の緊急停電を全土で実施すると発表するなど、冬の寒さが厳しさを増す中、電力不足が深刻化しています。

ゼレンスキー大統領は23日、インフラやエネルギー施設、民間人へのミサイル攻撃を行ったとしてロシア軍を非難したうえで「私たちはすべてを再建し、すべてを乗り越える。私たちは不屈の民だからだ」と述べ、徹底抗戦を続ける構えを強調しました。

また、ウクライナ軍は今月、南部の要衝ヘルソンを奪還したことを弾みに、戦況の主導権を握りながら、占領地域の更なる奪還を目指したい考えです。

これに対してロシア軍は、ヘルソンから撤退させた部隊の一部を東部のドネツク州とルハンシク州に投入しているとみられます。

今月に入ってロシアとアメリカの代表団が接触する動きもあったものの、ウクライナの外相がNHKの取材に対して「ロシアに交渉の用意がないのは明らかだ」と述べるなど、現時点で停戦に向けて表立った動きはみられず、24日でロシアのウクライナへの軍事侵攻から9か月となる中、戦闘の更なる長期化が懸念されています。

松野官房長官“対ロシア制裁とウクライナ支援を引き続き実施”

松野官房長官は午前の記者会見で「ロシアの攻撃によりウクライナ各地で多くの市民が犠牲になっていることを極めて深刻に受けとめている。改めて強く非難する」と述べました。

そのうえで「冬の厳しい寒さが待ち受ける中、ウクライナの人々に寄り添った支援を実施すべく、越冬支援として発電機などを供与するため、22日におよそ257万ドルの緊急無償資金協力の実施を決定した。G7=主要7か国をはじめとする国際社会と連携し、強力な対ロ制裁とウクライナ支援を引き続き実施していく」と述べました。