【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(21日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる21日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ「尊厳と自由の日」

ウクライナでは11月21日は「尊厳と自由の日」と呼ばれています。首都キーウでは、ロシア寄りの政権を崩壊させた大規模な市民の抗議活動の犠牲者を悼む式典が開かれました。

ウクライナでは
▼2004年の「オレンジ革命」と呼ばれる民主化運動に続き、▼2014年には「マイダン革命」と呼ばれる大規模な抗議活動によってロシア寄りの政権が崩壊しました。

11月21日は、こうした出来事を振り返り思い起こすための記念日になっていて、「尊厳と自由の日」と呼ばれています。

首都キーウの中心部では21日、2014年の抗議活動で治安機関の発砲などで犠牲になった市民を追悼する式典が開かれ、訪れた遺族などが、遺影の前に花を手向けたり、ろうそくをともしたりして悼んでいました。

夫を亡くした女性は、「マイダン革命はウクライナの人々を目覚めさせた重要な出来事です」と話していました。

一方、抗議活動に積極的に参加した元議員のカテリンチュクさんは「ロシアの軍事侵攻が続く中、今こそ、尊厳と自由のために国を防衛しなければならない」と強調しました。

ウクライナ エネルギー消費25%削減を家庭に求める

冬が到来する中、ロシア軍はエネルギーのインフラ施設を標的にしたミサイル攻撃などを続けています。
ウクライナのエネルギー省は19日、国民に落ち着いて行動するよう呼びかけるとともに、各家庭にエネルギーの消費を少なくとも25%削減するよう求めています。

イギリス国防省 “ロシア軍は物資や熟練の兵員が深刻に不足”

ロシア軍はウクライナ軍の反転攻勢を受けて南部の拠点ヘルソンから部隊を撤退させたあと、支配地域を維持するために一部の部隊はヘルソン州内で防衛陣地を築くとともに、他の部隊は、東部の前線に移動しているとみられています。

イギリス国防省は21日、ウクライナ軍が反転攻勢を続ける東部ルハンシク州のスバトベの周辺で過去1週間、激しい砲撃戦が続いているとする分析を発表し、ロシアの指導部は州内で人口が密集するスバトベの支配を政治的な優先事項としてみている可能性が高いと指摘しています。

ロシア軍は支配地域で防衛陣地を築くことを優先しているとしていますが、訓練が十分でない予備役の動員兵が配備されているとも指摘していて、ロシア軍の攻撃と防衛の能力は軍の物資や熟練の兵員が深刻に不足していることで、妨げられていると分析しています。

ゼレンスキー大統領“東部砲撃 1日あたり400回程度”

ウクライナのゼレンスキー大統領は20日に公開した動画で「最も激しい戦闘が続いているのは、これまで同様、ドネツク州だ。ロシア軍は依然として極めて多くの砲撃を行っている」として、東部での砲撃が1日あたり400回程度に及んでいることを明らかにしました。

また、ロシア軍がインフラ施設の攻撃を続ける中、エネルギー不足の解消に向けて首都キーウを含め24時間態勢で送電網の復旧などを進めているとしています。

そのうえでウクライナの平和に向けて「あらゆる努力をする」と述べ、引き続き国際会議の場などで各国に協力を呼びかけていくと強調しました。

ロシア国防省“ウクライナ南部 軍事施設をミサイルで破壊”

ロシア国防省は20日、ウクライナ南部のザポリージャ市にあるウクライナ軍の軍事施設をミサイルで破壊したと発表するなど、東部や南部を中心に攻撃を続けています。

ウクライナ 原子力発電公社“原発敷地内への砲撃12回”

ウクライナの原子力発電公社「エネルゴアトム」は20日、声明で、ロシア側による原発の敷地内への砲撃が少なくとも12回あったことを明らかにし、危険な行為だとしてロシア側を非難しました。

これに対してロシア国防省は「砲撃はウクライナ側から行われた」と反論しました。

IAEA グロッシ事務局長“原発周辺の状況爆発によって一変”

IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は20日、声明を発表し、ウクライナ南部のザポリージャ原子力発電所とその周辺で19日から20日にかけて爆発が相次ぎ、原発敷地内の建物などに被害が出ていると、明らかにしました。

声明によりますと、原発に派遣されているIAEAの専門家が20日朝に砲撃によると見られる10回以上の爆発音を確認しましたが、原発の安全に関わる被害は確認されていないということです。

ザポリージャ原発を巡っては、砲撃によって原子炉の冷却などに必要な外部からの電力の供給が失われる事態が相次ぎ、IAEAはウクライナとロシアの双方と周辺を安全な区域に設定する協議を行いましたが、合意に至っていません。

声明でグロッシ事務局長は「比較的穏やかだった原発周辺の状況が爆発によって一変した。誰が関与していようと、直ちに止めなければならない。原発周辺を安全な区域に設定するまで私は諦めない」として、安全を確保するための働きかけを続ける考えを強調しました。