遠藤航“デュエル”強さの秘密 ワールドカップ日本代表の要

開幕したサッカーワールドカップ。日本代表は23日、初戦で優勝経験4回の強豪、ドイツと対戦します。この試合でカギを握りそうなのが日本の中盤の要、ボランチを務める遠藤航選手です。ドイツで磨いてきた“強さ”で勝負しようと意気込んでいます。(スポーツニュース部記者 武田善宏)

NHKでは日本代表の初戦、ドイツ戦を23日午後9時半から中継でお伝えします。

ドイツ1部で2季連続の“デュエル”勝利数トップ

(遠藤航選手)
「初戦でドイツとできるというのはなかなかの縁だなと思う。すごく楽しみにしている」
ドイツ1部リーグのシュツットガルトでプレーする29歳の遠藤航選手は攻守において試合をコントロールする中盤のプレーヤーです。

その最大の持ち味は1対1の強さです。

屈強な選手がそろうドイツ1部リーグで「デュエル」と呼ばれる1対1の局面での勝利数は2シーズン連続でリーグトップに輝きました。

ドイツでは小柄な部類に入る身長1メートル78センチの遠藤がどうしてこれだけデュエルで勝つことができるのか。

デュエルの極意(1)“守備は駆け引き”

ボールを奪いに行く守備では特に駆け引きを重視していると言います。
相手に生まれた一瞬のスキも見逃さない観察眼が光ります。

(遠藤航選手)
「相手がどっちにボールを置くかを予想してその中でボールを奪ったりいかに相手がボールをちょっとでも離したときに相手に体をぶつけられるかとかそこら辺は意識している部分ではある」

デュエルの極意(2)“相手の力を利用する”

実は駆け引きは元々得意だったという遠藤選手。ドイツに渡って特に成長を感じているのが、相手にボールを奪われない粘り強さです。
象徴的だったのが昨シーズンのドルトムント戦で見せたドリブルのシーンです。ボールを持ってドリブルを開始した遠藤は後ろから奪いに来た1人目に対し、うまく体を入れてキープするとスピードに乗りました。
そのまま左から来た2人目を体をひねりながらかわします。そして今度は右から体ごとぶつけて来た3人目に対して右手をうまく使いながら受け流し、およそ30メートル、ボールを運びました。

(遠藤航選手)
「まず体を当てられてもビビらないことが大事。例えば右の後ろから相手がきた時に自分の前にボールを入れれば奪われないし、逆に押された力を利用して自分も前進できる。相手の力をうまく利用しながらドリブルで運ぶというのは意識している」

進化を支えるボブスレー元五輪選手とのトレーニング

こうした遠藤選手の進化を支えているのが、ここ2年あまりの間、週1回、オンラインで続けているトレーニングです。
トレーナーを依頼した相手はボブスレーの元オリンピック選手、小林竜一さん。2006年のトリノ大会と2010年のバンクーバー大会に出場した経験があります。
全身を使ってそりに力を伝えることを追求してきた、小林さんからなら効率的な力の使い方を学べると考えました。より効果的に力を使えるか意識して指導を受けています。
ドイツ1部リーグ開幕直前の8月はじめ。この日はおよそ1時間、小林さんから指導を受けました。

この日、取り組んだのは片足を前に踏み出すときの動きです。
小林さんから後ろ足の付け根にねじりを加えれば、踏み出す一歩の幅を伸ばしたり、スピードを上げたりできると指摘されると、遠藤選手は納得した様子で動作を繰り返しました。

新たな体の動かし方を覚えたことで相手に体をぶつけられても対処できるようになったと分析しています。
小林さんは「体の動かし方がすごく巧みになった。スピードも出せるしうまくタイミングも取れるようになった」と話します。
遠藤選手も効果を実感しています。

(遠藤航選手)
「体をバンと当てられたときにバランスを崩して倒れてしまうことが昔はもっと多かった。今は相手に体を当てられても体をうまく使いながらぶれないでそのまま前進できたり、ボールを奪われないでターンできたりとか、細かい動作の質が上がっている」

主力としてドイツに挑む

遠藤選手は4年前のロシア大会でもメンバー入りしたものの、1試合も出場することはできませんでした。
前回のロシア大会は「連れて行ってもらったという感覚だった」と言いますが、今回は「予選もずっと試合に出してもらって自分でつかみ取ったという感覚がある。その分、置かれている立場も違うし、自分の立ち居振る舞い変わっている」と主力としての自覚は十分です。
初戦までの残りの期間、遠藤選手は強さにさらに磨きをかけて、大一番に臨もうとしています。

(遠藤航選手)
「まずはドイツとの初戦にすべてをかける。対ドイツという意味ではブンデス(ドイツ1部リーグ)でやるのが一番の準備になると個人的には思っている。今までやってきたようなパフォーマンスをワールドカップでも見せられればベスト8が見えてくると思うのでそこにトライしたいと思う」

取材担当

スポーツニュース部 記者
武田善宏
2009年入局 サッカー担当
今回のW杯で日本サッカーの歴史が変わることを期待し
現地取材に全力を注ぎます