ミサイル着弾 欧米とウクライナで見解に違い 領土の奪還困難も

ポーランドにミサイルが着弾したことを巡り、ウクライナのゼレンスキー大統領は「われわれのミサイルではない」と主張し、ウクライナ軍の迎撃ミサイルだった可能性を指摘しているアメリカなどと見解に違いもみられます。こうした中、アメリカ軍の制服組トップは、ロシア軍は大きな損害を受けているものの、ウクライナ軍が占領されたすべての領土を軍事的に奪還して、勝利することは難しいという見方を明らかにしました。

ポーランド政府によりますと、ウクライナとの国境に近い村で15日、ミサイルが着弾し、2人が死亡しました。

このミサイルをめぐって、ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、記者団に対し、空軍の司令官から報告を受けたとしたうえで「われわれのミサイルでないことに、疑いの余地はない」と述べ、ウクライナ軍が発射したミサイルではないと主張しました。
ウクライナ側の主張について、アメリカのバイデン大統領は17日、記者団に対し「証拠はそれを示していない」と述べ、改めて否定し、NATOのストルテンベルグ事務総長も、ウクライナ軍の迎撃ミサイルだった可能性を指摘しています。

NATO側とウクライナとの間では、不法な侵攻を続けるロシアが、最終的な責任を負っているという立場では一致しているものの、今回のミサイルをめぐっては、見解に違いもみられます。

一方、ロシア外務省は16日「ウクライナは、あらゆる機会を利用してロシアを非難し、欧米から支援を得ようとしている」とする主張を展開しています。

ロシアの主張について、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は16日「クレムリンは、ウクライナの紛争は、欧米がロシアをおとしめることを目的とした作戦だという主張が広がることを期待している」と指摘し、プーチン政権が、今回の状況を利用しようとしていると分析しています。
こうした中、アメリカ軍の制服組トップ、ミリー統合参謀本部議長は16日、記者会見で、ウクライナではこれから寒さが一段と厳しくなるとしたうえで、戦闘がこう着状態になれば、ロシアとウクライナの対話のきっかけになる可能性があると指摘しました。

また、ミリー議長はロシア軍は大きな損害を受けているものの、ウクライナ領内に十分な戦闘部隊を維持しているとしたうえで「ロシア軍をウクライナから追い出すのは、軍事的には非常に難しい」と述べ、ウクライナが占領されたすべての領土を軍事的に奪還して、勝利することは難しいという見方を明らかにしました。

アメリカとしては、ウクライナへの軍事支援を継続する姿勢は示しつつも、領土の奪還を目指すウクライナにとっても、非常に厳しい状況が続くという見通しを示したものです。