“朝鮮人扱った映像作品” 東京都が上映認めず 制作者らが批判

東京都が主催する精神障害者の理解促進を図る企画展で、昭和初期の精神障害がある朝鮮人を扱った映像作品の上映を都が認めず、制作者らは「検閲にあたる」と対応を批判しています。一方、都は「企画の趣旨にそぐわないうえ、検閲にもあたらない」としています。

22日、都議会の議会棟で、昭和初期に精神科の病院に入院していた朝鮮人を扱った映像作品の上映会が開かれ、制作したアーティストの飯山由貴さんらのグループと都議会議員7人らが参加しました。

飯山さんは、東京 港区の「東京都人権プラザ」で開かれている精神障害者の理解促進を図る企画展で都に展示内容の委託を受け、イベントの1つとしてこの作品を上映しようとしましたが、認められませんでした。

作品には出演者が在日朝鮮人の歴史を研究する専門家を訪ね「関東大震災の混乱の中で日本人が朝鮮人を殺したのは事実」などと説明を受けるシーンがあり、この場面について都の担当者から懸念を示すメールが関係者に送られてきたということです。

上映のあと、飯山さんは「イベントでは精神障害者の苦悩や歴史を説明しようとしたが受け入れられなかった。朝鮮人の殺害についても、事実とされていないようで問題だと感じる」としたうえで、都が上映を認めなかった対応は「検閲にあたる」と批判しました。

これに対し東京都人権部は、NHKの取材に「今回の作品は精神障害者への理解促進につながる直接的な表現がなく、幅広い都民が理解を深めるという観点からわかりづらく趣旨にそぐわないと考えた。展示スペースは『人権に関する普及の場』で、表現者が自由にみずからの作品を発表する場ではなく、検閲にはあたらない」とコメントしています。

上映について意見をやり取りしたメール

展示会を主催する都と、現場で調整にあたる都の外郭団体の人権啓発センターの担当者との間で、上映についての意見をやり取りしたメールが残っています。

作品では、出演者が在日朝鮮人の歴史を研究する専門家を訪ね、「関東大震災の混乱の中で、日本人が朝鮮人を殺したのは事実」などと説明を受けるシーンがあります。

都は、このシーンを念頭に、メールでは「都ではこの歴史認識について言及をしていません」としています。

さらに、毎年行われる関東大震災の朝鮮人犠牲者への追悼式典に小池知事が追悼文を送っていないことを挙げたうえで、「都知事がこうした立場を取っているにもかかわらず、朝鮮人大虐殺を『事実』と発言する動画を使用する事に懸念があります」と指摘しています。

このやり取りについて飯山さんらの制作グループは、「取りやめの判断に知事の姿勢が影響したとすれば問題だ」と批判しています。

これに対し、都の人権部はメールの存在を認めたうえで、「メールの文面が稚拙だった。映像を採用するかしないかは都知事に関係なく、都知事ということばは必要ない表現だった」と釈明しています。

そのうえで、「メールは、殺傷事件があったかどうかというより、殺害された人数など、内容にさまざまな見解があり、その部分を確認したかった。展示しないように求めたのは、事件が事実と描かれているからではなく、障害者と人権というテーマから作品がずれているからだ」としています。