“新手のヤミ金” 買い取り装い高額違約金請求で初の集団訴訟

商品の買い取りを装って業者が利用者に現金を前払いし、あとになって高額な違約金などを請求する「先払い買い取り」と呼ばれる商法が、各地で相次いでいます。“新手のヤミ金”とも指摘され、大阪などに住む利用者7人が、実質的に超高金利の利息の貸金であり違法で、契約は無効だなどとして、全国で初めての集団訴訟を起こしました。

訴えを起こしたのは、大阪府と兵庫県に住む20代から40代の会社員の男性7人です。

訴えによりますと、男性らはおととしからの2年間に、「先払い買い取り」の商法を利用して、商品を買い取るという業者に商品の画像を送り、現金の前払いを受けました。

そして、期限である7日後までに商品が届いていないとして、業者から代金の30%以上を上乗せする高額な違約金を請求されたということです。

男性らは、商品の売買を装っているものの、契約のキャンセルを前提としており、実質的に超高金利の利息の貸金で、違法で契約は無効だなどと主張し、業者5社などに対して、合わせて330万円余りの賠償を求める訴えを、大阪と兵庫の簡易裁判所に起こしました。

違約金は、年間の金利でみると法定の上限の150倍にあたる3000%を超える超高金利のものもあったということです。

弁護士や司法書士らでつくる「買い取り金融対策全国会議」によりますと、「先払い買い取り」の相談はことし9月までに全国で120件以上寄せられ、集団訴訟としては、今回が初めてだということです。

団体は「コロナ禍で生活に困窮した人を狙った新手のヤミ金にあたり、ネットだけで完結する安易な借り入れで、多重債務に陥る危険性がある」と注意を呼びかけています。

団体は11月19日に電話相談を行い、電話番号は、
▽06-6361-0546と、
▽048-774-2862で、受け付けます。

手口や被害状況は

司法書士などが“新手のヤミ金”とも指摘する「先払い買い取り」による「現金化」とは、業者がスマホやゲーム機などの商品を買い取ると装って利用者に写真を送るように指示し、あとになって高額な違約金や手数料を請求するというものです。

実際に手元に商品がなくても、ネット上の写真を送るだけで現金がすぐに振り込まれることから「先払い買い取り」と呼ばれています。

金融庁などのホームページでは「高額な違約金名目の金銭の支払いにより、かえって生活が悪化し、多重債務に陥る危険性があります」などと注意を呼びかけています。

「先払い買い取り」の業者らのウェブサイトには、貸金業であることがわかることばは見当たりませんが「借金せずに現金化」や「金融ブラック対応OK」などと書かれているほか、申し込みフォームでは、勤務先、雇用形態、給与の支給日などの入力が必要になります。

こうした業者をまとめて紹介しているウェブサイトも複数存在し「借金ではなく買い取りであるため審査は甘めです」などと掲載されているものもあります。

“新手のヤミ金”の問題に取り組む弁護士や司法書士らでつくる「買い取り金融対策全国会議」の共同代表の前田勝範司法書士によりますと「先払い買い取り」の利用者からの相談は、ことし9月までに全国で120件以上、寄せられているということです。

相談者の多くは、20代から40代で、ほとんどは企業などの正社員だといいます。

前田司法書士は「コロナ禍で生活に困窮した人をねらう“新型ヤミ金”です。相談者の多くは商品の売買ではなく、お金を借りる目的で利用しています。コロナ禍で給与が減り、目の前の現金がどうしてもほしいと安易な利用が広まっています。1度利用すると違約金が負担になり、多重債務に陥ってしまうケースが多い」などとして、注意を呼びかけています。

利用した男性は

大阪府内にあるメーカーで働く30代の原告の男性は、出張の費用を立て替えるために現金を得ようと「先払い買い取り」を利用するようになったといいます。

男性は月に何度も遠方に出張することがあり、一時的に交通費を立て替えるために、消費者金融で借り入れて生活などを維持していました。

おととし8月ごろ、職場の同僚が病気で休職して、さらに出張の回数が増えたことで、立て替え額が多いときで月20万円ほどに上るようになりました。

出張の際の交通費が支払えなくなり、消費者金融からも追加の融資が受けられなくなったことから「ブラックでも借りられる」というワードでインターネットで検索し、掲示板で見つけたのが「先払い買い取り」で現金を得る方法でした。

男性は「商品を売るつもりは無く、商品の画像を撮って送るだけでお金が手に入るということにつられて利用を始めました。高い『利息』を支払うことになるが、お金は工面できたという思いしかなかった」と振り返りました。

男性は業者から「送る商品は何でもいい」と言われ、自分が使っているスマートフォンの写真を撮って送ったといいます。

すると、すぐに手数料を差し引かれた現金が振り込まれ、そのまま商品を発送しなかったところ、契約違反のキャンセルとされ、その後、商品の買い取り価格の30%の違約金を上乗せして返金をしました。

返金を終えたあと「簡単に利用できる」と感じ、一時的に必要な現金を得るために、同じような取引を19回にわたって繰り返しました。

しかし、高額の違約金が回数を重ねるごとに負担となり、さらに、別の業者も利用して負担が増していく悪循環になったということです。

男性は「お金が入ると安ど感がありましたが、違約金が負担になりました。返さなければならない金が雪だるま式に膨らみ、給料日が怖かったです。精神的に苦しく、後悔しかありません」と話していました。

業者「コメントを差し控える」

訴えを起こされた業者のうちの1社は「突然、提訴されたことに戸惑っています。訴状が届いていないため事実確認ができません。今回はコメントを差し控えさせていただきたい」としています。