国際

ウクライナ奪還のヘルソン 解放喜ぶも生活再建には多くの課題

ウクライナが奪還に成功した南部ヘルソン州の州都ヘルソンでは、ロシアによる占領からの解放を喜ぶ大勢の市民の姿がみられました。

一方で、現地にはロシア軍が埋めた大量の地雷が残されているほか、電気や水道などのインフラが破壊されていて、市民は生活の再建に向けて多くの課題に直面しています。
NHKの取材班は16日、ウクライナ当局の許可を得てウクライナや各国のメディアとともにヘルソン市内に入りました。
市内では「ヘルソンは永遠にロシアとともにある」といったスローガンが書かれた看板が至るところで見られ、およそ8か月間に及んだロシアによる占領を物語っています。

しかし、ウクライナが今月14日までに現地を奪還したことに伴い、そうした看板の文字の多くは剥がされていました。
市民は解放後の喜びに沸き立っていて、取材班が移動のために乗っていたバスが市内を進むと、沿道の人たちが手を振って歓迎の気持ちを表していました。

また、州の行政庁舎がある中心部の広場には大勢の市民が集まっていてウクライナの国旗を掲げたり体に巻いたりして喜びを表現していました。
ロシアの占領下も夫とともにヘルソンにとどまっていたルドミラ・ボロノバさん(58)は「刑務所の近くに住む人から刑務所では拷問が行われていて、苦痛の叫び声が聞こえてきたという話を聞いて恐ろしかったです」と振り返りました。

そのうえで、現在の心境については「とにかくうれしいです。私は今、自由の空気を吸っています」と話していました。
また、日本のアニメのファンで、取材班に日本語で「こんにちは」と話しかけてきた14歳のダニエル君は、「ロシア兵はわが物顔で欲しいものを盗んでいました。出て行ってくれてうれしいです」と話していました。
喜びの一方で、市民は生活の再建に向けて多くの課題に直面しています。

現地では、ロシア軍の攻撃により、さまざまなインフラが破壊されていて、停電や断水が続いているほか、携帯電話なども通じないままです。

このためヘルソン市内の中心部の一角にはインターネットが通じる臨時の場所が設けられ、多くの人が集まって親類や友人と連絡をとっていました。
また市内や近郊にはロシア軍が撤退前に多くの地雷を埋めたため、撤去作業が急ピッチで進められています。

ヘルソン市内に至る幹線道路の脇でも作業員たちが地雷を探知する器具を地面に近づけて地雷がないか確認していました。

また市内でも見つかった地雷の爆破処理が行われていて、爆発音がひっきりなしに聞かれました。
地雷の除去は特に発電所や水道、それに通信インフラなどの施設の周辺で優先的に進められているということです。

生活がもとどおりに戻るには、かなりの時間がかかる見通しで、本格的な冬が訪れる中、ヘルソンの市民はロシア軍からの解放後も厳しい日々を送ることになりそうです。

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