桜島「大規模な噴火の可能性」の有無を情報文に明記へ 気象庁

ことし7月の爆発的な噴火で噴火警戒レベルが一時「5」に引き上げられた鹿児島市の活火山、桜島について、気象庁は噴火警報の情報文を見直し「大規模な噴火の可能性」があるかないか、明記することになりました。桜島の噴火警報は規模の異なる2つの噴火を想定していて、気象庁は対象を明確にすることで自治体の対応や住民の速やかな避難につなげたいとしています。

鹿児島市の桜島では活発な火山活動が続き、ことし7月24日に南岳山頂火口で起きた爆発的な噴火では、弾道を描いて飛散する大きな噴石が火口からおよそ2.5キロに達しました。

気象庁は、噴火警報を発表して、噴火警戒レベルを最も高い5の「避難」に引き上げ、これを受けて鹿児島市は有村町や古里町の一部に避難指示を出しました。

桜島の噴火警戒レベル4や5は、島外への避難が必要となる「1914年(大正3)のような大規模な噴火」と、大きな噴石や火砕流が一部の地域に及ぶ「ふだんの火山活動の延長」という規模が異なる2つの噴火が想定されています。

気象庁の情報文には対象となる噴火の記載が無く、7月の噴火では地元の自治体や住民から「どちらの規模の噴火に該当するのかすぐに判断できず、混乱につながった」といった指摘が寄せられました。

このため、気象庁は桜島の噴火警報の情報文を見直し、今後、レベル5と4について「大規模噴火の発生が切迫しています」とか「大規模噴火が発生する兆候は認められません」などと明記すると発表しました。

気象庁は「噴火警報を分かりやすく発表することで、自治体の対応や住民の迅速な避難などにつなげたい」と話しています。

情報文の見直し ことし7月の噴火がきっかけ

気象庁が今回、桜島の噴火警戒レベル5と4の情報文を見直したのは、大規模噴火の可能性の有無をすぐに、わかりやすく伝えるためです。

きっかけとなったのは、ことし7月24日の南岳山頂火口の噴火です。

このときは、弾道を描いて飛散する大きな噴石が火口の東方向、2.5キロ付近まで飛びました。

このため、気象庁は噴火警報を発表して噴火警戒レベルを最も高い5に引き上げ、南岳山頂火口と昭和火口からおおむね3キロの範囲では大きな噴石に、およそ2キロの範囲では火砕流に警戒を呼びかけました。

噴火警戒レベルは火山活動に応じて5段階に分けて発表され、最も高いレベル5は集落など人が住む地域に重大な被害のある噴火が発生したり、切迫したりした際などに出されます。

桜島で警戒レベルが5に引き上げられたのは2007年の導入以降、初めてで、鹿児島市が南東の有村町や古里町の一部に避難指示を出し、33世帯51人が避難しました。

桜島の「レベル5と4」 2種類の噴火を想定

桜島の噴火警戒レベル5と4は規模の異なる2つの噴火のどちらかを対象に、情報が発表されることになっています。

1つは1914年、大正時代に発生したタイプの大規模な噴火です。

このときは山腹から軽石や火山灰を噴出し、火砕流がふもとの集落に達したほか、流れ出した大量の溶岩で大隅半島と陸続きになりました。

大規模な噴火の際には、鹿児島市の計画では、桜島のすべての住民をフェリーやバスを利用して島外への避難を促すほか、風向きなど場合によっては対岸の市街地側の住民も近隣自治体への避難を求めることにしています。

もう1つは、ふだんの活動の延長によって大きな噴石や火砕流が島内の一部の集落近くに達した場合です。

7月の噴火はこちらのタイプでしたが、気象庁には地元の自治体や住民から「2つある噴火の想定のうち、どちらに該当するのかが情報文ですぐに判断できず、混乱につながった」との声が寄せられていました。