ワールドカップ これだけ知れば楽しめる サッカー基本の「キ」

ワールドカップ これだけ知れば楽しめる サッカー基本の「キ」
サッカーワールドカップカタール大会、日本が1次リーグをトップで通過。

日本中が歓喜に沸いていますが、スペイン戦に出てきた「VAR」という言葉に「えっ、何?」と思った人も多かったのではないでしょうか。

そこで基本的なルールに「VAR」の詳しい説明や決勝トーナメントの対戦相手、クロアチアの注目選手など、今から押さえておきたいポイントをまとめました。
※随時、更新中。
※初心者向けです。

知っている人 実は少ない?賞金が出ます!

ワールドカップには出場チームに高額の賞金が用意されているのを知っていますか?

優勝チームには、なんと58億8000万円(4200万ドル)。

1次リーグで敗退した16チームにも12億6000万円(900万ドル)。

出場するだけで賞金が出る大会なのです。

賞金総額は日本円で実に616億円(4億4000万ドル)にのぼります。

※11月19日のレート。1ドル140円で計算※

サッカーのだいご味といえば ゴールのいろいろ

サッカーのだいご味と言えばゴール!

ひとたびゴールが決まればスタジアムに大歓声が沸き起こり雰囲気はがらりと変わります。

1ゴールで1得点。

ボール全体が「ゴールライン」を完全に越えてゴールに入れば得点です。

ボールの一部や半分ではダメなのです。
ボールが入るその「ゴール」、公式戦で使用される物は高さ2.44メートル(電話ボックスよりも少し高いくらい)、横幅7.32メートル(マイクロバスより少し長い)と決まっています。

縦2本の柱を「ゴールポスト」、ゴールポストを上部でつないでいる横向きのバーを「クロスバー」と言います。

ゴールポストとクロスバーの色は「白」と定められているんです。

試合は1チーム11人 実は足りなくても…

サッカーは11人以下の競技者の2チームで対戦。

必ずしも11人でないといけないという訳ではないんです。

ただし、ケガや退場などでどちらかのチームが7人未満になった場合は試合の開始も続行もできません。

出場選手のうち1人はゴールキーパーと決められています。

ポジションは何がある?

次にポジションは大きく分けて4つあります。

ゴールキーパー(GK)
ただ1人、手を使うことが認められています。手を使える場所は自分が守るゴール前の「ペナルティーエリア」の中だけ。同じチームの選手と1人だけ異なるユニフォームを着ていますが、これもルールです。

ディフェンダー(DF)
主に守備を担当。

ミッドフィルダー(MF)
「中盤」とも呼ばれ、主にディフェンダーとフォワードの間でプレーし、守備と攻撃の両方を担って攻守のつなぎ役でもあります。

フォワード(FW)
得点を求められるポジションです。相手ゴールに最も近い位置でチャンスをうかがい、味方からのパスを受けたり、ドリブルをしたりしてゴールを狙います。

試合時間は?

前半と後半にわかれ、いずれも45分間。

前半と後半の終わりには「アディショナルタイム」と呼ばれる試合時間が追加されることがあります。

これはケガによる手当てなどで中断された時間を補うもので長さは定められておらず、主審の判断に委ねられています。

新型コロナ特例も

もう1つ。今大会は、新型コロナウイルスの感染拡大後では初めてのワールドカップ。

選手の感染など不測の事態にも柔軟に対応するため、ルールが一部、変更されました。

各チームの登録メンバーは、これまでの23人から26人に拡大され、1試合で交代できる選手も3人から5人となりました。

1次リーグ 日本は首位で通過

日本(世界ランキング24位)は1次リーグで3チームと対戦。
▽ドイツ(世界11位・優勝4回、西ドイツ時代含む)
▽スペイン(世界7位・優勝1回)
▽コスタリカ(世界31位)
2勝1敗の成績でリーグ首位で決勝トーナメントへ。

決勝トーナメント 注目はこの選手だ!

1次リーグをトップで通過した日本は、決勝トーナメント1回戦でクロアチアと対戦。

注目選手などをまとめました。
三笘薫選手(MF・25)は初出場。

見てほしいのはとにかくドリブルです。

ボールを受けて、ドリブルで巧みに相手をかわし、一気にゴールに迫るプレー。背番号「9」がパスを受けたら目が離せません。

日本ではJリーグで川崎フロンターレに所属し、リーグ優勝と天皇杯制覇の2冠に貢献。

2021年夏から海外に渡り、今シーズンからイングランドプレミアリーグのブライトンでプレーしています。

新聞などで活躍が絶賛されています。
デイリー・ミラー
「カウンター攻撃からの三笘のシュートが守備陣を崩壊させた」

BBC
「三笘はトップクラスの選手が持つすべての要素を持っている」
決勝トーナメント進出を決めたスペイン戦では、フロンターレで一緒にプレーしたことがある田中碧選手へのクロスボールでアシストする活躍を見せました。

クロアチアはベテランが引っ張る

日本が決勝トーナメント1回戦で対戦するクロアチアは、前回のロシア大会で準優勝した強豪です。

攻守にわたってチームを引っ張るのが37歳のベテラン、ルカ・モドリッチ選手

ロシア大会ではクロアチアのキャプテンとしてチームを準優勝に導き、大会のMVP=最優秀選手にも選ばれました。

またモドリッチ選手は、同じ年にフランスのサッカー専門誌が選ぶ伝統ある賞「バロンドール」にクロアチアの選手として初めて選出されました。

日本とクロアチアはこれまで国際大会で3回対戦し、1勝1敗1引き分けの成績です。

それではキックオフ!

あれ、サッカーでボールを投げている!?

試合中、ボールがタッチラインを出た時、ゴールキーパー以外の選手がボールを両手で投げています。

「スローイン」というプレーの1つです。

タッチラインを出た時、最後に触れた選手の相手ボールになります。

スローインはタッチラインの外から必ず両手で投げなければなりません。

投げる際には両足の一部が必ず地面につき、ボールを頭の後方から頭上を通さなければなりません。

またスローインのボールが直接ゴールに入っても得点は認められません。

ファウルって?

スポーツに反則はつきもの、サッカーにもあります。

ここでは反則のうち、試合で出る機会が多い「ファウル」の説明をしましょう。

「ファウル」は相手チームの選手との不当な体のぶつかり合いや、スポーツマンらしくない行為を指すんです。

ファウルをすると「直接」か「間接」のフリーキックが与えられます。
「直接フリーキック」はその名のとおり直接ゴールを狙うことができます。

相手を蹴ったり、タックルしたりするなど、身体的な接触を伴うなどの反則の時です。

フリーキックの「壁」の足元で寝そべる選手 なぜ?

日本がコスタリカと対戦した試合では、相手の選手がピッチに寝そべっているシーンが何度か見られました。

いずれもフリーキックの時でしたが試合中に選手が寝そべる動き、ルール上はいいのでしょうか?
日本がコスタリカと対戦して競り負けた試合の後半、日本のフリーキックの時でした。

相馬勇紀選手が蹴る際、コスタリカの選手が横に並びました。

さらに別の1人が、当然のようにピッチに寝そべったのです。

このあともう1回、鎌田大地選手のフリーキックの場面でも相手選手が寝そべっていました。

どうして寝そべる必要が?、ルール上は問題ないの?

フリーキックの場面でゴールに近く、直接得点を狙うことができる距離などの場合、守備側の選手はシュートを防ぐためにほぼ横一列に並びます。

これは「壁」といってルール上、認められているんです。
この「壁」。

相手のボールを蹴るタイミングに合わせて、壁の選手がジャンプするケースがあります。

頭上のボールを止めようとしてジャンプをすると足元が空いてしまいます。

このため別の選手があらかじめ寝そべり、足元を抜けるボールを防ぐんです。

こちらの選手も体を張って守っています。

ルールでは、フリーキックの際の守備側は「ボールから9.15メートル以上離れなければならない」と定められ、例外を除いて壁とボールの距離は決まっています。

「壁」についての豆知識

JFAのサッカー競技規則は2019年に改正され「3人以上の守備側チームの競技者が『壁』を作ったとき、すべての攻撃側チームの競技者はボールがインプレーになるまで壁から1メートル以上、離れていなければならない」という内容が追加されました。

それまでは、攻撃側に制限はなかったため「壁」の間に入って邪魔をしようとするなどのいざこざが起こることもありました。

改正によって壁から1メートル以内に近づいた場合は、相手に間接フリーキックが与えられます。

「VAR」って何?

サッカーでも他のスポーツと同じようにきわどいプレーを見極めるためにさまざまな技術が用いられています。

「VAR」はビデオ・アシスタント・レフェリーの略です。

ピッチ外で映像を見ながらビデオ判定を行う審判員のことで、主審の判定を補助します。

VARは「得点」「ペナルティーキック」「レッドカード」「警告、退場となる対象者の特定」で、明らかな誤審や、重大な見落としがあった場合に無線で主審に助言をします。

主審はVARからの情報や直接リプレー映像を見たうえで最終的な判定を下します。

VARは前回のロシア大会から導入されました。

日本も“1ミリの差”で得点!?

2日に行われた日本対スペインの試合の決勝点のシーンもVARによるビデオ判定が行われました。

田中碧選手がシュートを決めた場面。ゴールラインぎりぎりからラストパスを出したのは三笘薫選手でした。
三笘薫選手
「1ミリですけどピッチの中に入っていればいいなと思って足を伸ばしました」
国際サッカー評議会のサッカー競技規則によりますと、ボールがピッチの外に出たと判定されるのはグラウンド上あるいは空中でラインを完全に越えたときとされています。

つまり、地面に接している部分でなくてもボールの一部がライン上に残っていれば、プレーは続けられます。
三笘選手がクロスボールをあげた場面を上からとらえた写真です。

ボールの一部がわずかにゴールライン上に残っていることが確認できます。

VARによるビデオ判定の結果、ラインを完全に越えていないと判断されて勝ち越しゴールが認められました。

この“1ミリの差”と言えそうなわずかな差が日本にとって勝負を分ける大きなシーンになりました。

オフサイドって?

23日のドイツ戦。
日本の歴史的な勝利にネット上でも称賛の投稿が相次ぎました。

その一方で、多くの疑問が出ていたのが「オフサイド?何?わからない」というものでした。

この「オフサイド」は非常に複雑。

サッカーをしている人が間違えるケースもあります。

そこで、ゴールに密接に関係するケースのあるオフサイドについてできるかぎりわかりやすくお伝えします。

オフサイドは反則の1つ。

攻撃側の選手が守備側のチームのフィールド内で待ち伏せすることを防ぐために作られたルールです。

「オフサイドポジション(オフサイドの位置)」にいた選手が攻撃に参加し味方が蹴ったボールを受けると、オフサイドとして相手チームに『間接フリーキック』が与えられます。
ただし、オフサイドの位置にいるだけで反則を取られるわけではないのです。

ゴールキック、コーナーキック、スローインでボールを受けた際はオフサイドにはなりません。

例えば、攻撃をしている選手がずっと相手ゴールキーパーの前で1人でボールを待ち続けている状態に加えて、攻撃に参加し味方のパスを受けたらオフサイドです。

少しイメージがわいてきましたか。
次はドイツ戦のオフサイドを例に見ていきます。

両チームともゴールにボールが入った場面でオフサイドの判定がありました。

はっきりわかるのが前半8分、前田大然選手が走り込んでシュートし、日本が先制かと思われた場面です。

鎌田大地選手がボールを奪って伊東純也選手にパス。

伊東選手はクロスボールを出しました。

そこに走り込んできた前田選手がシュートし、ゴールが決まったかと思われました。
このシーン、伊東選手がパスを出した瞬間、相手の選手より前田選手がゴールラインに近い「オフサイドポジション」にいました。

そのまま攻撃に参加し、パスのボールに触ったためオフサイドと判定されたのです。

オフサイド判定に「AI」新技術導入

さらに今大会からオフサイドの判定にAI=人工知能の最新技術が導入されました。

この最新技術ではスタジアムの屋根の下に取り付けられた12台の専用カメラを使って、ボールに加え、個々の選手の手足など最大29のポイントを1秒間に50回追跡し、正確な位置を計測。

公式ボールの内部には1秒間に500回のデータを発信するセンサーが設けられ、ボールが蹴られたポイントを正確に検知します。

こうして得られたデータにAIを活用することで、これまでより迅速・正確にオフサイドを判定し、見逃しを防ぐことに役立つと期待されています。

サッカーを観戦し始めると誰もが一度は悩むであろう難解な「オフサイド」。

もっと詳しく知りたい方はこちらへ。

ハンドはどこ?

さらに試合の流れを一気に変える可能性のある反則が「ハンド」。

図のように選手の手や腕にボールが触れるとハンドになります。

ペナルティーエリア内でハンドなどの反則をした場合、相手に与えられるのが「ペナルティーキック」です。

ペナルティーキック(PK)って?

ペナルティーエリア内で「直接フリーキック」に該当するような反則の場合に与えられます。

ファウルを受けたチームの選手がゴールから11メートル近く離れた位置からボールを蹴ります。

ペナルティーキックは、ゴールキーパーと1対1。ゴールに入る可能性が高まり目が離せなくなります。

決勝トーナメントからPK戦を実施

ワールドカップの場合、1次リーグでは同点で終わった場合はそのまま引き分けとなります。

しかし、決勝トーナメントでは前後半を終えて同点の場合、延長戦に入ります。

延長の前半・後半はいずれも15分間。

それでも決着がつかない場合は「ペナルティーキック戦(PK戦)」で勝敗を決めることになります。

ペナルティーキック戦は、対戦しているチームの選手が交互に1人ずつ蹴っていき、1チームが5本のキックを行います。

ただし、5人が蹴る前に勝敗が決まるケースもあります。

各チームの5人ずつが蹴っても決着がつかない場合は、6人目以降は、どちらかのチームが外すなどしてスコアに差がつくまで繰り返します。

まとめ

ここまで読んで「もっといろんなことが知りたくなった!」というあなたには、特設サイトもご用意しています。

さらに知識を深めてみてはいかがでしょうか。
ワールドカップは12月18日まで続きます。

名選手の動画や大会の歴史、さまざまな角度からサッカーを楽しんでみてください。

(ネットワーク報道部 松本裕樹 鈴木彩里)

※ルールは日本サッカー協会の「JFA競技規則」に基づきました。