G20首脳会議 開幕 欧米各国とロシアによる激しい議論の応酬に

ロシアによるウクライナ侵攻後、初めてとなるG20サミット=主要20か国の首脳会議がインドネシアで開幕しました。エネルギーや食料価格の高騰への対応についてのセッションが行われ、ウクライナ侵攻を巡り対立する欧米各国とロシアによる激しい議論の応酬になったとみられます。

G20の首脳会議は、インドネシアのバリ島で15日午前開幕し、アメリカのバイデン大統領や中国の習近平国家主席、それにプーチン大統領の代わりに出席したロシアのラブロフ外相らを、議長国インドネシアのジョコ大統領が迎えました。

ジョコ大統領は会議の冒頭で演説し「私たちは、自分たちの国だけではなく世界の人々への責任を負っている。責任というのは、戦争を終わらせなければならないということだ。私たちは世界を分断すべきではなく、再び冷戦に陥るのを許してはならない」と述べ、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアを名指しすることは避けつつも、戦争ということばを使って世界の現状に危機感をあらわにしました。

そして、最初のテーマとしてウクライナ情勢を背景にした、エネルギーや食料の価格高騰などへの対応についてのセッションが行われました。

これまでの閣僚会議では、世界的なエネルギーや食料価格の高騰について、欧米各国がロシアによるウクライナ侵攻が原因だと非難する一方、ロシアは欧米各国による経済制裁などが原因だと主張し、議論は進展してきませんでした。

首脳会議の開幕を前に会見したEU=ヨーロッパ連合のミシェル大統領は「ロシアに対し一段の圧力をかけるよう各国に働きかける2日間としたい」などと述べたほか、アメリカ政府高官も「G20のほとんどの国がロシアを最も強いことばで非難するだろう」との見方を示しました。

これに対し、ロシアのラブロフ外相は強く反発して、会議で激しい議論の応酬になったとみられます。

G20での対立が深まるなか、今回の会議では通例となっていた開幕の際の首脳の集合写真の撮影が行われない事態となり、会議の先行きに懸念が強まっています。

米高官「ほとんどの国がロシアを非難するだろう」

G20=主要20か国の首脳会議が15日開幕するのに合わせて、アメリカのバイデン政権の高官は記者団に「G20のほとんどの国が、世界経済が不安定になっている根本的な原因はロシアによる戦争にあり、最も強いことばで非難するだろう」と述べ、ロシアといった一部の国を除く加盟国がロシアへの非難で一致するとの見方を示しました。

ただ、G20にはロシアが参加しているため、全会一致でロシアを非難する可能性は低く、各国が具体的にどういった形でロシアへの態度を表明するのかについては明らかにしませんでした。

米高官 集合写真撮影について直接の言及避ける

アメリカのバイデン政権高官はG20の首脳会議で通例となっている、開幕時の集合写真の撮影が行われていないことについて、記者団から「アメリカがロシアとともに写真におさまることを望まなかったのか」と問われると、「インドネシア側が各国首脳によるさまざまなプログラムを設定しており、われわれはそれに任せる。G20の首脳が率直に議論を交わす場が不足しているとは思わない」と述べ、直接の言及を避けました。

ラブロフ外相の記者会見 外国メディアは入れず

G20=主要20か国の首脳会議が行われているインドネシア・バリ島では15日午後、ロシアのラブロフ外相が記者会見を行うとしてロシア国営メディアの記者などが集められました。

記者などが会見の会場にバスに乗って移動しようとしたため、NHKなど外国メディアのジャーナリストたちもバスに乗り込もうとしました。

しかし、ロシア外務省の担当者は「行き先はわからないし記者会見が行われるかどうかもわからない」と話し、バスに乗ることは許可されず、外国メディアは会見の会場に入ることはできませんでした。

今回のG20サミットでは、ウクライナ侵攻を続けるロシアに対する批判が欧米などから高まり、開幕の際の首脳の集合写真の撮影が行われない異例の事態ともなる中ロシア政府が、外国メディアの取材に神経をとがらせていることがうかがえます。