【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(20日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる20日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

キーウ 最低気温マイナス5度 戦時下の厳しい冬に

ウクライナの首都キーウでは数日前に降った雪が積もり、雪景色になっています。路地や建物の屋根は雪に覆われ、中心部の主要道路にある、バリケードや土のうにも雪が積もっています。

ウクライナでは数日前から各地で気温がいっそう下がっていて、17日はキーウに初雪が降り、本格的な冬が到来しています。こうした中、20日朝のキーウの最低気温はマイナス5度と、この冬一番の冷え込みになっています。

日曜日の朝で人通りは少ないものの、凍結している歩道も多く、滑らないようにゆっくり歩く人の姿も見られます。20日朝もキーウには防空警報が出され、市民がロシア軍のミサイル攻撃の脅威と寒さに向き合う戦時下の厳しい冬になっています。

“電力供給は厳しいがコントロールされている”

ウクライナのエネルギー省は19日、国内の電力供給の現状についてSNSに投稿し、「電力の供給は厳しいが、コントロールされている」として、ロシア軍によるミサイル攻撃で、各地の電力供給に深刻な影響が出ているものの、落ち着いて行動するよう国民に呼びかけました。

そして「技術者は光と熱を取り戻すために24時間働いている」として復旧作業を急いでいると強調する一方で、各家庭に対し、エネルギーの消費を少なくとも25%削減するよう求めています。

ゼレンスキー大統領「電力の安定供給に向け復旧作業」

ウクライナのゼレンスキー大統領は19日、新たな動画を公開し、電力の供給が最も深刻な地域として、首都キーウとキーウ州、南部の港湾都市オデーサとオデーサ州、東部ハルキウ市とハルキウ州を挙げ、これらの地域ではロシア軍による相次ぐミサイル攻撃で、特に深刻な状況が続いていると訴えました。

そして、「きょうもエネルギー部門の復旧作業について報告を受けた。われわれは状況を安定させるため国内全域で作業を行っている」と述べ、電力の安定供給に向けて復旧作業を急いでいると強調しました。

英スナク首相がキーウ訪問 追加の軍事支援を表明

イギリスのスナク首相は19日、先月の就任以来初めてキーウを訪れ、ゼレンスキー大統領と会談しました。スナク首相はロシア軍による無人機などの攻撃に対抗するため防空システムなど、日本円でおよそ83億円相当の追加の軍事支援を表明しました。

さらにスナク首相は冬に備えて発電機やシェルターなどを提供するための資金援助や、破壊された橋や住宅の再建に向けた支援を進めることも明らかにしました。

また、両首脳は、戦闘によって破壊されたロシアの戦車をともに視察しました。共同記者会見で、スナク首相は「われわれはこれまでに23億ポンド、3800億円以上の軍事支援を行ってきたが、来年も同じ規模の支援を続けていく。ウクライナの栄光と自由は不滅だ」と述べ、連帯を強調しました。

南部ヘルソンとキーウ結ぶ列車再開

ウクライナが奪還した南部の拠点ヘルソンと首都キーウを結ぶ列車の運行が再開し、19日、ウクライナの国旗を手にした人たちが出迎える中、最初の列車がヘルソンに到着しました。

奪還後にウクライナ国鉄が損傷した線路を修理するなど復旧作業を急いだということで、列車が駅に到着すると、あちらこちらで抱き合って再会を喜ぶ姿が見られました。およそ7か月ぶりに戻ってきて息子と再会したという男性は「ことばでは言い表せない気持ちだ」と話していました。

一方、ヘルソンでは電気や水道などのインフラが、ロシア軍によって破壊され、市民生活の再建にはかなりの時間がかかる見通しです。本格的な冬の到来を前に、市内中心部では18日、飲み水や食料、それに衣類などの支援物資が届き大勢の人たちが受け取っていました。

ウクライナ大統領府のティモシェンコ副長官はSNSに「再開した列車のように、われわれは日常生活に必要なあらゆるものをヘルソンに取り戻す」と投稿しインフラの復旧を急ぐ姿勢を強調しました。

ポーランド ミサイル着弾し亡くなった男性の葬儀

ウクライナとの国境に近いポーランド南東部の村プシェボドフで、ミサイルが着弾して亡くなった男性2人のうち1人の葬儀が19日、現地で営まれました。

葬儀が行われた村の教会では、男性のひつぎが教会から霊きゅう車に運ばれ、亡くなった男性の遺影や、ポーランドの国旗の色である赤と白のリボンなどを付けた花輪を持った軍人らが車を先導しました。そして軍楽隊による演奏のなか、車がゆっくりと教会を出発するとその後ろを多くの人が続き、故人を悼んでいました。

亡くなったもう1人の男性の葬儀は、20日に営まれるということです。

ミサイルをめぐっては、ウクライナ軍が発射した迎撃ミサイルだった可能性を指摘する欧米側と、ウクライナ側との間に見解の違いも見られ、現地で行われる調査の結果が焦点となっています。