岸田首相 寺田総務相に辞表提出させ更迭する方向で調整

政治資金をめぐる問題が明らかになっている寺田総務大臣について、岸田総理大臣は、20日中に辞表を提出させ、更迭する方向で調整に入りました。

寺田総務大臣をめぐっては、地元後援会が政治資金収支報告書にすでに亡くなった人を会計責任者として記載するなど、政治資金をめぐる問題が相次いで明らかになっています。

岸田総理大臣は、19日の記者会見で、政策課題に政権が全力であたる必要があることや、閣僚としての説明責任を徹底させる観点から、みずからが判断する考えを示しました。

そして、今週から始まる今年度の補正予算案の審議などへの影響を考慮して、20日中に辞表を提出させ、更迭する方向で調整に入りました。

寺田大臣をめぐっては、野党側が「政治資金を所管する総務大臣として不適格だ」などと更迭を求めており、与党内でも、説明が不十分だという指摘に加えて辞任は避けられないという見方が出ていました。

一方、この週末地元広島を訪れていた寺田大臣は、午後、東京に戻りました。羽田空港を出る際、記者団が「辞任に対する考えはいかがか。岸田総理大臣とやりとりはあったのか」と質問したのに対し、無言で車に乗り込みました。

寺田総務大臣をめぐる問題とは

寺田総務大臣をめぐっては地元の後援会の政治資金収支報告書の記載などをめぐって数々の問題が指摘され、一部は市民団体などから検察庁に告発状が送られています。

このうち広島県にある「寺田稔竹原後援会」の収支報告書をめぐってはすでに亡くなった人の名前が会計責任者として記載され今月2日、市民団体が政治資金規正法違反などの疑いで寺田氏らの告発状を東京地方検察庁に郵送しました。

この記載について寺田氏は「事務的なミスで率直におわび申し上げたい」と陳謝しています。

この後援会をめぐっては今月2日、収支報告書に代表として記載されていた男性がNHKなどの取材に対してみずからが代表を務めていることを否定する一方、寺田氏は11月3日まで8年間、代表だったとして、事実関係に誤りはないと説明しています。

また、先月には、前回と前々回の衆議院選挙のあとの資産公開の際、みずからの政治団体への貸付金1250万円を記載していなかったことが報じられ、寺田大臣は衆議院に資産報告書の訂正を届け出ました。これについて寺田大臣は「事務的なミスで今後はしっかりとチェックしていきたい」と説明していました。

寺田氏はこのほかにも▽去年の衆議院選挙の選挙運動をめぐって、ポスターを貼った地元議員などに報酬を支払ったのは公職選挙法に違反する疑いがあるとして東京地検に告発状が郵送されたほか、
▽後援会の収支報告書に添付された領収書に宛名の筆跡が酷似しているものが少なくとも11枚あると報じられるなど相次いで問題が指摘され、野党側からは辞任や更迭を求める声が相次いでいました。

専門家「いろいろな問題や疑惑 払拭できていない」

政治資金の問題に詳しい日本大学の岩井奉信名誉教授は、「総務大臣は政治資金や選挙を所管する大臣なのでとりわけこれらの問題について清廉潔白でなければならない。いろいろな問題や疑惑が出てくる中でしっかり説明し、それらを払拭(ふっしょく)できていないというのが大きな問題だ。政治資金収支報告書の制度をないがしろにするもので制度に対する信頼感を失わせることにもつながっていく可能性がある」と指摘しました。

そのうえで「有権者は『政治とカネ』をめぐる問題に非常に関心があり、この問題について国会で問われたとき、疑惑を持たれた寺田総務大臣本人が答弁するという、論理矛盾のようなところがあった。そういった点でも総務大臣という地位にとどまることは許されることではなかった」と述べました。