新型コロナとインフルエンザ同時流行 今できる備えは

新型コロナウイルスとインフルエンザが同時に流行する可能性や今できる備えなどについて、感染症が専門の東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅教授に話を聞きました。

まず現状について、寺嶋教授は「過去2シーズン、国内でインフルエンザの流行がなかったので、コロナ以前と比べてやはり免疫が低下している人が多い」と指摘しました。

そのうえで「新型コロナの感染者が増えている状況で、インフルエンザによる学級閉鎖が起きている地域もある。インフルエンザの流行が広がってくれば同時感染も増えてくるのではないか」と話しました。

また、寺嶋教授は、同時に流行した場合、発熱やのどの痛み、せきなど、症状が似ていて見極めが難しいとも指摘しています。

判断に迷った場合について「周辺の流行状況が手がかりになるので、家庭や学校などでどちらが流行しているのか把握してほしい。重症化のリスクがない人であれば、症状が出たらまずはコロナかどうか自宅で抗原検査キットで調べたうえで医療機関の受診を検討してほしい」としています。

さらに同時流行への備えについて、寺嶋教授はどちらもワクチンの接種で重症化を防ぐことができるとしたうえで、「コロナとインフルエンザのワクチンは同時接種が可能なので、早く済ませることが大事だ。コロナの感染対策でインフルエンザも抑えられてきたので、マスクや手指の消毒、換気など基本的な感染対策を継続することが望まれる」と話しています。

岸田首相「感染状況注視し 万全の体制用意したい」

新型コロナについて、岸田総理大臣は訪問先のインドネシアで記者団に「出発前から感染拡大が指摘されており、できるだけ多くの人にワクチン接種の重要性を理解してもらい、実際に受けてもらえるよう、働きかけにより力を入れていく」と述べました。

また、寒い地域で感染拡大のペースが速いという指摘もあるとして、十分な換気を呼びかけるとともに、政府としても、自治体と連携し、発熱外来やオンライン診療など医療提供体制の確保に取り組む考えを示しました。

そして「感染状況を注視しながら、国民の命や健康を守るために最善の努力をし、万全の体制を用意していきたい」と述べました。

官房長官「ワクチン接種をできるだけ勧める」

松野官房長官は午後の記者会見で「インフルエンザと新型コロナの 同時感染については十分なエビデンスがあるわけではないが、イギリスの調査によると死亡するリスクなどが上昇する可能性があると承知している」と述べました。

そのうえで「新型コロナはペースは落ちてきているものの引き続き増加傾向にあり、この冬は同時流行が懸念されていることから、オミクロン株対応やインフルエンザのワクチン接種を希望者にできるかぎり早く行うよう勧めるとともに、保健医療体制の強化や重点化に 取り組んでいる」と述べました。