ポーランドに落下のミサイル NATOとウクライナで見解に隔たり

ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、NATO=北大西洋条約機構の加盟国・ポーランドに、ミサイルが落下したことについて、NATOの事務総長は、ウクライナ軍の迎撃ミサイルだった可能性があると指摘しました。

これに対してウクライナのゼレンスキー大統領は「われわれのミサイルではない」と否定し、見解に隔たりが生じています。

ウクライナ各地で15日、ロシア軍による大規模なミサイル攻撃が行われる中、ポーランド政府は、隣接するウクライナとの国境に近い村にロシア製のミサイルが落下し、2人が死亡したと発表しました。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻以降、NATOの加盟国内で初めて犠牲者が出たことになり、ウクライナのゼレンスキー大統領は15日、ロシアによる攻撃だと非難しました。

NATO事務総長「ウクライナの防空ミサイルの可能性」

一方、NATOのストルテンベルグ事務総長は16日、記者会見を開き「初期の分析では、ロシアの巡航ミサイルによる攻撃から国を守るための、ウクライナの防空ミサイルによって、引き起こされた可能性がある」と述べ、ウクライナ軍の迎撃ミサイルだった可能性を指摘しました。

そのうえで「はっきりさせたいのは、ウクライナが悪いのではなく、不法な戦争を続けるロシアが最終的な責任を負っている」と強調しました。

ポーランド ドゥダ大統領「意図的な攻撃の兆候見られない」

またポーランドのドゥダ大統領も記者会見で「ポーランドへの意図的な攻撃であるという兆候は見られない」と述べ、ロシアのミサイルを迎撃するため、ウクライナ軍が保有する地対空ミサイルシステムS300から発射された可能性があると指摘しました。

ゼレンスキー大統領 “ウクライナ軍が発射”とする見方否定

これに対してゼレンスキー大統領は16日、首都キーウで記者団の取材に応じ、空軍の司令官から報告を受けたとしたうえで「われわれのミサイルでないことに、疑いの余地はない」と述べ、ウクライナ軍が発射したとする見方を否定し、NATOとの間で見解に隔たりが生じています。

またゼレンスキー大統領は「われわれも合同調査に加わるべきだ。とりわけ、われわれが非難されるような話が出ているなら、その権利があるはずだ」と述べ、実態解明に向けた調査にウクライナ政府として参加したい意向を示しました。